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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第69話 シレーナとカリム




「シレーナ様は応接間でお待ちです」


次の日私とカリムは二人でシレーナ邸へとやってきた。


「そちらの御方がシレーナ様へと会わせたい方でしょうか?」


アルフォンスさんは内心怪しんでいるのだろうがそれを表情に出す事は無く、フードを被ったカリムを見ていた。


「えぇ、私が保証するから一先ずシレーナ姉さんに会わせたいの」


「左様でございますか…ではご案内致します」




応接間へと入るとシレーナがテーブルへ置いてある欠け月の大曲剣を複雑そうな表情で眺めていた。


「……あら、そちらの方が例の…?」


こちらに気付いたシレーナの問いかけに頷く。


「そうよ、会わせたい人はこの人…まぁ昨日言った通り少し訳ありだけど…」


カリムに合図するとカリムがフードを脱ぐ


しかし、脱いだ瞬間…ヒュン!という音と共にテーブルへと置かれていたはずの欠け月の大曲剣が振り抜かれてカリムに迫る。


咄嗟にカリムが腰に提げていた剣を抜いて防ごうとしたが、それよりも先にリンが抜き放った村雨が大曲剣を阻んだ


「…リン!あなたは何を……!スケルトンナイトなんて連れてきて…」


ギチギチと音を立てながら更に押し込まれる刃


「ちょっと!まずは話を聞いてって…」


ヤバい…私より力が強い!


「シレーナ嬢は変わらぬな。…いや、我がこの様な姿なのが悪いのだが……」


カリムの言葉にシレーナの表情が変わる


「…その声は………カリム様!?」


驚いた声をあげたシレーナが剣に込めていた力を抜いて流れる様な動作で刀身を鞘に納める。


「うむ、この様な姿で再会したくなかったのだが…シレーナ嬢、久方ぶりだな?随分と綺麗になったものだ…」


「……どの様な姿でもカリム様に再び会う事が出来るということは嬉しいの一言に尽きます…!」


いや、私が止めなかったら首飛ばしてたわよね?


物言いたげなリンを見てシレーナは


「最初から伝えて貰えればこんな…でも助かりました…リンが咄嗟に止めてくれなければ危うく私がカリム様を葬る所でした」


「いや、シレーナ嬢の剣は我に届いたみたいだな…」


カリムの言葉に振り返ってみた時…カリムの頭が首から離れて地面へと落下していく所だった


「ああ?!」


シレーナが慌ててカリムの頭をキャッチする。


「助かった…流石に落ちて砕けたりすればどうなるかわからぬからな」


シレーナから自身の頭部を受け取って元に戻し、改めてシレーナへと向き直る。


「ではこれまでの事は我から説明しよう…」


それからカリムは自身が自我を取り戻した時の事から順を追って説明していき、私はそれをアルフォンスさんが淹れてくれた紅茶を飲みながら聞いていた。


「…そうだったんですね。あの戦争の後私はカリム様の事も探していたのですが…結局見つかったのは血に染まったこの剣だけでした。鞘の方は30年位前にこの街で武具屋の倉庫に眠っていたのを見つけたのですよ」


そう言ってシレーナは欠け月の大曲剣をカリムへと渡す


「…ふむ、やはり手に馴染むな」


剣の柄を握ってカリムが鞘から抜き払うと先程シレーナが抜いた時とは全てが違った


澄んだ音を立てながら抜き放たれた刀身は月の光を浴びたかのように青白く発光し、同じく青白いオーラが放たれている。


「リン、あれがあの剣の本来の姿ですよ…あの剣は切れ味も凄まじいですが、真の力はそんな物ではありません。あの剣固有のスキル…《月閃光》《朧月夜》《月牙》この3つのスキルが使えて初めて真価を発揮するのです」


シレーナの説明を聞いているとカリムは頷いて


「まだ我を主と定めてくれていたとはな…50年も待たせてすまなかった…」


鞘に納めながらそう呟く。



「そしてシレーナ嬢…今まですまなかった。やはりあの時君の言葉を…」


カリムが言いかけたが、シレーナは人差し指をカリムの口にあてながら首を振った。


「いえ、あの時の私には戦況を見る目が無かったのです…カリム様がなぜあの様な行動をしたのかが今では分かりますから…どんな形にしても今ここに貴方は戻って来てくれました…それでいいんですよ」



