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苦くて、甘い、キミとのキヲク  作者: 水無月 舞
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時の流れはとても速く、あの日、彼らと出逢ってからもう10年の月日が経とうとする今日この頃。この町にもまた、春の季節がやって来た。家の脇に立派に聳え立つソメイヨシノの木は、今年もまた、淡いピンク色の花をたくさん咲かせ、ふわりと漂う春風とともに新たな地へと旅だってゆく。一方、通学路では、色とりどりのランドセルを背負った新1年生だろうか?少しブカブカのスーツに身を包む男の子が、パパとママにちっちゃな手を引かれ新世界へと小さな足で1歩、1歩、歩み出していた。その光景を、自室の窓辺から眺めていた私もまた、今日、高校の入学式を迎えようとする1人で、下ろしたての制服に身を纏い幼馴染みからのお迎えLINEを待っていた。



美桜(みお)、そろそろ学校行く時間でしょ?」

「あ、うん。でも、賢太からまだLINE来ないんだよね……。」



窓際で1人スマホとにらめっこしてると、リビングで作業する母親は大きな声で、2階に居る私に学校に行くように促してきた。そうしたいのも山々だけど、やっぱり賢太から返信が来ない以上、1人で、登校するのも何だか気が引ける私。さっきから、ブレザーのポケットからスマホを取り出しては、チラチラとLINEの履歴を確認してるけど、いつまで経っても賢太宛てに送ったメッセージは既読にならないまま。いつもだったら、もう返信が来ても遅くないのだけど、今日に限って……ねぇ?



〈もう、待ってるのもあれだし、学校に行っちゃおうかな?〉



そう思っていると、ぼんやりと見つめていたスマホがブルブルと振動し出すなり、1件のメッセージを受信した。



「そう思った傍から、賢太郎からLINEだ‼」



それに気づくなり、尽かさず私は彼からのメッセージを表示した。



《ゴメン、今、家の前に着いた》



そう一言だけ書かれていた彼からのLINEを見て私は、部屋の入り口にまとめてあった黒と白のチェック柄のリュックを背負っては、勢いよく部屋の外へと飛び出した。トントントンと、リズミカルに階段を駆け下り、ゴールの玄関まで真っ直ぐ向かう。その途中、履きなれないローファーに苦戦。購入してから今日初めて履くそれは、きつくて中に中々足が入っていかない。








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