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首狩り姫の日常  作者: 武田コウ
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怪物Ⅱ

自分のモノだと思っていた世界に我が物顔で佇む一匹の異形



私はパニックに陥っていた



知らない



私はこんな怪物、知らない




咆哮



大気を震わせる獣の咆哮



怪物は猫科を思わせる縦長の瞳孔をギラリと光らせ私を見据えた



身がすくむ



喉がカラカラに乾いて声が出ない



動けない私に向かって怪物は襲いかかる



無造作に振るわれた右腕が私の左肩をしたたか打ち付け、私は重さのない人形のように吹き飛ばされた



痛い



経験の無いほどの痛み



馬鹿な・・・



ここは私の妄想じゃあ無いのか?



「姫路さん!?」



悲鳴にも似た土間透の叫びで意識を取り戻す。



痛みはある、けどまだ動けるようだ



「・・・ふふ、私とした事がどうかしてたわ」



恐怖ですくむなんてらしくない



ここは私の庭



私の、世界



私は姫



首を狩り、人を愛するモノ



「こんな怪物に、私の愛の世界をメチャクチャにされてたまるものですか」



漆黒の大鎌を構える



ヤることはいつもと何も変わらない。



首を




狩る




冷静になった私は敵を観察する



太い首だ



今まで狩ってきた人の首とは勝手が違う



果たして自分の刃は通るのか・・・



「まあ、考えても仕方ないわ」


仮に刃が弾かれたとして、どうするというのだ



自分にはコレしか出来ない



だって私の鎌は首を狩る為にあるノだカラ



駆ける



そのまま大鎌を振りかぶり、怪物の目の前で一気に体勢を低く敵の懐に潜り込んだ



遅れてやってきた大鎌を野太い首に目掛けて、全体重を乗せて振り切る



振り切れたと、思ったのだが・・・



「・・・硬い」



刃は強固な筋肉に阻まれ、致命傷には至らない



怪物がそのアギトをカパリと開き、ヌラヌラと唾液で湿った牙で私に襲いかかる



圧倒的な死の予感



この距離では避けられない



私は絶望に身を固くシ・・・




下手くそな雄叫びをあげながら、土間透が怪物の口に竹箒を突っ込んだ



怪物が一瞬怯んだ隙に私は後ろに下がり、体勢を立て直す。




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