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5.ゴブリンリベンジ

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 4匹のゴブリンが小走りに走ってくる。ゴブリンたちは前回と同様、村の入口まで差し掛かるとそれぞれが別行動をとった。


「よしっ。打ち合わせ通り行くぞ!イノック頼んだ!」

「フゴ―!リョウガイ!」


 イノックがゴブリンの元へ向かっていく。

 前回と同じように短剣ゴブリンがイノックにまとわりつく。

 しかし、イノックはを短剣ゴブリン無視して大柄のゴブリンの元へと一直線に走っていった。


「頼むぞ、イノック!」


 俺は祈るような気持ちでイノックの行動を見守る。


 イノックは猛ダッシュのまま大柄のゴブリンに体当たりをぶちかました。

 大柄ゴブリンはこん棒を盾にしてイノックの体当たりを受け止める。

 重量級同士のぶつかり合いで踏ん張っている地面がえぐれてしまっている。


 「フ、フゴー!!」


 イノックは力を込めて大柄ゴブリンを押し倒そうとするが、力は拮抗している。しばらく押し合う格好となる。


 「ギ、ギエエエェ!」


 大柄ゴブリンがこん棒を使いイノックを振り払うように押し出した。

 両者の間にわずかな距離ができる。

 イノックは再び距離を詰め、押し合いに持ち込もうとするが、大柄ゴブリンもイノックのパワーを警戒し、再びこん棒を振り回しながら距離を取ろうとしている。

 お互いに致命的な一撃が出るわけでもなく硬直状態が続く。


「よしッ。作戦通りだ。」


 序盤の作戦はイノックが大柄ゴブリンを押さえる事。

 戦況を覆しかねない強烈な一撃を持つ相手を無効化している間に他のゴブリン達を撃退するのが狙いだ。

 俺は作戦通りに事が進んでいることを確認し、フィーフィーに指示を出す。


「フィーフィー!作戦通りに槍ゴブリンの方へ向かってくれ!」

「わかったにゃん!」


 フィーフィーが倉に近づこうとしている槍ゴブリンに向かって駆け出していく。

 槍ゴブリンもフィーフィーに気付きすぎに戦闘態勢に入る。

 前回と全く同じようにフィーフィーが槍を躱しながら、爪で反撃に出ているが、お互いに一度やりあっているだけあってなかなか致命傷にならない。

 フィーフィーは突き出す槍を交わしながら爪で引っ掻こうとするが、槍ゴブリンのバックステップやサイドステップでかわされる。

 身体を入れ換えながらお互いの攻撃を回避する攻防が続く。


「にゃろッーーー!ザッシュッ!」


 時折、フィーフィーの爪が槍ゴブリンの皮膚を切り裂く。両者の対決はわずかにフィーフィーの方が優勢のようだ。


「フィーフィー!危ない!」


 そのままフィーフィーが押しきろうとしているときに横から矢が飛んできた。フィーフィーも飛んでくる矢に気づいており、猫のように丸くながら素早く身をかわす。

 弓ゴブリンが続けざまにフィーフィーから距離を取ったところから弓を打ち始めている。前回と全く同じ状況だ。


「やっぱり行動を読まれてるな。だけどそれはこっちも同じだ。」


 今の想定していた作戦通りの展開となっている。


「よしっ。こっから狙ってやる!」


 俺も前回と同様、弓ゴブリンを狙うべく石を投げる。前回と大きく違うのは、全力投球ではなくあくまで牽制を目的として投げつけている。そのため周りの状況に気を配ることも忘れない。


「やっぱり近づいてきてるな。」


 短剣のゴブリンが俺に近づいている。

 俺は気付かないふりをして弓ゴブリンに小石を投げ続ける。恐らくこのまま弓ゴブリンに石を投げていれば、短剣のゴブリンは俺を襲いに来るだろう。

 事前に想定した通りの展開となっている。3対3の膠着状態の展開になった際には残った一匹が一番倒しやすい奴を狙ってくるであろうと想定していた。この場合のなんの武器も持たず前回敗北の起因を作ったこの俺を狙ってくる事は容易に想像できた。

 今回はこういったシチュエーションを想定して自作した木の盾を用意している。大きなこん棒ではなくリーチの短い短剣であれば、盾で十分に防ぐことができる。


「ギエーーーー!」


 短剣ゴブリンが俺に襲いかかってくる。俺は素早く避け、短剣ゴブリンを惹き付けながら小屋の裏手に回り込んだ。ここなら弓ゴブリンの攻撃からも一時的に逃れることができる。俺は小石を捨てて壁に立てかけておいた木の盾を素早く装備する。

 短剣ゴブリンは上下に短剣を振り回してくる。俺はゴブリンの動きをよく見ながら盾で防ぐ。短剣ゴブリンの攻撃は単調ので軽い。ゴブリンの中でも一番小柄で力も強くないようだ。


