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6.宴と戦利品

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 宴が始まった。ジューシーな厚切り肉にみずみずしい果物や野菜が多く並べられ、大人たちにはお酒もふるまわれた。イノックはまだ子供という事で果物ジュースが配られる。大人たちは完全に酔いが回っている。

 特にフィーフィーの酔いがすごい。がばがばと酒を煽っている。


「ヒカル様、これほど嬉しいことはございません。ドルドも考えを直し、王都への兵の依頼は一旦取り下げるとのことです。」

「それはよかった。」

「村長の話もなくなり、わたくしめが引き続きバーミルトン村の村長ということになりました。」

「本当か!」

「はいですじゃ。」


 ゴーフリーは俺たちの失敗で村長を降ろされそうになっていたから、本当に良かった。心から喜びを分かち合う。


「あと、朗報がございます。」

「朗報?」

「はい、ゴブリンどもが持っていた武器やアイテムに質の良いものがございました。」


 《戦利品》

 ・ゴブリンの弓

 ・ゴブリンのこん棒

 ・宝石(未鑑定)


「おお!これは良いものなの?」

「良いものだと思います。あいつらはここばかり狙っていて穀物を取り放題でしたから『羽振り』も良かったのでしょう。宝石を持っているゴブリンなんてめったにいません。」

「売るとどれくらいになる?」

「宝石の値段はわかりませんが、ゴブリンの弓は銀貨5枚以上すると思います。ゴブリンのこん棒は銅貨80枚といったところでしょうか。」


 銀貨の方が高いんだろうけど、どれくらいの価値なのかわからないな。


「お金の価値がよくわからないんだけど。」

「パンを一つ購入するのに銅貨が1枚必要だとお考え下され。あと、銅貨100枚で銀貨1枚の価値となっておりますじゃ。」

「へーなるほどね~。」

「宝石は鑑定してみないとわかりませぬが、まぁまぁの値段が付くと思われますじゃ。」


 今回の戦いでなかなかの戦利品を得ることができたようだ。


「ヒカル様、実は折り入って相談があるのですが。」

「ん?何?」

「実は、村の財政も潤沢というわけではございません。戦利品を売ってお金に変えたいと思っておりますがよろしいでしょうか?」

「あー。そういうこと。別に良いと思うよ。蔵も俺たちが壊しちゃったし。」

「ありがとうございますじゃ。」

「っていうか、今までの生活費とかって請求しないの?」

「みなさんの生活費は村で負担させていただいておりますじゃ。ホブゴブリンをやっつけてくれるならやすいものですじゃ。」


 生活費等は一切請求されたことはなかったが、やはり村で負担してくれているようだ。ありがたいことだ。


「そうなんだ。わかったよ。でも、弓だけは残してもらえるとありがたいかな。」

「弓ですか?なんとヒカル様は弓を扱ったことがあるのですか?」

「いや、使ったことないな。でも、使える人が現れた時のために時のために取っておいてほしいんだ。」

「さようですか。」


 戦利品の売却で得られるお金はゴーフリーに任せることにした。村の財政についてはよく理解してないけど、壊れた家屋の修理費、俺たちの生活費、俺を手当てしてくれた時に使った高級な薬草などを考えるとおそらく今回の戦利品でも足りないくらいだろう。色々と思考を巡らせていると、人が来る気配がした。


「ヒカル様、凄い活躍だと聞いております。私に一杯つがせていただけませんか?」


 黒髪の少女が膝をつきながら、葡萄ジュースの入ったビンを持っている。丸い顔が特徴的で、切れ長でくっきりとした目をしている。美人と言うよりは可愛らしい子だ。


「ありがとう。」

「私はゴーフリーの孫のマリンと申します。今後ともよろしくお願いいたします。」

「こちらこそよろしく。」


 ゴーフリーにこんなかわいい孫がいるなんて知らなかった。あの爺さんの血を引いているとはとても思えない。


「普段から祖父がお世話になっております。」

「いえいえ、こちらこそ、ゴーフリーには本当にお世話になりっぱなしで、色々と助けてもらってます。」

「そうですか。良かったです。今回の、ヒカル様達のご活躍について、祖父は大喜びで涙を流しておりました。村の反対を押し切ってまで魔晶石の召喚に賭けたのですから、心から嬉しかったのだと思います。」

「へ~。そうなんだね。」


 まぁゴーフリーの喜び方は尋常じゃなかったな。そういえば魔晶石っていくらくらいするんだろう?

