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12.約束の期限

久しぶりの投稿だったのですが、意外と見ていただけてありがたい限りです。

評価、ブックマークもありがとうございます。

今回は官吏のショウエイ視点です。

主人公以外の視点で書いたのは初で苦戦するかと思ったら意外と楽しかった。

 ショウエイは充実感に満たされていた。

 彼は仕事が順調に進んでいるときに最も幸福感を感じ生きていることを実感する。


 ショウエイに使令が出たのはちょうど2ヶ月ほど前のことであった。

 王国の北に位置するグレンデル砦がアンデッドどもに占拠された。


 国家の存亡に関わる緊急事態だった。

 過去にグレンデル砦が襲われた例はなく、強固な砦とされていた。


 襲撃は不意を突かれた。

 砦の内部から突然大量のアンデッドが涌き出てきたのだ。

 奇襲を受けた多くの兵士達は抵抗する間もなく着の身着のまま逃げ出す始末だった。


 砦には武器や食料などの物資が蓄えられており、占拠されている今ではそれらを失った事になる。

 砦の奪還するためには兵力はもちろんのこと物資の確保が必須であった。


 砦が襲われてから数日後、ショウエイら官吏達は国を管轄する将軍の一人ジャンミル将軍から呼び出され、新たな食料と戦力の確保を求められた。

 ショウエイは王国の西に位置する5つの村を任されることになった。

 特に南西にあるクジャラ村で召喚された英雄ゲラハドを如何なる条件を持ってしても連れて来いとの事であった。


 英雄ゲラハドはレア度★3で剣と冷気魔法が使えるらしい。

 王都にも同レベルの実力者は存在するが、異世界からの召喚としては最高レベルに近いと言っても良いだろう。

 噂ではホブゴブリンの襲撃を一人で殲滅した他、廃坑になった銅山に住む盗賊達も撃退したらしい。王都からも盗賊に対する対策を行っていたが、ゲラハドの活躍により抑え込まれたというのが実情だ。


 これほどの実力者であるため今回のグレンデル砦奪還作戦においては必要不可欠な存在とされている。ゲラハドの召集についてはクジャラ村の村人から強い反発があると予想されていた。


 クジャラ村での交渉は難航するかと思ったが、食料確保の免除すること。ゲラハドは兵役ではなく、期間限定の支援ということにすることで村人や本人にもすんなり受け入れられた。ゲラハドは3ヵ月の間、支援としてグレンデル砦に派遣されることとなった。


 派遣期間が限定されているとは言え、一度派遣されてしまえばこっちのものだった。たとえ、3ヵ月以内に砦が奪還できなくても、国家の危機であると難癖をつけて期間を延長してしまえば良いだけの事である。もし、期間内に砦が奪還できたのであれば、その功績を称え王国騎士として南西部の守りに就いてもらうことも計算にいれている。


 つまり、ゲラハドはクジャラ村の専属用心棒として戻る事はない。

 ショウエイはこの策謀とも言える構想を直接ジャンミル将軍に提案し、大きく評価されることとなった。まさに順風満帆の仕事であった。


 しかし、ショウエイには一つだけ気がかりがあった。クジャラ村の近くに存在しているバーミントン村で妙な条件を出してきた輩がいたのだ。


 バーミントン村では、クジャラ村で回収できなかった分の食料の確保と少し前に召喚されたゴーレムの確保が必須であった。この村は王都から最も西に位置しており、ゴブリンの襲撃になども頻繁に起きていて治安も悪い村と聞いていた。

 村人は純粋で素直な者が多く、特に目立った人物もいないため交渉はすんなり成立すると予想していた。


 しかしながら、いざ交渉してみると村人達から意外な抵抗にあった。当然、国のためにも条件を緩和することは許されるもなく強制執行も視野に入れ話をしていたところに軍師を名乗る若造が突然現れた。


