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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第45話 次から次へと敵は来る!


「で?あなた達はなんなのかしら?」


リンはカオリを守るような位置取りをしている二人を睨み付ける


そもそもカオリを拐ったのはコイツらだったみたいだけど・・・


「…もし、俺の話を少しでも聞いてくれるのなら助かるのだが…少し場所を変えないか?コイツらがいつ目を醒ますか分からんのでな」


レリックがガレイオス達を指差す


「……まぁ、いいけど。1つだけ忠告しておくわ…逃げる素振りをみせたり、怪しい動きをしたら…」


首を掻き切る仕草をみせるリンに対して


「分かっている。俺は相手の実力も分からんような馬鹿じゃない…あんたには勝てないのは確実だ、それくらい分からなければ傭兵稼業は出来んよ。じゃなければ今頃はとっくに墓の下さ」


敵意はないと証明するかのように自らの大剣を背中に背負い直すとスレイにも目線で促す


スレイも槍を手元から消すと両手を挙げて


「いやはや、おっかない女もいたもんすねぇ…まさか素手でワイバーンを殴り飛ばすなんて…流石にそんな相手に仕掛けたりは出来ないっすわ」


二人が武装を解除したのを見届け、カオリの方へと近寄り自分が着ていた軍服の上着をカオリの肩に掛ける


「体が冷えてるわよ?それを着てなさい。とりあえず安全みたいだからこの場から離れるわよ?」


そう言ってカオリに手を差しのべて立たせると歩き始める


「一旦街に戻るわ、話は歩きながらでも出来るでしょ?彼女は普通の女の子なんだからこんな山の中にいつまでも居させたら風邪ひくじゃないの」


そうして四人は街へと向けて歩き出した





カオリは後ろを歩きながらリンの後ろ姿をなんとなく見ていた


私に羽織らせたこれって、どうみても軍服…よね?しかもすごい勲章の数…でも日本の軍服ではないし…本当に先生って何者なんだろう…


リンの今の姿はタンクトップだけしか着ておらず、カオリはふとリンの長い銀髪が揺れる度に見える肩や首の傷跡が見えた



「先生のその傷跡は…?」


リンがカオリの方に少しだけ振り向く


「ん?あぁ…これね、前に参加した作戦で少し手酷くやられたのよ。かなり不利な撤退戦だったわ…その撤退戦の最中で私はこちらに来たのよね。まぁこんな話は聞かない方が良いわよ、愉快な話でもないし」


「すいません…変な事聞いてしまって」


「いいわよ、私もあなたとはいつか話をしたいとは思ってたから…まぁまさかこんな状況でとは思ってなかったけどね」


「…話、ですか?」


カオリは首を傾げる


「えぇ、色々とね…だけどそれは落ち着いてからにしましょうか。まずはあっちの二人が問題ね」


「あ、あの人達はそんなに悪い人では…だからあまり酷いことは…」


リンは少しだけ目を見開いたが薄く笑みを浮かべ


「あなたがそう言うなら私としてはどうしようかと迷う所だけど…なにしろ話の内容しだいね」


それに…


チラッと後方のある場所に視線を投げる


…さて、どうしたものかしらね…。


「どうかしたんですか?」


「いや、なんでもないわ…それよりもカオリさん」


リンは腰に提げた村雨を取り外すとカオリに手渡す


受け取ったカオリは


「えっと?」


「鞘からは抜けないけれど殴るだけでもかなりダメージあるだろうから街に着くまでは持ってなさい」


「…?わかりました」


カオリが頷くと前の方を歩いていたレリックがこちらに声をかける


「そっちの話は終わったか?なら俺達の話を聞いてもらえると助かるのだが」


「そうね、そろそろ全て話して貰うわよ?」


「あぁ、ここまで来ると隠しても意味がないからな…全て話そう」


彼の声音には嘘の気配はないみたいね。どんな話が飛び出すやら…


「なら聞くけど、そもそもなぜカオリを拐っておいて依頼主と敵対してたのかしら?」


「簡単な事だ、俺達の本当の依頼主はあいつじゃあないからな…俺達の依頼主はパラディウム聖教国の聖女様だ」


パラディウム聖教国?また知らない国ね…


「聖教国からの依頼は3つ、1つは送り人、または転移者の詳細確認及び可能なら保護すること。2つ目は送り人、転移者を害する者への牽制、または対象の撃滅だな。そして最後の1つが…」


