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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第56話 カオリとシュノア鍛錬をする


リビングに戻った後、私が気を失った後に起こった出来事を先生と暫くして戻ってきたレリックさんとスレイさん、それから私が戦っていたスケルトンナイト…カリムさんから聞いた


「…わたしなんかの為にこんなに沢山の人に迷惑をかけてしまって…すみません」


「なにを言ってるのよ、あなたは被害者なんだから…むしろ怒っていいわよ」


先生がそう言うとレリックさんとスレイさん、カリムさんは申し訳無さげにしていたので


「いえ、もう終わった事ですし。カリムさんに至っては自分の意思ではなかったみたいですから」


「まことに申し訳なかった。これからは我が剣に誓って貴女の守護を全うする所存だ」


「あ、ありがとうございます」


ずずいと近寄ってきたカリムに一歩下がる


いくら大丈夫だと分かっていても普通に骸骨が動いているのは怖い


「カオリが怖がってるでしょ、女の子なんだからカリムの顔は怖いに決まってるじゃない…その辺にしときなさいな」


「む、これは気が付かず…申し訳無い」


「まぁ、そういうわけっすからこれからもよろしくっすね」


スレイさんは相変わらずチャラいなぁ…レリックさんは静かに頭を下げてくる。


「とりあえず二人とも今日までは泊まって行きなさい。といってもまだ昼間だからなにかやることがあるならレリックとスレイの二人がついていくなら出掛けてきてもいいわよ?」


ちなみにベアトリクスさんとガストロノフさんはこれから依頼があるそうで帰っていった。

帰りがけに「なにか困ったらいつでも言ってね?」と言って私とシュノア君にお二人の名前が刻まれたカードをくれた。

これをギルドに持っていけばギルドの連絡係が二人に連絡をとってくれるらしい


となりでシュノア君が嬉しそうに二枚のカードを懐に入れていたのを見て意外だと思ったのは内緒ね?


「さて、これからどうしましょうかね…」


カリムと傭兵二人組は私が居る間は護衛の必要は無さそうだということで当面の生活費を稼ぐためにギルドで依頼を受けに行くと言って出ていったし…


『まー、やることねぇならいっちょシュノア達に稽古をつけてやったらどうだ?』


「それは良いわね…!そもそも本人達が強くなれば…問題ないじゃない」


そう、この一言で私達の地獄の一日が幕を開けたのでした…





『シュノア、カオリ、相手の動きをよく見ろ』


私達は先生の家の庭でかれこれ半日は戦っている…戦ってるのはシュノア君1人なんだけどね。

シュノア君から先にやらせてくれって頼まれたし…決して怖いからではないことを主張したい


「まず相手の目を見続けなさい…人間は狙いをつけるとき必ずその場所に視線が向く。私があなたたちの攻撃を避けることが出来るのも視線から動きを予測しているからに過ぎない」


言いながら先生はシュノア君の攻撃を横にずれて避けると右足を踏み込んで肘打ちを繰り出し、裏拳でシュノア君を吹き飛ばす


あの動き…空手よね??


「っ!?」


飛ばされながらも身体を捻り受け身をとり衝撃を逃がして着地する


『シュノア、さっきの動きはまぁギリギリ合格だがなぁ、実戦ならもう死んでたな』


「分かっている!」


立ち上がってまた剣を構えたシュノア君に対して先生の構えは見たことが無い独特な構えをしている


「まだまだやる気があるみたいね…なら行くわよ!」


先生が地面を這うかの様な動きでシュノア君に急接近する


「目を見る…!」


ガルを水平に構えたシュノア君は先生の拳が自身に届く寸前で拳に剣を合わせて弾く


「やればできるじゃない…!」


拳を弾かれて体勢が崩れた先生にシュノア君の剣が届く………事は無かった。


弾かれ崩されたと思ったのはフェイントで本命は低い体勢からの足払いだった


足を払われて転んだシュノア君に容赦なく拳を振り下ろすと次の瞬間には衝撃と共に地面が陥没して土煙が巻き起こった…


『…一瞬だが嬢ちゃん本気で仕留めるつもりじゃなかったか?俺もヒヤッとしたぜぃ』


土煙が晴れると倒れたシュノア君の顔の真横に降り下ろされた拳が地面にめり込んでいた。


「…また勝てなかった」


悔しげに喋るシュノア君だけど私はガルが言った言葉の方が気になるんだけど…。

本気で仕留めるって…今の状況を見ると割りと洒落になってないんじゃ…?


