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世界の何と美しく、人生のなんと素晴らしい事か
私、姫路愛は世間一般で言ういわゆる普通の女子高生というやつだ。
普通に高校に通い、普通に勉強をして、普通に友達と遊ぶ。彼氏はまだいないけど、ソレでも普通に充実した毎日を送っている
あぁ、春の日差しは柔らかく通学路に差し込み、私の世界を暖かに彩っている。
吹き込んだ春風が、私の自慢である艶やかな黒髪に当たり、さらりと流れて行った。ああ、なんと穏やかな朝だろう
向かう先の曲がり角、死角から飛び出してきた見知らぬ男性に目を引かれる
キッチリと着込んだスーツが少し暑そうな、キリリとした美人の男性・・・
胃の奥がザワリと騒いだ
爽やかな気持ちがドス黒く甘い欲望に塗り替えられてゆく
━━━そして世界は切り替わる━━━
錆色の空
灰色の街
木々に生命力は感じられず荒れ果て
生ぬるい風が吹き込んだ
私は首狩り
首狩りの姫
黒と赤を基調としたゴスパンク風の衣装に身を包み、顔を濃い目の化粧で彩っている
あぁ、私はとってもキレイ
戸惑ったように立ちすくむ男性にそっと近寄り、いつの間にか手にしていた凶器を振りかざす
鎌だ
身の丈を越える漆黒の大鎌
刃には血管のような溝が数多に掘り込まれ、血が伝うのを待ちわびている
一気に降り下ろしたソレは、男の首をスッパリと断ち切った。
鮮血が視界を染めていく
温かくって
キモチイイ・・・
━━━そして、世界は切り替わる━━━
先ほど首を狩り取られた筈の男性が、何事も無かったかのように通りすぎていく。
当たり前だ
実際何事も無かったのだから
全て私の妄想、幻想
でも、それがどうしたというの?
だってもう、彼の首は私のモノ
手元に視線を向けると、先ほど通りすぎた男性の首が手の上でこちらを見上げていた
愛してあげる・・・
アナタノスベテヲワタシハアイスルワ
リアルだとか妄想だとか、そんな違いはどうでもいいの
だって私はこんなにも幸せなんだから