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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第90話 買い物の筈が…またトラブル


野外実習の開始まであと2日…この日、学校は休校日でリンの家には女性陣が集結していた。


「と、いうわけで!皆で水着を買いに行こうと思います!」


そう宣言したアディを一瞥してから手元にある洗濯物を畳み始める。


「いきなり来たかと思えば…私は見ての通り忙しいの。休日の母親舐めんじゃないよ、全く…」


「…くっくく、その姿でそれを言われたら…」


エプロンをしたリンがその似合わない格好で家事に勤しんでいるのがツボにハマって笑いを堪えているベアトリクス


「うっさい!邪魔するなら帰れ、暇人め。人数が増えた分洗濯物の量も半端ないって見て分かるでしょ」


目の前には山と積まれた洗濯物が。この世界に洗濯機なんて便利なものは存在しない以上洗濯をするにも大変でとても毎日洗濯をするような余裕はない。

だからある程度量があるのは仕方ない…と洗濯場に行った時に仲良くなった奥様方は言ってた。


「だってそれは…アンタが料理当番から完全に外されたからじゃん」


ついに堪えきれなくなって爆笑し始めたベアトリクスにリンはキレる。


「お?そんなに私と戦争がしたいのか?ぶっ殺してやるから表に出ろ!」

「あーら、丁度いいじゃん!私もリンと戦ってみたかったし?」


「ちょ!?落ち着いて話しましょうよ」

「駄目ですよ!」


壁に立て掛けてあった村雨を掴んだリンをカオリとアディが慌てて抑える。


ふんっと息を吐いてまた洗濯物を畳み始めたリンだったが…ふと視線を近くに座って固まっていたカレンに向ける。


「カレン、別に学校にいるわけじゃないんだから適当に寛いでいいわよ?周りが騒がしいのはどうしようもないけど」


カレンはそう言われても…と内心思った。


元々はカオリやアディを誘って野外実習に必要な物を買いに行くっていう話で昨日は解散した筈だった。


だけど朝からアディと学生寮で合流してカオリはまだ来てないの?と聞くと事情があって学生寮から出ていったとアディに言われ、迎えに来た…んだけど……聞いてない!しかも………まさかカオリが先生の家に住んでてベアトリクスさんや他の有名な人と仲が良いなんて。


「えっと…これ色々驚きなんだけど」


学校では凛としている先生が目の前ではエプロンをつけてウチのおかあさんみたいな事言ってるし…


今も洗濯物のポケットから出てきたクッキーだったらしい物体を持って「またポケットに隠してたわね!!駄目っていったでしょ!」とレンに説教している。


なんかもう色々と思考が追い付かないなぁ……


そうぼんやり思っていたらアディが肩を叩いてきて「わたしも最初はそうだった」という顔をして頷いていた。


「んで?カオリを迎えに来たのなら3人で行ってきたら良いじゃない、子供同士でさ」


リンに構って貰えなくなったベアトリクスがそう言うと


「そうなんですけど…どうせなら先生にも水着とか着て貰えたらなぁって思ったんですよぅ。先生ってどうかしたら泳がずに水の上とか走りそうですし」


「まぁ、出来ない事はないけど…」


あ、やっぱ出来るんだ…みたいな反応の周りを見てリンも慌てる。


「で、出来るけどそんな難しい事じゃないのよ?足が沈む前に水面を蹴って次の足を…の繰り返しだから!」


そうじゃない、それは普通の人間には出来ないんですよ!とツッコミたかったがアディは我慢して続ける。


「いや、先生程の美人なら凄く似合うでしょうし…何より私が見たいんです!」


アディの言葉で空間が固まった様になる。


「……アディ、あなた大丈夫?私の水着を見たいって…もっと普通に生きていきなさいね?今からでも間に合うから」


ん?とアディは少し考えてから思い当たったのか違う!と言う。


「そうじゃないんですよ!せっかく海へ行けるなら…って思っただけですから!」


アディが否定するのを黙って見ていたベアトリクスは何か思いついたのかニヤリと笑うとリンに耳打ちする。


"今回野外実習に同行して護衛する依頼を受けた中にさ、剣鬼も入ってたからアピールするチャンスじゃない?"


「……別にそんな必要ないわよ。ジンとは同郷ってだけで…」


「剣鬼のほうはそう思ってなさそうだけど?見るからにアンタの事好きそうじゃん。それにあんたも満更でもない感じでしょーが」


まぁ、昔告白されたけども。


正直言えば私も嫌いな訳じゃないし昔助けて貰ってるし…今回も危ない所を助けて貰ったし……

今でも変わらず好いてくれているのも分かってる、分かってはいるんだけど……


「今さら色恋沙汰なんてね…と思うのよ。今は特に色々な事で忙しいし…」


「そんな事言ってたらいつまでもそのまんまじゃない?せっかくチャンスがあるのにさ」


「…だから、私は…」


「先生!!やっぱり私達と買い物に行きましょう!」


リン達が話している間三人でコソコソ話していたかと思えば…


「だーかーらー!私は忙しいの!!若者同士で行ってきなさいって言ってるでしょうが!」


「ふむ…リン殿。話は聞いた…洗濯物や他の仕事は我とレリックが請け負う。折角だから彼女らに付き合ってやってはどうかね?」


「カリム…あなたまで……」


……特に行きたくない訳じゃないからカリムの申し出を断る必要もないんだけど…皆、というかベアトリクスとカオリは良いのかしら?


