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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第46話 リンの引き出しの多い格闘術


「さぁ、ここから先は一歩たりとも進ませないわよ」


構えたリンに対して二人の騎士もそれぞれ構え直す


「それは困りますのでな、押し通らせていただきますよ!」


全身鎧の方はそれなりの強さみたいだからまぁ大丈夫だけど…問題は老騎士の方ね、まだ本気を出してないみたいだし…


リンは向かってくる二人の騎士の剣を捌きながらも確実に二人の足止めをこなす


「私としては諦めて撤退してくれると嬉しいのだけど…ねっ!」


斬り込んできた全身鎧の騎士の剣を弾きそのまま老騎士に牽制で弾丸を放つ


「なんとも厄介な魔道具ですな!避けるのが精一杯とは…!」


いや、そもそも避けてるだけでも大概なんだけど…

頭の中ではそんな事を考えつつ表情や動作に変化は見せない。

老騎士を足止めすると、すぐに全身鎧の騎士に向けてデザートイーグルの銃口を向ける


「二人同時に相手するのは骨が折れるわ…悪いけどここでリタイアして頂戴…!」


全身鎧の騎士に向けた銃口から弾丸が飛び出し、鎧に着弾するとその堅牢な鎧を盛大に凹ませ大きくよろめかせた


貫通はしないか、流石にこれじゃあ火力不足ね……、だけど体勢を崩すことは出来た…!


そのままリンが一気に全身鎧の騎士との距離を詰める


「…!いかん!?ファーレン!逃げなさい!!!」


「………!!!」


「もう、遅いわよ…!」


体勢を崩した全身鎧の騎士…ファーレンの腕を掴み自分に引き寄せる

ファーレンは目の前の女性から逃れようと掴まれた腕に全力で魔力を込める


「!!」


しかし、万力で固定されたかのように動かぬ腕にフェイスガードの下で驚愕の表情を浮かべ、すぐに逃れる術が無いことを悟ると、魔力を全身の防御へと切り替える


リンは右足に力を込めて大地を踏み込む。

するとリンの踏み込みの衝撃で二人の周辺の地面が一気に陥没する


「早坂流拳闘術…嵐壊烈破掌!!」


踏み込んだ右足から腰、腕に力を込め捻り込むようにファーレンの鎧に掌底を当てる


「!!!?!」


掌底が当たった瞬間、一瞬の浮遊感の後に鎧を通して凄まじい衝撃を受けファーレンの身体は回転しながら吹き飛び、先にあった巨大な岩壁に轟音を立ててながらぶち当たり岩壁を砕く


轟音と土煙が辺りを埋め尽くす中でリンは


「全力で力を込めたらこうなるのね……これは普段は注意してないと……」


すぐに技を放った体勢を整えるともう一人の老騎士へと向き直る


「さて、後は貴方だけだけど…まだやるのかしら?」


「…ぬぅ、まさかここまでやるとは……」


老騎士は剣を下げてリンに向き直ると


「我々の部隊はその存在を知られてはいけない…。姿を見られた以上はそのまま終われない、それが我ら聖教騎士団特務隊なのですよ……だが、ここまでの強者に相対するのは久方ぶりに心が躍る!」


そう告げると老騎士は剣を捧げ持ち自身の顔の前で構え、騎士の礼を取る


「我が名はロイズ、ロイズ=ガリルラント!我が名にかけて貴女の命貰い受ける…!」


そう高らかに宣言する騎士を前に私は……


デザートイーグルとナイフを納め、姿勢を正す


「私は元東アジア陸戦隊第七師団所属分隊『フラムベルク』隊長、早坂凛…騎士としての貴方への返礼はこれにて…私は何者にも負ける気は無い、今の私には未練があるのでな」


「…こちらの流儀に合わせて頂き感謝いたす、もはや言葉は必要あるまい。後は剣にて語るのみ…!」


お互いどちらともなく走り出す


ロイズは剣を、リンはナイフを構えて駆ける


「はぁぁぁぁ!!」


「ヌゥォォォ!!」


すれ違い様にナイフと剣が交差すると派手な火花を散らしてぶつかり合う


直ぐ様お互い振り返りまた激しく火花を散らしながら交差する剣とナイフはその速度をさらに増していく


「ふっ!『クイックスラッシュ』」


ロイズは弾かれた剣を戦技によって強引に引き戻しリンの死角から斬り上げる


「…!『白刃流し』」


咄嗟にナイフを左手に持ち変えて剣を受けつつ刄に沿ってナイフを走らせていく


「なんとも引き出しの多い流派ですな…しかしそれは本来ならナイフで行う技ではないようですね」


…チッ、やはりナイフでは刃渡りが足りずに相手までは届かない。


「ふん、その通りよ…!」


言いながらデザートイーグルをホルスターから抜いて至近距離から鎧の胴体部分に弾丸を放つ

流石に至近距離だと衝撃でロイズがたたらを踏んでよろけた


「ぐっ…!その武器は厄介ですね…」


「厄介で済むのだからその鎧に感謝しなさいな」


それからもさらに何度も至近距離での打ち合いは続く


ギィィン!


何度目かも数える事が出来ない程の打ち合いを制したのは…ロイズだった


弾かれて近くの木に突き刺さるナイフ


飛ばされたナイフを一瞥するでもなくリンはロイズの次の挙動を見続ける


「これで終わりですな!!」


剣を横凪ぎで走らせるロイズの剣閃は今までの経験上、確実にリンを斬り捨てる事が出来るタイミングだと言えた


相手はナイフを弾かれ、手に持つ魔道具はこちらには向いていない…このタイミングで避けようとするのであれば飛び上がるか、その場にしゃがむのか…あるいは多少の負傷を覚悟した上で身体を反らして致命傷を避けるしかないが…


しかし目の前の彼女はそのどれにも当てはまらない動きを見せた


真横から迫る剣……


リンは見続ける。そして…


「はぁぁぁぁ…破!!」


剣がリンの身体に当たる瞬間、肘と膝で刀身を挟み込んで全力で力を込めた



バギィン!!!


「な、なんと!?」


自身の愛剣が真っぷたつに折られた事に驚くロイズ、しかしそれは決定的な隙を晒してしまった事に気付いたときには既に遅かった


リンは手元にバレットを取り出してロイズに向けた



「これは防げないわよ……!」


トリガーを引くと同時に轟音が轟き空薬莢を排出するバレット、しかし無理な姿勢で撃った代償として肩が悲鳴を上げた


「ぐっ……まさ、か…そんな隠し玉まで……!」


ドサリと音を立てて崩れ落ちるロイズ、その身体には鎧を貫通して穴が空いていた……


「……ッ!早く追いかけないとね…!」


リンはロイズに投げていた視線を引き戻すとカオリ達が走った方向へと駆けて行った




ガシャ……


リンが去った後、ロイズへと近づくファーレン


「……」


ファーレンは無言でロイズを担ぎ上げると歩き出す


「……!?ごほっ!」


ロイズは担ぎ上げられた衝撃で意識を取り戻し、リンが既に去った後だと言うことを悟る


「…今回は手酷くやられてしまいましたな。危うく本当に死ぬかと…」


そう言いながらロイズは穴の空いた鎧を脱ぎ捨てる


そこには先程まで空いていた穴は無くなっていた


「ふはははは、本当に永く生きてきたが…彼女は実に面白い!貴方もそう思うでしょう、ファーレン」


言われたファーレンは肩を竦めて首を振る


「まぁいいでしょう。一先ず彼女達は諦めて、先に他の案件を片付けるとしましょうかねぇ」


そう言った後二人の姿は森の中へと溶けていった…


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