第8話 SSランクって…
しばらくしてフランとトールの二人が動き出した
トールが私のステータスを眺めながら
「まさか、ここまで高いステータスだとは思わなかったですね、ギルドの歴史でも多分トップクラスの能力ですよ、これは」
そんなに凄いとは。正直自分でも驚くわね
「リンさん、一体貴女は今までどんな生き方をしていたんですか?その年齢でこの様なステータスになるなんて並みの生き方では無理ですよ」
と言われてもねえ、子供の頃から気功の扱い方と剣術をおじいちゃんに、格闘術とスナイピングの修行を父さんに、武器の扱い方と暗殺術を母さんに教わって、中学生の頃には母さんや父さん、おじいちゃんに実戦形式の修行と言う名の拷問やらを受けていたくらいだし…高校生の時にはほぼマスターしていたからバイトに明け暮れていたかな。卒業と同時に父さんから旅行に誘われて着いていったらまさかのパラシュートで内戦中の国に落とされたけれど…。
あとは海兵隊に1年、反政府組織に1年、傭兵として4年、戦場を渡り歩いてきた
うん、………思い当たる節ばっかりね…。
「物心ついた時から戦場で戦ってましたし、教えを受けた師が良かったので。それででしょうね」
これなら嘘はついていない、大丈夫でしょ
「なるほど、しかしこれは…凄いとしか言いようがないですね…登録時点からSSランクの方は見たことなかったですよ、一番最高でも《灰塵》ベアトリクスのSランクです、今はSSランクですが…」
他にもSSランクが居るのか…私は所詮変態神のチートだからその人は本当の実力で上り詰めたのだろうね
「他にもSSランクはいるの?」
「います。ギルドの掲示板の横に冒険者ランキングが表示してありますから興味があれば見てみたらいいですよ、ランキングは水晶を通してギルドのデータベースと連動してますから貴女の名前も入りますよ」
なるほど、なら後で見てみようかしら。
そうやって話しているうちにフランが何かのプレートを持って来た
「リンさん、これが登録された情報が記録されたギルドカードです!リンさんはSSランクなのでプラチナカードです!このカードは無くさないでくださいね?紛失すると再発行するのに時間がかかりますし、プラチナカードは金貨1枚が必要になりますので」
ランク次第で再発行の金額が変わるのか、なくさないようにしないと。
「以上で登録は終わりですね。一応ギルドカードの内容を確認してみますか?するならこちらのプレートにカードを置いて下さい、そうするとプレートに情報が表示されますので」
言われる通りにカードを置くと情報が浮かび上がる
名前 リン=ハヤサカ
種族 クォーターエルフ
職種 なし
rank SSランク
ギルドポイント 57
依頼 なし
達成依頼数 16
討伐履歴 ワイバーン×1
ギルドランキング746位
と表示されている。そういえばクライスがワイバーンの依頼を受けたりしたって言っていた気がする
「では、これからのご活躍を職員一同祈っています!お疲れ様でした」
ふぅ、やっと終わったわね。クライスをかなり待たせてしまったから早く行かないとね
カウンターから離れるとクライスの所まで足早に戻る
「リン、どうだった?登録は出来たか?えらく時間がかかっていたみたいだが…」
「まぁ色々あって、時間がかかったけどなんとか登録は出来ました」
「そうか、それは良かった。で、ランクはどうだった?ワイバーンを討伐したのを省みてBかCくらいまでは行ったんじゃないのか?」
うーん、隠してもどうせバレるだろうからほんとのことを言っておいた方がいいわね
「それがですね…SSランクになりまして…」
「そうか、SSランク…って、なんだと!間違いないのか?!」
クライスは私の肩をガッチリ掴んでくる
「え、ええ。間違いないみたい」
クライスは私の肩を掴んだまま離さない…とゆうかこれクライスは掴んでることに気づいてないみたいね
「まさかSSランクとは……リン、君は底が知れないな。不思議な女性だよ、まったく…」
そろそろ周りの視線も痛々しい。端からみると見つめあう男女という表現がピッタリの状態ですね
「クライス、そろそろ離してください…。恥ずかしいので……」
クライスもやっと気づいて慌てて私の肩を離して数歩後ろに後ずさった
「す、すまない!あまりの驚きにとんでもないことを…」
「いえ、別にいいですよ、気にしてませんから」
とりあえず今日は疲れた…………また明日にでもギルドに来てみようかな
「では、遅くなったが帰るとするか。また後日案内の続きをしよう、明日からまた巡回に行かなければならないからな」
そうやって二人でギルドを出て家までの道を歩いていく
「リン、伝え忘れていたんだがもしかするとこの街、カルドナの領主から呼ばれるかも知れない。ワイバーンを討伐して未然に被害を防いだ御礼をしたいそうでな」
領主様ね、あんまりお偉いさんとは会いたくないのだけど、呼ばれたら行かない訳にもいかないか…
「わかりました、その時は行きます」
ただし、もし権力を振りかざすようなら大人しくはしてないけど。
「その領主様はどういう人なんですか?」
「ああ、名前はシレーナ=アストラル。エルフ族でこの街を100年以上前から治めている家系の方で、元々は彼女の祖父が治めていらっしゃったらしいが魔族が攻めてきた折りに敵の大将と一騎討ちの末に行方が分からなくなったそうだ。そこで今の領主さまが代わりに治めることになったんだ」
「女性だったんですね…、お会いするのは楽しみです」
話している内にクライスの家の前に着いた
「あら、お帰りなさい、あなた。リンもお帰り、どうだったの?街の案内は?ちゃんと案内してもらえたかしら?」
マリーは仕事から帰ってきたばかりなのか、白衣の様なローブを身に纏っている
「ええ、しっかり案内してもらいましたよ、ギルドに登録もしてきましたし」
そこまで言った所でマリーが
「リン!あなたって人は!!まだ包帯外しちゃ駄目って言ったでしょ?なんで外してるのよ!」
マリーが私に詰め寄ってきた、彼女は普段は優しいのだけれど怒ると私でも怖いと思う。しかもクライスも巻き添えを恐れてスーッと離れていく
「もう!ちゃんと言うこと聞かないと駄目でしょ!さぁ、中に入って、包帯巻き直すから」
そうして私の騒がしくも前の世界に比べると平和な1日は更けていった