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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第52話 帰宅


「なるほど、となると我は死んだのか………」


目の前のスケルトンナイト…カリムは肩を落としてそう呟く


何故か自意識が戻ったらしい彼は自分の身体が骨だけになっていることにかなりのショックを受けているみたいだ…。


「先程君が放った殺気が原因じゃないのか?あの時俺達と一緒に彼の動きも止まったしな。まさかスケルトンナイトが生前の自我を取り戻すとは…テイムしても自我を戻すなんて事は出来ないはずなんだがな」


「まぁその辺は後から詳しく聞くとして…これから貴方はどうするの?どっちみちその姿じゃ街には入れないんじゃないのかしら??」


目の前のカリムを見てみるが、朽ちた鎧から覗く骨だけの体に顔は普通に骸骨で眼孔はうっすらと蒼い炎の様なものが揺れている、他のスケルトンナイトは赤く光ってたような気もするけど…そもそもアルフレッドもそうだったけどどうやって喋っているのかしら?謎ね…。



「どうしたものか…、それよりもそちらのお嬢さんは大丈夫なのだろうか?我も自我が無かったとはいえ彼女を襲っていたのでもしや怪我でもさせたのではないか?」


カオリを指差してそういうカリムは少し申し訳無さそうだった…表情がないから雰囲気だけどね


「見たところ衝撃で気を失ってるだけだから大丈夫だとは思うわよ」


まぁ、本来なら切り捨てる所だけど、私も鬼ではないから申し訳無さそうにしている人?を切り捨てる事はしない……と思う。


「あれならテイムしたって事にしたらいいんじゃないっすか?一応他にもスケルトンをテイムしたって例が無いわけでもないっすから」


聞けばスケルトン自体をテイムするのは割りとあることらしく、ちゃんと管理する為の登録さえしていれば問題はないらしい。

疲れを知らないスケルトンは主に農作業や夜間に街の外周を警備したりと意外に活躍しているらしい


「それなら知り合いに相談してみようかしら?後は貴方次第だけど…」


「それならばお願いしたい、どのみち故郷に帰ったとしても家族に会わせる顔がないのでな」


カタカタカタっと顎をならして笑うカリム


確かに顔がないわね…骨だけに。


「決まりね、とりあえず私の家に向かいましょうか…えっと、レリックとスレイだったかしら?あなた達にはしっかり説明してもらうわよ」


「分かっている、どのみち傭兵家業も続けることは出来んからな…依頼を失敗した上に2つの大国を敵に回したんだ。もう諦めて全部話すさ」


「私はカオリが殺さないでって言った以上あなたたちに危害は加えない。後はこれからの話次第かしら」


それからは魔物以外の妨害も無く、すんなりとリンの家までは辿り着く



家のリビングに行くとベアトリクス、ガストロノフ、シュノアが椅子に腰かけていて私たちがリビングに入ると一瞬私たちの後ろから現れたカリムに驚いたようだが敵では無いと分かったみたいでシュノアが立ち上がってこちらに駆け寄ってくる。


それを私は手で制し、まずはカオリを近くのソファへと寝かせた。


「ベアトリクス、ガス、今回はありがとうね。あなたたちが居なかったらどうなってたか分からなかった…あとシュノア、強引な手段であなたを気絶させてごめん。でもあの時の判断は間違ってなかったわ、ついてきていたらシュノアは無事じゃ済まなかったと思う」


3人に対して頭を下げるとベアトリクスが慌てたように私の腕を掴む


「リン!そんなのは後でいいから、あんたその背中!!」


背中…?あぁ、そういえばカオリを庇った時にダークが刺さったわね…


「これくらいなら慣れてるし、そこまで深く刺さらなかったからもう血は止まってるわよ?」


そういいながら腰に提げていた村雨を外し、壁に立て掛けると空いていた椅子に座って煙草に火をつけたが…


「リンが大丈夫って言うならいいけど…早めに治療しな?レンが心配するだろうし。母親のあんたが怪我してる所を見たらどうなるか…ただでさえ顔がソックリだったんだし、嫌な事を思い出してしまうかも知れないじゃないの」


ベアトリクスの言う事も尤もだ。レンが私を見てあの日の光景がフラッシュバックしないとも限らないわよね。


「ごめん。そこまで考えて無かったわ…先に治療をしてもいいかしら?」


先程火をつけた煙草をもみ消して背中の傷を確認しようと服を捲り上げるリン


鍛えあげられて引き締まった肉体…さらにタンクトップを捲り上げた時にその豊かな双丘がたゆんと揺れるのをガストロノフとシュノアは見てしまう。カリムは特に反応を見せずに立っていたが。


「ちょ!?リン!男もいるのよ!!ってかあんた達も見てないで向こう向きな!見たら燃やす!」


ベアトリクスが慌てて立ち上がって男共にそう叫ぶその隣で


「別に裸になるわけでも無いんだからそこまで気にしなくてもいいけど?下着は付けてるしさ」


なにか問題あるの?とでも言わんばかりのリンにベアトリクスは溜め息を吐く


そもそも今までも野郎ばかりの部隊で覗きなんか日常だった。素っ裸ならまだしも下着は付けてるし、なにより血塗れの女の裸をみて興奮する奴なんて居ないと思うけど…あ、そういう性癖の男もいるかもしれないか。

うん、そんなやつがいたら斬ろう…それが世の為よ。


「リンて結構ズレてるって言われない…?まぁとりあえず背中見せて…ってこれの何処が深く刺さらなかったって言えるのよ!?こんなんでよく平然としてたっていうか…本当に人間なの?」


驚いた声を上げるベアトリクス、それもその筈でベアトリクスが背中の傷を見ると2ヶ所に刺し傷があり、そのどちらも深く刺さって無かったような傷では無かった。


しかし人間かどうかの問いは些か気になるけど…ちゃんと人間だと返しておこう。


ベアトリクスの声に釣られてガストロノフがこちらを振り返ろうとしたが


「見るなっていったでしょ!このムッツリ!」


ガスへ向けて壁に立て掛けていた村雨を掴み投げつけた


ゴンって鈍い音が響いたかと思うと直後にドサリと音がしたから多分当たってガスが倒れたのだろうと思う


ガスは生きてるかしら?あれは相当な重さだから当たったら痛いで済むとは思えないのだが…


私の背中の傷を酒で消毒しているベアトリクスに


「ねぇ、ガスは大丈夫?あの刀って相当な重さだったと思うけど…?明らかに痙攣してるわよ?アレ」


「大丈夫よ、あの位で死ぬならSSランクになる前に死んでるって話。それにムッツリスケベなアイツが悪い!」


何故か怒っているベアトリクス。見られるのは私だから怒るのは普通私なんじゃ…?


それからピクリともしないガスや壁を見つめて固まっているシュノア、レリックも同様に壁を眺め、スレイはたまにこちらを振り向こうとする度に倒れたガスを見て首を振っている。

何故かこちらを向いて佇むカリムは…あぁ、骸骨だから男とカウントしてないのか…でもそこまでガン見するのはどうかと思うんだけどさ。男共を眺めていると治療が終わり、改めて席に座る


「では、俺達の話を始めていいか??」


レリックは周りを見渡した後の問いに対し私たちはコクリと頷く


そうしてレリックは話始める…


「そもそもの発端は2ヶ月位前だった…」


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