レリックは一呼吸置いてから


「帝国が進めている計画の一端を内部から調べることだ」


「…まさかとは思うけどあんたらの依頼主はカオリさんを餌にして帝国に接触するように指示したのかしら?」


リンの問いにレリックが重々しく頷く


「あぁ、そうだ…。だが正確にはそこに君も含まれていたのだが…それについては言い訳のしようもない…」


「…そう、ならそれ相応の報いを受けるのも覚悟の上って事でいいかしら?」


リンはゆっくりとホルスターからデザートイーグルを引き抜き、レリックの眉間に突き付ける


「あぁ、依頼を失敗した挙げ句依頼内容を喋ったんだ…聖教国に殺されるか、帝国に殺されるのか…君に殺されるかの違いしかないさ」


なるほど、だからやけにすんなりと喋った訳か…


「…その聖教国も帝国もロクでもない連中なのはよくわかったわ、そもそも貴方達が成功しても生きて帰すつもりはなかったみたいだけどね?」


私の言葉にレリックは眉を潜め


「どういうことだ??」


「捨て石にされたんじゃないのかしら?私があの場に来る前から貴方達に張りついてる奴等がいたのよ、出てくる気配が無かったから無視してたけどね…そこの影に隠れてるのが貴方達の口封じに来た奴等じゃないかしら?そうでなければ私より前に貴方達の助けに入ると思うから」


チラリと隠れている場所に視線を投げてリンは言い放つ。

「それで気配を消してると思ってるのならお笑いね…バレバレなのよ。さっさと出てきたらどう?」


私がそう言った所で木の陰から二人の騎士が姿を表した


「まさか我らの存在に気付いていたとは…貴殿は何者なのだ…?」


一人は初老位に見える騎士でもう一人はフルフェイスの兜を着けているので顔は分からない。纏う雰囲気からして明らかに今発言してきた初老の騎士は強いのが分かる…


「あからさまな不審者に名乗る名はないわ。それに……隠れてるのなら殺気くらい隠したら?」


まぁ大体なんで隠れてたかは私の予想通りだと思うけどね


「ははは、これは手厳しい指摘ですなぁ…まぁ我々としても名乗る訳には行かないので問題ありませんな」


初老の騎士は続けて


「さて…レリックさん、スレイさん。貴方達を噂に名高い傭兵団の実力者として今回の依頼を我々は依頼したのですが…いけませんなぁ?そう簡単に依頼内容を喋って貰っては困るのですよ」


「ふん、俺達を捨て石にするつもりだったのだろう?その時点で契約を守る理由はないな。教国の聖女にも呆れたな、やってることは帝国とさして変わらんじゃないか」


「あぁ、1つ訂正しておくとしましょうか…今回の件は聖女様には知らされていないのであしからず」


そう言うと騎士二人は腰の剣を鞘から抜き放つ


「そういう訳ですのでな、全員ここで死んでもらわねば困るのですよ…聖教国の為に!!」


リンは騎士二人が動き出すと同時に指示を飛ばす


「貴方達はカオリを守って街に走りなさい!!コイツらは私が抑える!」


初老の騎士が下から斬り上げてきた剣をデザートイーグルで受け止め、もう一人のフルプレートの騎士の剣を手元に呼び出したナイフで受け流しながら叫ぶ


「貴方達は傭兵でしょ!?私が依頼を出す!カオリを無事に護衛してみせなさい!出来るんでしょ?!」


そう叫ぶ間にも二人の騎士の剣はリンを切り裂くべく振るわれているが、それをリンは巧みに受けたり流したりして騎士二人をその場に縫い付ける


「了解した…!俺達が必ずこの子は守り抜く!信じてくれとは言わないが…契約は守る!」


レリックが言い終わる前にカオリの元へスレイが走りカオリを抱き抱える


「少し我慢してくれると助かるッス、この場を離脱するっすから!」


「でも!先生がまだ……!!」


カオリの視線の先ではリンが二人の騎士と戦っている


「大丈夫っす!あの先生は手練れの騎士二人を完全にあの場に押さえ込んでるっすよ…逃げるにしても俺達が、居ない方がいいんすよ!」


「…分かりました、お願いします…!」


スレイが走り出すとカオリは


「先生!必ず帰ってきてください!まだ聞きたい事や聞いてほしい事、教えて欲しい事が沢山ありますから!」


カオリの声にリンは口角を少し上げ


「任せなさい…!私もすぐに追い付くわ!もしソイツ等になんかされそうになったら村雨でぶん殴りなさい!」


リンは更に迫る斬撃を避け、そう返事を返す


スレイとレリック、そしてカオリがリン達から見えなくなる


「これは……!中々の使い手とは思っていましたが…」


騎士二人は一旦距離を取るようにバックステップで大きく飛び退く


リンはデザートイーグルを右手で構え、左手でナイフを逆手に握り直し


「さぁ、ここから先は一歩たりとも進ませないわよ…?」


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