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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第55話 リンさん家の騒がしい朝


何だかとても温かくて安心出来る…この世界に来てからこんなことあったかな…?


心地よい気持ちを感じながらも少しずつ意識が覚醒していくカオリ


そうしてうっすらと目を開くと見知らぬ天井が見えた。


……ん


あれ?ここは…?


確か…私は…スケルトンナイトと…


…?!


カオリは飛び起きようとして自分の手が誰かの手を握りしめている事に気付く


「…ハヤサカ先生??」


隣を見るとリンにソックリな子供に抱き付かれて寝ているリンがいた


あれ?どうして先生の隣で寝てるの私…


確か異常に強いスケルトンナイトに攻撃されたのは覚えているけど…


「…ん?起きたのね…」


必死に記憶を辿っていると隣から優しげな声が響く


「ハヤサカ先生…ここは…?」


「安心しなさい…私の家よ。詳しい説明は後からしてあげるわ…まだ夜が明けるには早い。今日はゆっくりと眠りなさい…ここにはあなたに危害を加える存在は居ないから…」


そう言って私の頭を撫でて抱き寄せてくれる


先生に抱かれているとなんだかとても安心出来るなぁ…


そうして目を閉じると


「お休み…カオリ。良い夢を…」


微かに聞こえるリンの声を聞きながらまたわたしは眠りについた……。






翌日の朝、目を覚ますと隣にリンの姿は無かったが一緒に寝ていた子供はそのまま寝ていた


見れば見るほどリンにそっくりで…


「可愛い…。先生の子供…?」


暫く眺めていると部屋のドアが開いた


「あら?起きたのね、リビングにいらっしゃい。朝ご飯を食べながらでも昨日の話をしましょうか…っとその前に…レン!起きなさい!早く起きないと学校に遅れるわよ?!」


リンがそう言って掛け布をバサッとひっぺがすと…


「……おはよー。母さん帰って来てたんだね…ふぁぁぁ」


欠伸をしながらベットから降りると私に気付いたその子はペコッと頭を下げる


「はじめまして、レンです…母さんのクラスのひとですよね?よろしくおねがいします」


再び頭を下げるその子…レンに挨拶を返すとレンは慌ただしく部屋を出ていってしまった


「さぁ、カオリも顔を洗ってらっしゃいな。部屋から出て右の奥に洗面所があるから」


そう言ってリンは部屋から出ていってしまった





顔を洗ってから一階に降りるとそこには…


「シュノアくん!」


クラスメイトの姿を見つけると駆け寄ろうとして他にも何人かが席についているのに気付く


「あら?起きたんだ、昨日は大変だったわねぇ…まぁ座ったら?もうすぐリンも戻ってくるだろうし」


鮮やかな紅い髪の女性がそう言って隣の席の椅子を引いてくれたのでそこへ座るとシュノアが口を開く


「おはよう。色々と聞きたい事はあるだろうけど…まずはカオリが拐われた時に助けてくれたのがそちらに座っているお二人で…」


「あたしはベアトリクス、世間からは『灰塵』と呼ばれてる。こっちの暗そうで友達が居なさそうなメガネがガストロノフね。『天剣絶刀』ってのがコイツの2つ名よ、まぁよろしくね」


「おい!なんだその失礼極まりない紹介は!お前の紹介の前にガサツで嫁の貰い手が無いベアトリクスと付け足せ」


隣に座っていた黒服のイケメンがベアトリクスさんに文句を言っているのだけど…


「シュノアくん、もしかしてだけどこの二人って…」


「ああ、間違いなく本物のSSランク冒険者だ。カオリが拐われた時に駆け付けてくれたんだ」


なんだかスゴい人達に助けられたみたい…。


ぼやーっと隣の言い争いを聞いているとレン君がリビングにやってきた


「あ!ベアトリクスさん、ガストロノフさん、シュノアさんおはようございます!」


レン君が挨拶すると二人は言い争いをやめて


「おはよ、レンは偉いねぇ。こんな根暗男にもしっかりと挨拶するなんて」


「あぁまったくだ。こんなガサツな女にもちゃんと挨拶するのだからな」


またもや言い争いを始める二人だが…


「朝からなに子供みたいな喧嘩してんのよ…恥ずかしい」


二人の背後から現れたリンが二人の頭に軽くチョップを入れた…見た目は本当に軽くだったのだけど…


チョップを受けた二人がテーブルに顔を強かに打ち付けたのをみて驚く


「まったく…。ごめんなさいね?朝から騒がしくて」


二人が悶絶しているのに気にする事もなく席に座るリン。


「あ、これは私が作った訳じゃないから安心して…っていつまで悶絶してるのよ?そんな強くやってないでしょーが」


「ぐぬぬ、あんたって時々鬼よね…。私はあんたが作る料理の犠牲者が増えないように頑張ったのに…鬼!悪魔!」


「流石はリン…この俺に気配を悟らせずこの様な…だが痛すぎるぞ、馬鹿力め」


「あー!うっさい!!さっさと食え!レンが遅刻するでしょ!これ以上騒ぐなら…」


拳を握りしめるリンに文句を言っていた二人が黙る。


この人達ってSSランクの人達よね…??なんだかイメージが…


その後は二人も大人しくなり、レン君を見送った後になって気付いたんだけど


「私達も学校に行かないといけないんじゃ…?」


その疑問にはリンが答えた


「あぁ、あなた達は休みよ。私がアルバートに伝えたから問題ない…あ、そうそう…アルバートから貰ったんだけど、これはあんたにあげるわ」


リンはポケットから綺麗な宝石がついたブレスレットをシュノアに差し出す


「…これは?」


手渡されたブレスレットを見ながらシュノアが問いかけると


「ふふふ、まぁそれを腕に嵌めてみなさいよ。そしたら分かるわ」


シュノアは訝しげにしながらも腕に嵌めてみるが特に変わったことは起きない


「??」


「なにも起きませんね」


「まぁ、シュノアには全く変化は起きないわよ?さてと…ガル?なんか喋ってみなさいな」


『あ?なんだよ急に』


「カオリは今の声が聞こえたかしら?」


「は、はい…聞こえましたけど…」


『…おいおい。まさか…』


「ガルの声が聞こえるのか…?」


「さすがアルバート、頼んだ通りの物を用意してくれたようでなによりね」


『嬢ちゃん、こんなものをどうやって手に入れたんだ??こいつは…』


「それは『顕現のブレスレット』ってやつらしいわ。簡単に言えば装備した人物が持つ意思を持った魔剣等の声を外部にも聞こえる様に出来るって聞いたわ」


「でもなんでそんなものを??」


「んー、まぁガルは口は悪いけど戦闘経験は豊富でしょうし…私が居ない時は任せられるでしょ?」


納得出来るような出来ないような…


『……ま、俺としちゃ聞こえるに越したこたぁねぇが…』


「まぁ保険よ、保険。そろそろ彼等も戻ってくる頃だしリビングに戻るわよ」


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