表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
62/130

第59話 企画書を渡しましょう


「ということで、野外実習を行う場所は港町サントレイドの近くで行う事に決まったわ」


リンは先程生徒達が話し合って決めた内容を学院長であるアルバートに報告しに来ていた。


「うむ、そうかそうか…あい分かった!許可は出しておこうかの…後は中等部の教師にも内容を詰めさせねばならんじゃろうな」


リンが差し出した企画書に承認印を押して机の引き出しに仕舞うアルバート


「予算とか詳細な日程と調整案はまた後日改めて資料を作って持ってくるわ…というか私が言い出した事だけどそんなに簡単に許可を出していいの?」


「別にいいんじゃよ、そもそもこの学院の方針はなるべく生徒の自主性に任せるということもあるのじゃからな…こうやってあの問題児達が真面目に頑張っておるのならそれを見守ってやるのがワシ等の役目じゃろうて」


アルバートはそう言って窓の外に目を向ける。


窓の外…鍛練場ではウチのクラスの生徒達が模擬戦を行っている最中だ


「ところでリン、この間の話じゃが…帝国と聖教国が動いとるのは事実かね?」


「…えぇ、私のクラスの異世界人…カオリが拐われたのは報告した内容通りよ。私が間に合ったから特に問題は無かったけれど…」


「また厄介な問題が起きとるのぅ…しかも報告にあったナイフ使いは裏ギルドのメンバーじゃな」


「裏ギルド?」


アルバートによれば裏ギルドとは正規のギルドでは無く、暗殺等の主に表沙汰に出来ない仕事を専門に受けるギルドだそうだ。

勿論、本来は摘発されるのが道理だが本拠地を転々としていて、まず尻尾を掴めない。

更にギルドに所属しているメンバーも凄腕であることが大半なので討ち取る事自体が難しいらしい…


「なるほどね、だけど私が戦った奴はハッキリ言って雑魚だったわよ?」


ぶっちゃけあの程度の腕前でなぜ前に出てきたのか…力量も読めないような奴等が集まってるのなら脅威になる事はまず無い。


「そりゃお前さんが強すぎるだけじゃろうて。裏ギルドのメンバーを殺したお主を狙って来る可能性もあるから充分注意しておくんじゃぞ?」


裏ギルド…ねぇ。またちょっかいかけてくる前に潰した方が良さげなんだけど…こんなことなら殺さずに捕まえれば良かったかも


「そうね、一応警戒しておくわ…アルバートもなにか分かったら教えてくれると助かるわ」


リンは手をひらひらと振って部屋を出ていった。


リンが出ていった後アルバートは改めて資料を開いて眺める


「ふむ、今までには無い形の行事じゃな…」


サントレイドまでは各自荷物を背負っての行軍実習を行いながらも各クラス、各学年から斥候職希望の生徒を数組に分けての斥候技術の修練…これには冒険者を雇い各班に配置して指導にあたる。


リンはその為の依頼を学園から出すようにしてほしい…と企画書に記していた。


「なるほどのぅ。街までは徒歩で3日、生徒達の速度に合わせるならば4日から5日という所かの」


街に到着した後は港から船で近くの島へと移動しての水練を2日間行ってからその後1日を自由時間とする。


そしてまた同じ要領でこの街に帰ってきて実習を終了…流れが大体分かったアルバートは残りの必要物資や人員配置などの概要を頭に入れて席を立つ。



「さて、では可愛い教え子達の為にワシも出来ることをやろうかのぅ」





リンが計画を提出しに行ったその日の放課後…リンはカオリを連れてある場所へと向かっていた


「あの、一体どこへ??」


恐らく聞いても無駄なんだろうなぁとは思いつつも一応聞いてはみたが…


「行けば分かるわよ…まぁ損はしないから安心なさいな」


どこか楽しげなリンを見てカオリはその雰囲気からこの前の事…リンを全力で吹き飛ばした事は怒ってるいないと分かるとホッと息を吐いた。


あの後、防御に魔力を回した場合はどこまで耐えられるのかを試した所、最初の一撃で意識は途切れてしまった…まさか異世界で死んだお祖母ちゃんに会えるとは思わず少々ビックリした。

しかしお祖母ちゃんからまだ来てはダメだと言われ、ちゃんと戻って来たのだ…あははは…はぁ。


カオリがこの前の事を死んだ様な目をしながら思い出していた時、後ろから声を掛けられた


後ろを振り返ってみるとそこにはアディがいつもの制服姿では無く、黒い鞣してある皮の胸当てと彼女の愛用武器である弓を背負って立っていた


「カオリが遠くに見えたから走って来ちゃった、先生と一緒に歩いてると遠くてもすぐに分かるね」


走って来たにも関わらず息も切らせていないのは流石としか言いようがない…アディは走って来たからか乱れたサラサラの青髪を整える


「あら?その格好…あなたはギルドの期待の新人ってベアトリクスが言ってたわね、今からギルドにいくのかしら??」


「そうですよ、先生達はどちらへ?」


「カオリに渡したい物があってね、武具屋まで行く途中だったのよ」


「へぇ、武具ですか…面白そうだし一緒に行ってもいいですか??」


「ん?別に良いけれど…ギルドはいいの?依頼を受けに行くんじゃなかったのかしら?」


「依頼はいつでもいいですし…なんだかこっちの方が面白そうだと思ったので!」


アディの返事にリンは苦笑いを浮かべながらも


「まぁあなたがいいんならついてらっしゃい、どうせギルドには私も後から寄る予定だったからね」


そうしてリンとカオリにアディを含めた3人は歩き出した

【簡易人物紹介】


【名前】 アディ


【性別】 女


【ランク】 Aクラス


【武器】 宝具級長弓『レイルフリーゲ』


【防具】


【頭】無し


【体】黒狼皮の胸当て


【腕】パワーリスト


【足】黒狼皮のブーツ


【特徴】青髪をサイドテールにしていて瞳は暗い蒼色。目鼻立ちは整っており、歳相応に化粧もしているが冒険者として活動するときはしっかりと区別しているらしく化粧などはしていない。

ギルドでは期待の新人と言われており、2つ名は氷結の射手である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