先生は立ち上がり服についた土を払う


「ちょっとやり過ぎたわ…まぁちゃんと寸止め出来たから問題ないでしょ?」


『まーなぁ、最終的に死ななければいいんじゃねーか?嬢ちゃんの殺気に耐え、さらに攻撃出来る様になればぶっちゃけSランク位までの奴等には勝てるだろーよ。今は到底無理だろうが…嬢ちゃんの攻撃を受けて耐えられればSSもイケるだろうな』


シュノア君が後ろに下がる替わりに私は前に出る


「そういえばなんだかんだでカオリとは1度も手合わせしてないわね?あなた…なにを修めてるのかしら?刀には詳しいみたいだけど刀術はそこまで得意じゃないでしょ?」


正直バレてるかもとは思ってたのだけど…


「い、一応実家が道場を開いているので主に空手を…」


そう言いつつ構えをとるカオリは先程とは少し雰囲気が変わったのが分かる


カオリは控えめに言ってるけど一応なんてレベルでは収まってないわね…動きが違う。


なんで普段からこれをやらないのかしら?少なくともクラスメイトに遅れをとるレベルではないのに


『へぇ、面白いな…。シュノア?薄々思ってたんだが…剣じゃお前が勝つだろうが体術なら多分お前はカオリに勝てねぇな』


「なんだって?そんな訳…」


『ま、見てわからない時点でお察しってぇこった。まだまだ経験不足だな』


「とりあえず一発全力で打ち込んできなさい。身体強化込みでね」


掌を上に向けてチョイチョイと手首を動かす


「…分かりました、全力で行きます!」


カオリの魔力は流石に異世界人だけあって常人よりも遥かに多く強力だ

そもそも身体強化は込める魔力によって強化率が決まる。ただし魔力をただ大量に身体強化に使えばいいというものでもない、身体強化の強化率に耐えうる肉体が伴わなければ…全身の筋肉が魔力に耐えられずにズタズタになる可能性もある


「カオリが練り上げている魔力量は危険だ!ガル、止めるぞ!」


『動くな…!良いから黙って見てろ』





「…行きます」


カオリはリンに向かって走る


それに対してリンは黙ってカオリを見据えて動く気配は無い


カオリはリンの懐に入った瞬間に最大の力で地面を踏み抜き、右腕を限界まで引き絞り左手でリンの身体を掴む

その段階になってもただ立ち尽くすだけのリンにカオリは容赦なく今持てる最大威力の拳を叩きつけた


ちょこれは…!!


自分から打ち込めと言った手前表情に出す事は自身のプライドが許さないリンは気合いを入れ直すと足を踏ん張ってカオリの拳を受ける


「ぐぬぬぬ!」


リンの身体に拳が当たった瞬間にカオリは拳を捩り込み、最後まで拳を振り抜く。


ズドォォォォン!!!


凄まじい勢いで回転しながら吹き飛んでいくリンを見てガルとシュノアは


『「…嘘だろ」』


盛大な土煙を上げて地面にめり込んだリンはピクリとも動かなかった


「え…?あれ…?普通に受け止めるとかじゃ…」


カオリ自身も驚いているようだが…


「あれだけの魔力を身体強化に回して平気なのか…」


『ありゃあまだ余裕ありそうだな?多分自身の限界を正確に把握してるんだろぅぜぇ』


「しかし、先生はあれを受けて生きてるのか?俺なら確実に死ぬぞ」


『……まぁ大丈夫じゃね?あの程度で殺せる女じゃないだろうよ』




痛つつ…これは予想外ね。


久し振りに意識が一瞬飛んだわ…アルフレッドの時以来かしら?


まぁここまでの錬度なら防御も行けそうね…うふふふ。


「カオリ、まさかここまで出来ると思わなかったわ。一体どうやってこの火力を?」


「ぶ、無事なんですか?!良かった…、あれは身体強化に魔力をつぎ込むだけの力業ですよ」


なるほど…便利ね、身体強化って


「ふーん、身体強化って防御にも回せるのよね??」


凄い笑顔でそう聞いてくる先生だけど…眼が笑ってない…。


ひぃぃぃぃ!怖い、怖いです先生!やれって言われたから全力でやったのに…!?


「さぁカオリ、防御に全力を注ぎなさい?次は防御力を試すわよ」



その日私は三途の河を見たような気がする………。


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