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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第61話 売られた喧嘩は…


ギルドへと向かいながらリンは見るからに幸せそうなオーラを醸しながら真新しい剣帯に吊られた陽炎をニヤけながら撫でているカオリを微笑ましいというか懐かしいというか…自分にもこんなことがあったな、と思って眺めていた。


「先生って子供いるんですよね?さっき聞こうと思ってたんですけど…」


不意に隣を歩くアディから聞かれたリンは


「…ねぇ、アディさんはこの間の『アルセリスの惨劇』は知ってるかしら?」


アディはAランク冒険者である。この前のギルドからの緊急依頼を受けて自分も実際に救援へと向かった。


「はい、私も実際にアルセリスに向かいましたからね…先生も?」


「ええ、あなた達とは緊急依頼の内容が違うのだけれど…私はあの街から1人男の子を助けて帰ってきた…私はその子の母親・・を助ける事が出来なかった」


「…」


だけど…


「あの子は…レンは私の息子よ、血の繋がりとかではなくてもっとこう…うーん。まぁ上手く説明出来ないけれど私はすんなりとレンを息子として受け入れたのよね」


リンの顔を見たアディは今まで見てきたリンの表情のどれにも当てはまらない微笑みを見てまだ見たことがないレンという子はこの人に助けられて幸せだったのだろうと思った。


「さて、ギルドに着いた事だし…ちょっと私は別行動させてもらうわよ」


リンはそう言って受付まで歩いて行ってしまった


「…えっと、私は…?」


カオリはリンについてきただけであってギルドに用事があった訳じゃなかったのだが


「まぁ、どうせだし登録してみたら?…カオリって何気に強いでしょ??それを使うのなら前衛職なんだろうしさ」


「…またの機会にしておこうかな。まだまだ私なんかじゃ実力不足だもん」


「そっか、じゃあ先生を待ってる間に私は依頼を探してくるね」


アディはカオリをギルド内に併設されている酒場の席に座らせると受付カウンターへと歩いて行った。


1人残されたカオリはとりあえずウエイトレスに飲み物を注文してリン達を待つことにしたのだった




その頃リンはもう何度目かも分からないギルドマスターの部屋でアルバートと話していた


「ふむ、確かにカルネの冒険記なら全て置いてあるが…おまえさんが興味を持つとは思わんかったわぃ」


アルバートにカルネの冒険記を貸して貰えないかと尋ねたリンに対してアルバートはさも意外な事だと言って驚いていた


「そんなに不思議でもないでしょ、女でも冒険には心踊るものよ」


「そんなもんかの?まぁいいがの」


アルバートが手元にあった呼び鈴を鳴らすと最初にアルバートと会った日に感じた気配がしたかと思ったら扉から私より少し年下位の女性が部屋へと入ってきた。


「シーラ、カルネの冒険記を全巻持ってきてくれんかの」


アルバートが告げるとシーラと呼ばれた女性は一礼して部屋を後にする。


「へぇ…中々の使い手ね?私に対してもいつでも攻撃出来るようにしていたわ」


まぁ攻撃してきた時は残念ながら彼女が生きてこの部屋から出ることは叶わなかったけれど


「あやつは最初にお前さんから気配を見破られた時に死ぬかと思いましたと言っておったからのぅ…その後さらに鍛練に励んでいた様じゃし…あまり苛めんでやってくれ」


苛めるとは失礼ね!私は敵対するなら容赦はしないってだけよ。


「私は別に苛めるつもりはないんだけれどね、そう言うなら次からは殺気を巧く隠しておくように言っておいて頂戴。あまりにもあからさまに殺気を向けられたら不愉快よ」


「ならば私と一戦交えて頂けないですか?私はアルバート様が一目置いているあなたの実力を感じてみたい。あの日私はあなたに対して為すすべなく敗北したと言えますが…あなたの様な経歴が不透明な人物にアルバート様を近づける訳にはいかない」


いつの間にか戻ってきていたシーラがカルネの冒険記と思われる本を机に置きながら私にそう告げた。


「…シーラ!やめんか!」


アルバートの怒鳴りを私は手で制す。


「ま、いいじゃない。私は貴女みたいに私に突っ掛かってくる人は容赦なく叩き潰すと決めてるんだけど…それでも?」


シーラは無言でこちらを睨み付けている


こういう仕事に真面目な人はプライドが高いから面倒だって思うけれど…裏でコソコソと動かずに自分の上司の前で堂々と挑んでくる辺りは好感が持てる。

それに…当初の目的は達成できそうだしねぇ。


「アルバート、ここの鍛練場は学園のと同じ?」


「うむ、こちらの方がオリジナルじゃからの、問題は無いが…」


「ならやりましょうか、シーラさんだったかしら?私に喧嘩売ったんだからそれなりの覚悟はしてもらうわよ?」


「望む所です」


やれやれ…もう少し穏便に解決出来んもんかのぅ…


アルバートは二人のにらみ合いを眺めつつ溜め息を溢すのだった…


簡易人物紹介


【名前】 アルバート


【2つ名】 魔導元帥


【得意系統】 重力 土 風 火


【主な魔法、魔術】 グラヴィトンプレッシャー エクスプロード ウィンドカッター ディレイスペル等


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