…………甘い二人の世界を作り上げているのでなんとなく黙っていると唐突にシレーナがリンに顔を向けた。


「それはそうとしてリン、私の剣を受け止める事が出来る人間は久しぶりですよ?少しだけ興味が沸きました…」


シレーナ姉さんは私に妖しく微笑みながら告げる。


「リン、身体を動かしたいから付き合って下さい」





はい。と言うわけで学園の修練場へとやって来てしまいました……はぁ。


自分の状態は分かっているのだけどシレーナ姉さんとは闘いたいと言う気持ちの方が上回った私…。


そう、認めよう…やはり強い相手と闘うのは楽しいの。

まして幾ら暴れても相手が死なないような便利な結界があるなら尚更なのよね…これは仕方がないわ。


自分に言い訳をしつつ修練場に集まってきた生徒の方へと歩いていく


シレーナ姉さんがアルバートに許可を取りに行ったから仕事もしないと……今日はせっかく休みをとったのだけれど……。


「朝はちゃんと全員鍛練をやってたかしら?私が居ないからって手を抜いていたりしたら……」


「大丈夫です!ちゃんと…全員鍛練メニューをこなしてました!」


シュノアが慌てて私にそう告げたが…腰にある剣は正直だった。


『あぁん?全員?そりゃおめーとカオリ、カレンとその他の奴らはやってたがよぉ…アディの嬢ちゃんやガイ、オルトは…』


ガルの言葉にシュノアの顔がみるみる青ざめていく。


「…へぇ。シュノア?あなたは私に嘘をついたのかしら?」


リンの視線が厳しい物になりシュノアは冷や汗を流すが…リンは、はぁ…とため息を吐く。


「まぁいいわ…あなた達は真面目にやってたのでしょう?その3人には後から沙汰を下すとするわ」


そう言ってシュノアの隣に座ると煙草を吹かす。


「そういえばあんた達がここに居るのは分かるけど…なんで中等部も居るの?」


周りを眺めてみれば私達のクラスに混じって中等部の子供が鍛練をしている…レンはカオリやカレンと練習しているのが見える…他にも女の子と男の子がいて5人で楽しそうにしている。


「中等部の教師が急遽休みになったみたいで俺達の鍛練に参加させて欲しいとアルバート様から頼まれたんです…最近の俺達は真面目に鍛練をしていると仰っておられたのでそれならば、と」


なるほど、やはりシュノアにまとめ役をやらせて正解だったわね…しっかりと判断してるし、上手くまとめてるみたい。

例外は3人居るみたいだけど…。


『まぁコイツらもチビッ子に教えるくらいは出来るからな。だがよぉ?ちとお前さんの息子はレベルが高すぎだぜ。カオリとカレンの鍛練についていってるからなぁ』


「私が毎日教えてるし…たまにガスやベアト、カリムも教えてるから」


ガルに答えながらリンはアイテムボックスからバレットを取り出す。


『おぃおぃ、なんだぁ?いきなりそんな黒くてぶっといモン出すたぁ嬢ちゃんは欲求不満か?』


ガルの軽口はあえて無視しつつボルトハンドルをコッキングして動作を確認する。


うん…問題なく装填出来てるわね。


「…それはもしかして先生がいつも使っている物の…」


シュノアの問いに


「そうよ、簡単に言えば私がいつも使っているのはハンドガン…これは対物ライフル。威力は比べ物にならないわよ?私はこれでワイバーンを仕留めた…あの時は2発撃ったけれど狙いを外さなければ一撃で仕留める事が出来たんだけどね」


そういってリンはもう一回ボルトハンドルを引いて先ほど装填した弾丸を排挾するとその弾丸をシュノアに渡す。


「12.7x99mm NATO弾…それがコレに使う弾よ、それでこっちが…」


デザートイーグルからも同様に弾を排挾してシュノアに渡す


「.50AE弾…それがこれの弾、全然違うでしょ?ハンドガンでも当たりが悪ければ人は死ぬ。だけどそっちのデカイ弾だったら…人に当たれば間違いなく一撃で死ぬか行動不能にはなるわね」


リンはマガジンを元に戻して立ち上がるとバレットを肩に担ぐ


「ソレ(弾丸)はあなたにあげるわ。よっぽどじゃない限り暴発はしないから」


ヒラヒラと手を振りながら歩き去るリンの背中を見送るシュノア。


長い銀髪を靡かせ歩く彼女は……


シュノアは首を振って意識を手元に戻す。


「こんなの貰ってもなぁ…」


手に残された2つの弾丸を眺めながら呟く。


『いーじゃねーか!どんなものであれ憧れの女からの贈り物…大事にすればいんじゃね?それともナニか?もっと違うものでも欲しかったのか?そーいやカオリの嬢ちゃんがリンと一緒に寝たってーのを聞いた時は心臓が跳ねてたなぁ…』


「っ!?そんなんじゃない!!」


慌てて否定するシュノアにガルは更に追い討ちをかける


『どうせなら当たって砕けろよ、もしかしたらOKかもしれねぇぞ?貴女の温もりを下さいってな!ギャハハハハハ!!』


シュノアは迷わずガルを地面へと叩きつけ、踏みつける。


「そんな事いうか!!」


騒がしい相棒を更に踏みつけるとシュノアはふと思った。


「そういえば先生は何をしに来たんだ?今日は休みだったはずだが……」


『さてなぁ?だが暇だから来たってぇ訳でもなさそうだったがな…』


彼らの疑問はその後すぐに答えが出ることになる…リンとシレーナの激突によって………。


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