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地下室
ヒヤリと冷たい空気が殺風景な地下室で行き場もなく淀んでいる。
シミの出来たコンクリートの壁、飾りなど何も無く、部屋には幾つかの大型の棚が置かれている。
どうやら棚にはナニカかが行儀よく陳列されているらしく、薄暗い部屋に、丸いシルエットが浮かび上がっていた。
カチリとスイッチが入り、天井の蛍光灯がチカチカと点滅した後輝きを放った。
照らし出された地下室にはこの世の異形
几帳面に並べられた人間の首が、感情の無い虚ろな瞳で虚空を見つめている。
「・・・ふふっ」
部屋の主は静かに笑った
女だ
黒と赤を基調としたゴスパンク風の衣装に身を包み、顔を濃い目の化粧で彩っている。
女は棚に陳列された首の一つを手に取ると、愛しそうにその髪を撫でた。
彼女は首狩りの姫
人を愛し、その首を狩り愛でるモノ
この暗い地下室こそが、彼女にとっての楽園なのだ