第73話 頭痛の正体
すいませんお久しぶりです。
感想を頂いていたのですが暫く忙しかった為に返せずすいません(>_<)
閑話が消えてるのは自分のミスです!消えた後、閑話(リンの過去編)はしっかり纏めて番外編みたいな感じでやって欲しいとの要望が多かったのでそんな感じでやります(/。\)
この度は大変ご迷惑をおかけしました!!
「…………また、やっちゃったわね」
リンはベッドから起き上がると周囲を見渡してみる。
「ここは…」
気を失った後運び込まれたらしいこの部屋に見覚えは無い。
だけど微かに薬品の匂いがするっていうことは医療施設かな?
「あら、やっと目が覚めたのね!心配したのよ…だから早く治療しなさいって言ったでしょう!」
マリーは怒りながらテキパキと治療の準備を始める。
「リン、貴女の身体は異常なほど頑丈で回復力が高い…だけどだからと言って無茶し続ければいずれは…」
「…そうかもね。ごめんなさい…確かに最近は無茶しすぎたわ…これからは自重する」
服を脱いで手当てを受けながらリンはマリーに謝ったが
「謝る相手は他にいるでしょ?……入ってきて良いのよ?レン君」
マリーの声と同時に扉が開いてリンに飛び込んできたレンを受け止める。
「母さん!…良かった!もう大丈夫なんだよね??心配したんだよ?!」
涙目になりながら抱きついてくるレンを抱き締めながら「大丈夫。心配してくれてありがとうね?もう大丈夫だから…」
暫くして安心したのかレンは穏やかな寝息をたてて寝てしまった。
眠るレンの頭をそっと撫でていると今まで黙っていたマリーが口を開く。
「ところで…リン。貴女に聞きたいことがあるんだけど…もしかして最近酷い頭痛とか無かった?」
「…っ!?…なんで知ってるの?」
「やっぱり…リン、落ち着いて聞いて?……今リンはある病気と同じ症状が出てるわ」
「…ある病気?」
「そうよ…最初は軽い頭痛、症状が進行してくると身体能力の低下、最終的には身体は動かなくなり死に至る……」
「でも頭痛くらいなら誰にでもあるでしょう?勘違いじゃ…」
「…その病気はね、特徴があるの。体の何処かに必ず特徴的な痣が出るからね…その痣の形から付けられた病名が《死蝶症》本来は発症したら直ぐに特効薬を服用すれば治るのだけど…この街の近くではその特効薬の材料が手に入りづらい時期で…」
死蝶症…ね、確かに最近…いや、正確にはこの世界に来てから最初の頭痛のあとから変な痣が右肩に出来ていた。
それにしても特効薬が手に入りづらいとは…つくづく私は運が悪いみたいね。
「とはいえ…普通なら発症してから数日で死に至る病なのにリンは普通に動けてる…これならまだ治せる可能性もあるかもしれないわ。それに本来なら死蝶症は子供の頃に発症する病気なのよ、さっき説明した症状は大人が発症した場合なんだけど…本当に稀にだから発症から正確に何日なのかが分からないの。さっきも言った通りリンにはまだ末期症状が出てないからまだ猶予はあると思いますけど、特効薬が手に入るまでは大人しく入院してもらうわね?」
「…わかったわ。で?特効薬の材料ってなに?」
「ほとんどはここに揃っています。だけど1つだけ足りないの…それは《精霊の蕾》精霊の蕾は今の時期は非常に採取が難しいの…今の時期は火竜が採取地に舞い戻るからなんだけど…」
それなら自分で取りに行ったら問題無いんじゃないかしら?って言ったらもの凄い勢いで怒られた。
「…とにかく!精霊の蕾はギルドに依頼を出しますからリンは暫く大人しくしてなさい!良い機会だから徹底的に治療しますからね!」
そう言ってマリーは部屋を出ていった。
まぁ、今すぐに死ぬような気配も無い?みたいだし、焦ってもしょうがないか。
後に残ったのは寝ているレンと私だけだし丁度いいから借りていたカルネの冒険記でも読もう。
レンを起こさないように気を付けながら本を開く。
流し読みしながら気になった所だけ真面目に読んでいたら早速気になる所があった。
海上遺跡で発見した巨大な鉄の船の事に関する話だった。
本によればこの世界を漂流している海上遺跡の一つにて発見された鉄の船はこの世界に存在している一般的な船……(絵付きで紹介されていた)は帆船が主流みたい。
何処の国でもそれは同じらしくガレオン船で大砲を撃ちながら魔術でも撃ち合いをするスタイルっぽい。
だけどカルネが見つけた船は当時最大級の船よりも更に巨大で風を受ける為に張る帆が無くて鉄の柱や棒が幾つもある変なマスト、甲板には巨大な鉄の塊が何個も鎮座していたらしい。
あと喋るって書いてあるけどこれは意味が分からないわね。
……少しよく分からない表現があるけれどこれってどう考えても私達の世界の船じゃないかしら??
