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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第76話 逃走


「抜け出すなら今ね」


リンはベッドから起き上がると周囲の気配を探る。


流石に見つかると面倒だし…カリムは割と強い。

私の身体が本調子じゃないのは自分が一番分かってるからね…レンを探しにいくなら出来るだけ余計な邪魔は避けたい。


「それより問題は…これよねぇ」


ベッドの脇に置いてある机の上には空のホルスターと装填済みのマガジン……


「流石にマガジンはどうしたら良いか分からなかったみたいね…レン」


まぁ弾丸自体は1発だけチャンバー内に入ってるから1発だけなら撃てる…だけど出来るだけ撃つ前に回収しないと。

子供があんなもの撃つものじゃない…これはちゃんと仕舞わなかった私のせいね。


リンは壁に掛けてあった軍服を羽織ると部屋の窓から屋根へと上がって街の入り口へと屋根を跳びながら目指す。


「…チ。もう追い付くなんてね…カリム。それにカオリ、アディ」


「やはり気付かれたか…やはりリン殿…お主は感知能力が高い。カオリ君、アディ君、君たちは彼女の後ろにまわってくれまいか?君たちでは彼女がいくら弱っていようと止めることは出来ぬ」


「分かりました、カオリ行くよ!」


「…う、うん」


黙ってカオリとアディが後ろに回るのを見ていたリン。


「……カリム、止められないと分かっていてこの二人を背後に配置するのね?」


「………」


ここは早めに切り抜けないと…時間が惜しい。


「…分かった。三人とも私を心配して止めてくれるんだろうとは思う…でも今ね、私は…余裕が無い。悪いけどすぐ終わらせるわ」


トンッ


構えたリンはそんな音と共にその場から消える。


「…む………?……………………後ろか!!」


カリムの背後に現れたリンが拳を振り上げた時、カリムは気付いて曲刀を引き抜く。


「残念。もう遅いわよ」


リンが地面を踏みしめ今まで振り上げていた拳……ではなく強烈なミドルキックをカリムへと放ち、カリムを吹き飛ばす。


「普通にやるつもりは無いわよ。悪いけど…ね」


骨であるカリムは軽い為に吹き飛ばされると普通よりも長い距離を飛ばされてしまった。


カリムが建物に激突したのを確認したリンはカオリ達の方を見ようとして…出来なかった。


リンの周りの空間が歪み、リンを地面へと張り付ける。


「…あ、危なかった…!カリムさんに言われた時は信じられなかったけど…本当にこうなるなんて」


「…ぐっ!何を…」


「先生、大人しく部屋にもどりましょう?それは『グラビティ』私が使える魔術の中でもかなり強力な魔術だよ。今先生の身体はいつもの何倍にも体重が増えてるみたいになってるでしょ?」


まさか…重力を操る魔術とはね。流石にアディがこんな戦いかたをするとは思わなかった。


「…ぐぬおおおおお!!!」


「無駄ですよ?先生が異常に重いのを思い出したからこれにしたんです、その武器も見た目と違って物凄く重かったはず。腕を動かす事もましてや立ち上がる事も出来ないでしょ?」


確かに。いくら力を入れても立ち上がれそうに無い


「…先生、ごめんなさい!…でも今はベアトリクスさん達に任せて休み…「…それは出来ない…!」…!」


約束をした、必ず守ると。


腕に、腰に、足に…全身に力を込め…立ち上がるリン。

ミキッバキッっと全身の骨が悲鳴を上げる。


「立ち上がるなんて無茶な…!?カオリ!早く先生を気絶させて!あんな事したら骨が…!」


慌てるアディの横をすり抜けてカオリがリンの前に躍り出る。


「…本気で行きます…!!」


拳を握り腰を落としたカオリを見てリンは…


「……」


繰り出された拳をまともに食らって吹き飛ばされるリンは背後の建物の壁に激突して崩れ落ちる。


「……え?」


「…せ、先生?!」


慌てて駆け寄るアディとまさかそのまま攻撃が入るとは思っていなかったカオリ。


ぐったりとして動かないリンに近寄るアディだが


「いかん!離れなさい!!」


吹き飛ばされたカリムが戻ってきてそう叫んだ。


「あぁ…痛かった。…でも、これで動ける…」


ユラリと立ち上がるリンにアディが気付いてすぐに離れようとするがリンが逃がす筈もなく…


「捕まえた…。アディ…よくもやってくれたわねぇ…」


首根っこを捕まれたアディはあははと笑って誤魔化す。


「えと、私ってどうなります………?」


ニヤリと笑うリンにアディは嫌な予感を感じる。


「せっかく捕まえたから…少し付き合って貰おうかしら」


アディを捕まれた反対の腕で亜空間からあるもの(・・・・)を取り出す。


それに真っ先に気が付いたカオリは叫ぶ。


「カリムさん!!!!」


カオリの慌て様を見てカリムはすぐにその場を離れる。


「…壊れた建物は後で私が弁償するわ…じゃあね」


手に持ったモノ…手榴弾のピンを口で咥えて引き抜き放り投げたリンを見てカオリは顔を青ざめさせて叫ぶ!


「カリムさん!伏せて!!!」


次の瞬間、爆発が巻き起こりリンの姿を掻き消したのだった。


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