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私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
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第41話 その日の放課後…


午後の授業も滞りなく無事に終わり…(生徒の大半は地面に倒れ伏していたが…)他の生徒が帰宅したり寮へと帰って行く中、リンはシュノア達に呼ばれて教室に居た


「先生、…出来れば先生の事を教えて貰えませんか??最初があんなだったんで…」


アディが昨日の出来事を指してそう言ってくる…確かに昨日はロクな自己紹介もしてなかったわねぇ。


「…そうね、それじゃあ私の事を教えましょうか…聞きたいことがあるなら答えるわよ?勿論あなた達の事も聞かせて貰うけどね」


すると真っ先に手を挙げた生徒がいた。


「はい、そこの…確かカレンさんね、なにが聞きたいのかしら?」


カレンはまっすぐ私の方へ歩いてくると私の腰にある村雨を指差しながら


「先生のその剣と魔道具…見たことが無い形をしていますよね?もし良ければ見せて貰えませんか?昨日からその武器の事で一部の生徒が盛り上がってたんですよ。それにあたしとアディはそっちの魔道具にも興味がありますし」


そう言ってチラリとカレンはカオリとアディの方へ視線を向ける…当のカオリは恥ずかしそうに俯き、アディはコクりと頷く


そういえば昨日、私が村雨を取り出した時にやたら興奮して説明してた子ね、あの子……。


「…構わないわ。ちょっと待ってね……」


リンは吊っていた金具を外して村雨を持ち上げる


「どうぞ?他にも見たい人がいるなら前に出てきて見てみるといいわ」


そう言ってリンはカレンに村雨を渡すが…


「これがカタナ…って重ッ?!!」


受け取った瞬間、身体ごと持っていかれそうになるのを慌てて身体強化を発動して踏みとどまった。

見た目からみてツーハンデットソードである自分の武器よりも重いと思ってなかったカレンは予想外の重さに驚く


「あら…?普通のカタナよりは重いでしょうけど、そんなに重くはなかったわよ?バドじぃも普通に持ち上げていたし…」


リンは知らない、バドはドワーフ族だから腕力が普通の人よりも強い。さらに身体強化を使っていたためそこまで重そうにしていなかった事を…今のカレンの反応が身体強化をしていない者が示す普通の反応である


「身体強化を発動してギリギリ持てる武器って…あたしは自分の武器を身体強化無しである程度使えるように鍛えていたつもりだったけど…自信無くなりましたね、これは」


そもそもリンは神様によって大幅に基礎身体能力が上がった状態でこの世界に送られている為、普通の人が身体強化した時よりもさらに強化された状態が通常状態であり、リンの元々のスペックが高かったので上げ幅も大変な事になっているのを本人が知らないだけである


「それ、私にも見せてください!!」


カオリが前に出てきてしっかりと身体強化を発動させてから村雨を手に取り、鞘から柄頭までまじまじと眺め、鞘から引き抜こうとするが…


「あれ??抜けない…?」


抜こうとして力を込めるが全く抜ける気配が無い村雨をリンがカオリから取り上げて鞘から抜き払う


「私にしか抜けないのよねこれ…。はい、気を付けて持つのよ?」


抜き身の村雨をカオリに手渡し、自分は懐から煙草を取り出して一服吸うと窓際の机に腰を下ろしてカオリを眺める


「長さは近くで見ると野太刀に分類される長さかな?反りも凄く綺麗…でも普通の刀身よりかなり肉厚だわ…切っ先は大切先、棟は一般的な行の棟…波紋は互の目乱丁子刃…に似ているけど…こんな波紋は見たこと無いし…刀身が漆黒っていうのも…」


リンは一人で村雨を見ながらブツブツ言い続けるカオリを指差しながら近くに居たアディに問いかける


「ねぇ、あの子大丈夫なの?」


アディは肩を竦めながら

「いや、いつもはあんなじゃないんですけどね…こっちにいきなり飛ばされて、しかも『ギフト無し』と呼ばれて学校でも浮いてたんですよ彼女。女子寮でも馴染めないみたいで…それでこのクラスに連れてこられたから…懐かしい故郷の武器を前にして我慢出来なかったんだろうと思います、…多分」


「なるほどね…じゃあやはりあの子は日本人なのか…ふむ『ギフト無し』に、寮…ね」


リンがカオリを眺めながら呟くとカオリは視線に気づいたのか


「凄いですよ!先生!こんな日本刀見たこと無いです!まさかこの世界でカタナを見ることが出来るなんて思いませんでした!」


カオリはこちらに歩いてきて私の手を握ってくる


「そ、そう?それはよかったわね…?」


なんだかグイグイくるわね…この子…。そんなにカタナが好きなのかしら?


リンは村雨をカオリから受けとると鞘に納める


「それで、こっちのコレだけど…」


リンはホルスターからデザートイーグルを引き抜くとマガジンを抜いてスライドを引き薬室チャンバーに装填されていた弾丸を排莢するとアディに渡す


「それは私の世界…地球の武器よ。詳しく説明しても分からないだろうから省略するけど…簡単に言えば弓矢の最終発展先って言えばいいのかしら?銃って言うんだけど、今アディが持っている銃本体が弓で私が持っているマガジンに入っている弾丸が矢っていう訳」


リンは先程排莢した弾丸を指で弾いてアディに渡す


「それが弾丸、その先端部分が銃から撃ち出されて向けた先に着弾する…一瞬でね。威力はそこのガイだったかしら?その子が一番分かってるんじゃない?」


「あぁ、生きた心地しなかったぜ…いきなり地面が弾け飛ぶんだからな」


ガイの言葉に皆は


「あんたがさっさと走ってれば良かっただけじゃない」


「まぁ、自業自得よね。」


「…だな。」


「僕ですら大人しく従っていたのだから君もそうしてればよかったんだ」


周りからの容赦ない突っ込みにガイは力なく項垂れる


「…そんな訳で説明はこんなものでいいかしら?」


周りを見渡し、皆が頷いているのを確認するとアディからデザートイーグルを回収してホルスターに納める


それからは私の過去の話や全員の話を聞いているとあっという間に夕刻になり鐘の音が鳴り響く


「あ…もうこんな時間!続きはまた今度にしましょう、レンが帰ってくる前に御飯を作らないと!また明日ね」


リンはそれだけ言うと急いで教室を飛び出していく


「レン?誰なんだ…?」


「あんなに慌て帰るなんて恋人でしょ?」


暫く全員でレンとは誰か、という話題で盛り上がった後各々帰宅していったのだった



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