出会い
ザワザワと落ち着きの無い教室、同級生たちの噂話を聞くには、どうやらこのクラスに転校生がやってくるらしい
どんな人かしら、可愛い顔をしているとうれしいのだけれど・・・
「ねぇ、あなたもそう思うでしょう?」
机の上に飾った、今朝の男の首に優しく話しかけた
無機質な瞳が私を見つめ返してきてゾクゾクする
「みんな、席に着きなさい。朝のホームルームを始める」
頭のハゲかけた中年の男性。このクラスの担任教師である
別にハゲが嫌いな訳では無いのだけれど、彼はコレクションに加える気にならない。私は基本的に面食いなのだ
「今日はこのクラスに新たな仲間が来る事になった。仲良くしてやって欲しい」
教室のざわつきが最高潮になるなか、扉を開けて入ってきたのは見慣れない制服の男子生徒
髪型には興味が無いのか無造作に伸ばされた前髪が顔を覆い隠し、はっきりとは顔を把握できない
中肉中背、分厚いレンズのメガネを掛けた彼の第一印象は、なんか暗そうな奴だというネガティブなものだ
「今日からこのクラスにお世話になります、土橋透といいま・・・」
転校生はボソボソと聞き取りにくい声で自己紹介を始めたかと思うと、何故か私の方を見てピタリと止まった
「ひっ!? ひぃぃ!!??」
情けない声をあげて尻餅をつく転校生
先生が大丈夫かと心配をしているが、転校生はそんな言葉は耳に入らないらしく、恐怖の表情で私を見つめている
否
私の、机
その上に飾られた男の首を、だ。
「・・・あなたには見えているのかしら?」
小さな声で囁く
見えている?
私の妄想の産物が?
私はこの時初めて彼に興味を抱いた
土間透
これが私と彼とのファーストコンタクトであった。