「これならイケる!」


 俺は短剣ゴブリンを十分に引きつけた後、盾で強く殴りかかるように押し返した。盾は短剣ゴブリンの顔面へヒットし、短剣ゴブリンは尻餅をつく。さらに頭部へ強烈な一撃をお見舞いする。


「よしッ。」


 短剣ゴブリンが倒れている間に俺は再び弓ゴブリンを警戒した。弓ゴブリンは小屋を回り込ながら弓の届く距離へと移動してきている。距離がつまると再び俺向けて矢を放ってきた。弓ゴブリンの意識は完全に俺に集中している。短剣ゴブリンはまだ座り込んで頭がふらついている。

 俺は木の盾で矢を防ぎゆっくりと後退をして短剣ゴブリンとも距離を取りながら弓ゴブリンを惹き付ける。

 弓ゴブリンは俺が後退した分の距離を詰めながら矢を放ってくる。木の盾にいくつもの矢が突き刺さるも盾は壊れる様子が全くない。

 矢を放つことに夢中になり弓ゴブリンをついに味方から離れ孤立した位置に誘い出すことができた。


「今だ!フィーフィー!」

「おうっ!任せるにゃん!」


 フィーフィーが槍ゴブリンを無視し、孤立した弓ゴブリンへ猛ダッシュを仕掛ける。間合いを詰める。


「ギ!?ギエッ!?」


 弓ゴブリンがフィーフィーの動きに気付いたようだが、フィーフィーは既にナイフを投げる準備ができている。

 二人の距離が15メートル程度になる。


「練習の成果にゃん!喰らえにゃん!」


 フィーフィーが弓ゴブリンに向かってナイフを連続で投げ続ける。

 一投目は大きく外れたが、続けて放った二投目が弓ゴブリン頭に目がけて真っすぐ飛んでいく。動揺する弓ゴブリンは飛んでくるナイフから身を守るように腕を頭の前に出す。ナイフはゴブリンの腕に突き刺さった。


「ギッギエーーーー!」


 弓ゴブリンが叫び声をあげる。


「ナイスだ!フィーフィー!」


 弓ゴブリンはナイフの刺さった腕を押さえ反撃してくる様子はない。

 その隙にフィーフィーは15メートルの距離を一気に詰める。


「そのまま行けッ!」

「ん~~~~~。にゃーん!」


 防御に徹する弓ゴブリンとの間合いを詰めるのは容易であった。フィーフィーは爪を立てながら猛スピードで突っ込む。


「ズシャーーーー!!!!」


 フィーフィーの爪が弓ゴブリンに胸元に食い込み致命傷を与える。ギャーっという叫び声と共に弓ゴブリンの血が吹き出しゴブリンたちに動揺が走る。


「とどめにゃーん!」


 返す刀で首元に鋭い爪を突き立て、弓ゴブリンをそのまま持ち上げる。


「ギエッギッギエーーーー!」


 弓ゴブリンの身体からだらんと力が抜けた。弓を手から離し前のめりになりながら倒れた。


「ギッ!?ギエーーーー!?」


 他のゴブリンが明らかに動揺している。どうしたらよいかわからず混乱しているようだ。

 どうやら弓ゴブリンが指揮を執っていたようで、敵のリーダーを倒したことでゴブリンたちの統率が取れなくなっている。


「ウオォォォ!スマッジュインパグドォォォ!!!!!!」


 入口の方からイノックの叫び声が聞こえる。動揺する大柄ゴブリン相手にスマッシュインパクトをお見舞いしたようだ。

 大柄ゴブリンは頭にイノックの強烈な一撃を喰らい地面に沈み込みピクリとも動かなくなった。


「ギエッ!?ギッギエーーーー!」


 味方がやられたのを見て槍と短剣ゴブリンは一目散に逃げていく。奴らが村の外に出た時に俺達は勝利を確信した。


「やったーーー!」

「守り切ったにゃー!」

「フゴ―!」


 ゴブリンを倒し、村を守ることができた。俺たちの勝利だ。

 体が熱い。熱せられた血が全身に行き渡っている。

 勝利というものがこれほど充実感を与えてくれるものだったとは。


「やりましたな!」


 歓喜する俺たちにゴーフリーが近づいてくる。


「やったぜー!」

「嬉しゅうございます。」


 ゴーフリーは涙を浮かべているようだった。遠くで見ていた村人達も喜んでいる。


「ゴーフリー!」

「ん?なんでございましょうか?」


 俺は一瞬間を溜めた後、この瞬間で一番聞きたかったことを伝える。


「これで村長に返り咲けるか?」


 ゴーフリーも一瞬考えるような素振りを見せるが、すぐに笑顔で返答をした。


「ええ、返り咲きますとも!!」


 ゴーフリーと抱き合いながら勝利を祝福した。

 フィーフィーもイノックも満足げな表情を浮かべている。

 村人からの称賛され、歓喜の嵐が吹き上げる。


「さぁ今夜は宴ですぞ!初勝利を祝いましょうぞ!」


 その後も歓喜は止むことはなく、夜を迎えた。

 バーミントン村は歓喜の宴へと移って行った。



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