この家に住んでる以上家事を分担すると決めたのは私だ。

まぁ、料理当番は外された……一応料理当番は私以外の男女全てが行う事になってるんだけど……洗濯物に関してはそういう訳にもいかない。


洗濯物…つまり下着なんかも当然あるのだから男性陣にやらせる訳にはいかないからといって女性陣が担当してるのだから。


リンは手に持ったもの……カオリのものだろうシンプルな白地の下着を畳んでからすでに畳まれているカオリの衣服の下へと入れる。


……カリムは骨だし、別にいいか…レリックもなんだかんだで誠実な男だからね。


「ま、そこまで言うなら行ってもいいけど…後から文句言っても受け付けないわよ?」


意味を分かっていないのか首を傾げるカオリやベアトリクス。


私は別に気にしないからねぇ。ベアトに関しては住んでる訳でもないのにここで着替えたり風呂に入っていったりするから当然下着もここにある。さっきの意趣返しとしてそれに気がついてないのは教えないでおこう。


「レンはどうする?一緒に来る?」


レンに聞いてみたらレンはレンでスタン達と約束しているらしい。


「なら、カリム、後は任せたわ。畳んだら適当に置いてて構わないから」


「任された。リン殿…ゆっくり楽しんでくるといい」


ありがとう、といってカオリ達に手を引かれ出発したは良いがよく考えてみたら食料品以外で普通に買い物なんてあまりしてなかったな……歩きながら前を歩いている子供3人を眺めながらぼんやりと考えていたが…


「というか先生ってなんであんなにデカイ家に住んでるの?もしかして……めっちゃお金持ちとか?」


「そりゃそうでしょ。だって冒険者の中で最高ランクだし、この間のアクゼリスでもすんごい活躍したんだから!」


お金……ねぇ。そもそもこの世界に来て依頼を受けたのなんて2回だし…家は報酬だし……。

よく考えてみたら出費なんて日々の食費とレリック達の雇用契約費…あとはレンにお小遣いをあげる位で学園の先生をやれって依頼の給料で賄える上に余る。


「……使う事がないから貯まっていくだけよ」


「いいなぁ…ウチってどちらかといえば貧乏だしね。だから冒険者になって稼いで楽をさせたいって思ってるんだよね」


カレンの家は…たしか小さなパン屋を経営してるって最初に渡された資料に書いてたっけ…。


「パン屋さんなんでしょ?あなたの家。最近レンがよく買ってくるクッキーとかパンとかを売ってるのが…"マルテルベーカリー"っていうパン屋さんらしいのよ。もしかして…」


「それ、ウチですよ!!」


あらま。そうだったのね…レンが買ってきたパンを食べさせて貰ったりするけど美味しいのよねぇ。


「なら丁度お昼だし…寄っていこうか?」


「やった!なら先生の奢りで!カオリも良いよね?」


「勿論良いよ…でも自分のは自分で出すよ」


「なにいってんの。大人が出すって言ってるんだから気にしない!日本人の美徳だと思うけどカオリはもっと人に甘えなさい」


「カオリには最初の頃キツくあたってた私達が言える事じゃ無いんだろうけど……今は、もっと仲良くなりたいって思ってるし!」


「カレンちゃん…」


「はいはい!私もだよ!皆でこれからも仲良くしよう!お~!」


ま、若いって良いねぇ…私にはあんな時代……無かったからなぁ。


三人がワイワイと喋りながら歩いている後を歩いているとカレンの家が経営しているパン屋が見えてくる。


「……え?なんか様子がおかしくない?」


近づくにつれて何か怒鳴り声が聞こえてくる。


「もう期限が過ぎてんすよね、契約は守らないと駄目じゃないんすか?」


「兄貴が聞いてんだろうが!金を払えってんだよ!オウコラ!?」


「し、しかし!そんな話で借りた訳じゃ……」


「あのね、契約書はこれ。そしてアンタのサイン…間違いないよね?金貨100枚…キッチリ払って貰うぜ?」


言葉と同時にもう一人の男が腰の剣に手をかける…


「お父さ…!?」


カレンが言いかけた時、それを制するように飛び出すリン。


男が剣を抜こうとしていた腕を掴むと口を開く。


「事情は知らないけど、ソレを抜いたら…洒落にならないんじゃない?そうでしょ?お兄さん?」


「へぇ………おい!誰が剣を抜けって言ったマッシュ。勝手な事してんじゃねぇよ」


「す、すいやせん!兄貴!」


リンが手を離すと兄貴と呼ばれた男はリンをジロリと観察でもするように睨む。


「馬鹿を止めてくれたのは感謝しますがね、こっちも商売なんですよ。金を払って貰えねぇじゃあオヤジから俺達が殺されちまう」


チラッと後ろに目線を向けるとカレンの父親は殴られたのか口から血を流していてカレンとカオリが駆け寄って声を掛けていた。


まるでヤクザね…


「その契約書…見せてもらっても?」


「…構いませんよ?そうそう、それは写しなので破っても無駄ですよ」


「んな事しないわよ。…元は金貨20枚で毎月10枚返済…ね。………あら?この10枚の0って字…おかしくない?」


0の形だけ他の数字と筆跡が違う。よく見ないとわからないけど…私はこんなのを結構見てきたからねぇ…まぁ元の世界より随分雑だけど。


「……我々が騙していると?流石にそんな事を言われては黙ってる訳には……!?」


「ポケットに隠してる物を使うなら…私も動くけど?」


ポケットに突っ込んでいた手が少し動いたのを見てリンは腰の村雨に手を添える。


「……」「あ、兄貴……!?」


頬を伝う冷や汗…目の前でこちらを見ている女は…確実にやる(・・)。……オヤジと同じだ。


「……止めましょう、そんな事をしても何の得もないですからね。ただまぁ我々としては払ってもらえればそれで帰れる…出来ないなら契約にあるように別の……」


男が見たのは父親の怪我を手当てしていたカレンだった。

それに気付いたリンは舌打ちをすると男を睨むと分かった、と一言。


「なら払えば良いんでしょ?払ってやるわ。金貨100枚!」

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