カルネは見つけた船の周囲を探索しているときに現地の住人に遭遇して捕まったらしくその時の様子も書き残していた。
捕まったカルネは現地の住人から神の方舟(現地の住人がそう呼んでいたらしい)を奪いに来たと勘違いされていたのでまず誤解を解くために四苦八苦したみたいね…その辺は面白おかしく書いてある。
神の方舟は昔一人の青年が召喚したらしい…その青年は昔現地の住人が海賊に何度も襲われていた時光の中から現れたらしくそれはもう神が降臨したのだ、と当時の人々は語ったそうだ。
その青年はたまに意味が分からない事を言っていたそうで…住人に伝わっている言葉はカルネにも意味が分からなかったらしい…その言葉は『チートモラッタッタ!』だそうだ。
……んー。これはどう考えても馬鹿な御同輩の気配がするわねぇ…チート貰ったった!って…。
青年は住人が海賊に困っていると聞いて何やら呪文を唱えると青年と同じく光の中から現れたのがこの神の方舟らしい。
神の方舟は現れた海賊を凄まじい砲撃で一瞬で沈めたみたいでそれはもう凄かったと住人は言う。
その後青年は住人の一人と結婚して子を為し、その地に骨を埋めることになった。
へぇ…、最近ある小説とかじゃよくあるチートを使って暴れたり、ハーレム作ったりしなかったのは感心ね。
カルネはその青年の家にあった文を書き写してたみたいでこう書いてあった。
『俺は三島大樹。俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世の…………と言いたいけど財宝も無ければ他の陸地に渡る勇気もないのでこの地で生涯を過ごそうと思う。最初は浮かれてたけど俺のチートって正直言ってこの島じゃ使い道が無かった。俺のチートはあらゆる兵器を創造出来る能力だった…でもこんな島では兵器を作った所で使い道なんて無い。それに人を殺すのはやっぱり嫌だったし…しかも俺が作り出したアレは消すことが出来ない以上無闇に造るとヤバい。
なので皆に伝言を頼んだ。もし俺と同じ言語を話す人が来たら俺の船を渡してくれ、それまでは守ってくれと。
一応起動の為の合言葉も伝えてるけどぶっちゃけ伝言ゲームみたいになる恐れがあるからもしもの為にここに書いておく…合言葉は《チート最高》だ。
追伸…米食いてぇ。』
…追伸の意味は為してない。多分あんまり頭はよろしく無かったみたいね…けれど切実な願いだったのは伝わったわ。
しかし兵器創造って…こんな能力があったら普通は能力使って暴れたりするでしょうに…よっぽどしっかりした性格…というよりただのヘタレだったみたいだけど。
パラパラとページをめくって読み進めると流石に疲れていたのか眠気がくる。まだ昼過ぎみたいだけどなんにも出来ないならいっか。
いつもの様に武器の点検をしてから近くにある机に置くとレンの頭を撫でながら眠りについた。
リンがいつになく深い眠りについていたのを隣で暫く寝たフリをしていたレンは気付いていた。
母さんはいつもより深く眠ってる…今なら起きても気付かない…よね?
レンはさっきのマリーとリンの話を思い出す。
母さんが病気だった…いつも僕に隠れて辛そうにしてたけど…今度は僕が…母さんを助ける番だ!
レンはそっとベッドから降りるとリンがいつもの習慣で机に置いているデザートイーグルをホルスターごと手に掴む。
村雨はレンの力では持ち上げる事は出来なかった。
…えっと確か母さんはこうやって外してたはず…っと出来た!これを僕のベルトに……
ホルスターを腰に着けていたベルトのナイフと反対側につけ直す。
これで僕も……!
腰に下げたホルスターを満足気に撫でてから音を立てないように慎重に部屋を出たレン。
それから色んな人に精霊の蕾を一緒に探して下さいって頼んでみたけれど皆無理だって言って聞いてくれなかった。
確か東の山に精霊の蕾はあるって前に授業で習ったけど…僕1人じゃ…。
そんな事を考えながら歩いていた時
『おー、レンじゃねぇか!リンは大丈夫なんか?』
「先生は大丈夫だったかい??」
「あ…こんにちわ!シュノアさん、ガルさん」
『俺にはさんなんてつけなくていぃぜぇ!…所でよ……何でお前さんがその魔道具…銃を持ってんだ?そりゃかなりあぶねぇ代物だったはずだがなぁ?リンは何を考えてやがるんだか』
…ドキッとしたけど僕が勝手に持ち出したとは思われてないみたいだった。
「レンは外套を着てるから街の外に出るのか?あまり先生を心配させるのは感心しないけど」
『まぁいいんじゃねぇか?男なら一度は危険な冒険に憧れるだろ?』
…シュノアさんなら手伝ってくれるかな?大人の人に頼むと無理だって断られるし…
「シュノアさん…僕の話を聞いてくれませんか?」