 

「あの、魔晶石っていくらくらいするの?」

「う~ん。ピンからキリまであると聞いてます。今回はおそらく金貨3枚くらいは必要だったのではないかと思います。」

「金貨ですか。さっき銀貨と銅貨のことは教えてもらったんだけど、どれくらいの価値なのかな?」

「金貨は銀貨100枚分の価値があります。」

「え!?魔晶石ってそんなに高いんだ。」

「ヒカル様を召喚した魔晶石は召喚できる確率が8割を超えるもので、召喚されるレア度も最大で★3の方が召喚されるものでしたので。」


 大枚をはたいてまで買った魔晶石がレア度★3の期待値があるにも関わらず、召喚されたのがレア度★1だったらがっかりするわな。


「そうなんだ。レア度★1の俺がが召喚されちゃったからなんか申し訳ないな。」

「そんなことありません。祖父をはじめヒカル様が召喚されて良かったと思っている村人も増えて来てます。それに魔晶石での召喚は必ず成功するとは限りません。召喚が失敗して誰も呼べない可能性もあったのですから。」


 金貨が何枚も必要なのに誰も呼べなかったって可能性もあるのか。なかなか厳しな。


「そうなんだ。一番安い魔晶石だといくらくらいするの?」

「私はよく知らないのですが、銀貨80枚くらいで買えるのではないかと思います。ただ、召喚が成功できる可能性は低くなると聞いています。」

「へー。そうなんだ。やっぱり貴重なものなんだね。」

「魔晶石にご興味があるんですか?」


 マリンは真っすぐこちらに眼差しを向けながら聞いてくる。


「まぁね。戦力が増えるにこしたことはないからね。」


 この先、ホブゴブリンと対決するのであれば、俺たち3人が成長するだけでは足りないかもしれない。もっと戦力を増やすことができれば楽になるはず。戦闘のできる村人がいない以上、魔晶石で召喚してなんとか戦力を増やしたい。


「これでも昔は村人達だけで防衛してたんですよ。」

「あぁ例の兵役される前の事?」

「ええ、得意武器を習得している村人は全て兵役に出されました。その前まではゴブリンなんか寄せ付けず、森で取れる素材なんかを売って今よりもずっと裕福な村だったんですが……。」

「そうなんだ。何で兵役されることになったの?」


 俺は以前から気になっていた兵役のことを聞いてみた。

 マリンの話ではバーミントン村が属す国は、アウルス帝国と言って帝国主義の国らしい。5年前に皇帝が変わってから他国との関係性が悪くなり国境を守るため戦力になる人材は次々に連れていかれたらしい。戦える人材が村にいなくなるにつれ、ゴブリンどもが村を襲撃するようになり、ついには森の奥地で巣を作り始めたとのことだ。酷い話である。

 兵役以外は比較的自由なようで、市場などはある程度解放されているようだ。他国との関係性が良くなれば兵役にでた村人達が戻ってくる事を信じて日々耐えているという話だった。


「いろいろ話しをしてくれたありがとう。参考になったよ。」

「いえいえ、ヒカル様のお役に立てたのであれば嬉し限りです。では、わたしは、食器の片づけが残っておりますのでこの辺で。」

「うん。わかった。色々とありがとう。」


 マリンは食器を片付けながら炊事場へと戻っていく。ゴブリンを撃退できて本当に良かった。フィーフィーや村人たちはまだ大いに騒いでおり、広場の中央では出し物を行うようだ。その様子を見ているとゴーフリーがやって来た。


「ヒカル様、今から村の儀式を行いますじゃ。」

「儀式?」

「はいですじゃ。このバーミントンでは英雄を称える儀式があります。」

「へー。そうなんだ。」

「ふふふ。ヒカル様、驚くなかれ。この儀式では英雄がに力を授けることができると言われております。」

「英雄に力って、ステータスアップとか?」

「はい、その通りですじゃ。この儀式は一度行うと10年以上に行ってはいけない事となっております。もし、10年以内に行ってしまった場合は、逆に英雄の力を削いでしまうと言われておりますじゃ。前回行われたのが、10年以上前ですので、おそらく問題ないでしょう。」


 なんかすごい儀式が始まるんだな。なかなか見れる機会もないだろうし、しっかり見ていくか。


「すごい儀式が始まるんだね。」

「はい、では、ヒカル様こちらへどうぞお越しください。」

「え?俺?」

「何を驚いていらっしゃるのですか!?この村に他に英雄はおりますまい。」

「いやいや、10年に一度の儀式なんでしょ?もっと強い人とかに行った方がいいじゃ……。」

「問題ありませぬ。わたくしめの目に間違いはございません。ヒカル様こそこの村を救う英雄となられるはずです。」


 俺はゴーフリーに広場の中心へと連れて行かれた。


読んでいただき、ありがとうございます!

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