 若造はその風貌から20代後半であろう予想された。突然笑顔で部屋に入って来ると若造は食料の提供を素直に受け入れた。しかし、そのあとにゴーレムの兵役の代わりに金銭を提供したいと言ってきた。そしてその内容は村の資源を売却するため期間の猶予がほしいとの条件付きであった。村の財政状況からして簡単に支払える金額であると思えなかった。


 ショウエイは支払えなかった場合はペナルティを与えることにし、軍師は金銭が用意できなかった場合は自らの身を差し出すことで合意した。

 そして今日がその約束の日である。約束が守られなかった時は軍師をグレンデル砦奪還の『尖兵』として送り出してやるつもりだ。砦の攻略は思うように進まず、現在は偵察部隊が足りていないらしい。


 軍師や村人達がどのように反応するか楽しみである。泣いて侘びてくるようであれば条件次第で村人達には多少配慮してやってもいい。苦しむ姿にひと欠片の慈悲を与えてやるのが堪らなく快感なのである。


「ショウエイ様、間もなくバーミントン村に着きます。」

「うむ。」


 部下の一人が村への到着を知らせて来た。いよいよ若造の顔を拝むことになる。どんな表情をしているか楽しみでしかたがなかった。

 村の奥にある建物に通される。用意されている部屋にたどり着くと上座に位置する場所の中央の椅子に腰かけた。


「ショウエイ様、村長と軍師が到着いたしました。」

「うむ。」


 正面のドアからノックが鳴り響き、白髪を生やしたじいさんと、若造が入ってきた。若造は前より明らかに痩せている。元々細身の印象であったが、さらに細くなっていた。

 彼らは一礼をするとそのまま正面の席へと着いた。


「お久しぶりですな。ゴフーリー村長、それに軍師殿」

「はい、この度は私共に猶予を与えてくださりありがとうございますじゃ。村を代表して感謝申しあげます。」


 ゴーフリーが丁寧に挨拶をしてくる。


「さて、前置きは抜きにして早速本題にはいりましょう。約束のものは用意出来ましたかな!?よもや足りないからもう少し待ってくれなど言われないでしょうな。」


 ショウエイはニヤリと笑みをこぼしながら、痩せ細った軍師の方をチラリと見る。


「はい、こちらに用意しております。ご確認ください。」


 ゴーフリーから差し出された小袋を部下が確認する。袋からジャリジャリとした音がなった。


「確かに金貨5枚入っております。」

「なにぃ!?」


 思わず声が漏れてしまった。

 部下がテーブルの上に金貨を取り出す。1,2,3,4,5……。確かに金貨5枚が用意されている。


「これは、これは。約束の額ピッタリですな。さぞや苦労されたのではないですか?」

「はい、村人全員で協力して何とか集めることができました。これもショウエイ様のご配慮のおかげです。」


 軍師は笑みをこぼしながら悠然と語ってきた。


「一体どうやってこれを集めてきたのだ!?戦で物資の価格が上がっているとは言え、そう簡単に用意できる金額ではないはず。まさか、羊を全て売りに出したのか?」


 軍師の余裕っぷりに疑問をぶつけざる得なかった。村人からの反発も無さそうだ。一体どのような魔法を使ったのか。知りたい。どうしても知りたい。


「答えは村の外に用意しておりますので、ご確認ください。」


軍師はそう言うと村の外へと案内してきた。建物の反対側に位置する中央広場へと誘導される。


「こ、これは……。」


 ショウエイはその光景に思わず息を飲む。


「はい。このプロジェクトは1ヶ月半前より進めております。」


 横にいる軍師がニヤリと笑う。


 プロジェクト……。

 聞きなれない言葉であるが、その言葉は遠い異世界の中で頻繁に使われている極意。そんな言葉であるという気がした。



次回は1ヶ月半前に戻り金策を中心に書いてます。

内政としては、金策の他に農地開拓、畜産などもしたいですが現在思案中です。

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