第30話 この世界にくる前の話をしようか…終
「どうなっている!?どこからの攻撃だ!?」
敵の隊は混乱の極みに達していた
「敵の狙撃兵の位置が掴めません!!射撃の度に移動を繰り返している模様!」
「えぇい!直ちに殲滅せよ!!敵は敗残兵、こちらの方が数も装備も上だ!なんとしても叩き潰せ」
ふふふ、混乱してるわねぇ…。
こちらが私1人しか居ないと知ったらどうするのかしら…
また1人敵が弾け飛ぶとライフルを肩に掛け右手にデザートイーグル、左手にアーミーナイフを持つと近くに居た敵の背後に回り首筋にナイフを当てる
「ヒィ!!」
「こんな場所まで追いかけて来た自分達の指揮官を呪いなさい……」
リンは首をナイフで優しく撫でると首から血が吹き出しリンに降り注ぐ
「さぁ、次は……」
さらにデザートイーグルで近くにいた3人の敵兵を葬る
「いたぞ!!撃て!」
敵がアサルトライフルをリンに向けて撃ち込んでくるがそれを先程倒した兵士を盾にして防ぐとデザートイーグルで片付ける
「…右足に2発当たったか、まだ大丈夫…。だけど…」
空になったマガジンを入れ替えて撃たれた右足に包帯を巻き付ける
まだ残弾はある、気力も体力もある。ただあまり長くは戦えない
「もうランス達は合流出来たかしらね…あと少し粘るとしましょうかね…」
パァン!!
リンが次の標的を探すべく動こうとしたとき背後からの銃撃で左肩を撃ち抜かれて倒れ込む
「つッ!この!?」
撃った兵士にナイフを投げて仕留めると直ぐに立ち上がりナイフを死体から引き抜いて走る
「…予定より前進する速度が速い、最後のポイントで迎撃するしかないわね」
走り抜ける中も敵は容赦なく弾丸を撃ち込んでくるが全てを殲滅しながらリンは駆け抜けた
「……はぁ、…はぁ…」
やっと最後の迎撃ポイントまでたどり着くとリンは壁に寄りかかって座り込む
段々と銃撃の音が近づいてくるのが分かる
「…残弾はデザートイーグルのマガジンが1つ、ライフルが3発、アサルトライフルのマガジンが1つ、後は手榴弾か…ここまでね」
はぁ、よくやったでしょう?お爺ちゃん、父さん、お母さん…先に地獄に行く馬鹿娘だけど、怒らないでね?こんな仕事してればこうなるのは分かってたでしょう?
さぁ、どうせ敵に捕まって慰みになるくらいなら…
派手に敵兵巻き込んで散ってやるとしますか!!
壁にから飛び出し近くに来ていた敵兵にデザートイーグルの弾丸を浴びせる間に別の敵兵から弾丸を背中に受けるが止まらない
「ほらぁ!さっさと仕留めないと私から殺されるわよ!!」
背中に背負った対物ライフルを振り向きざまに2発撃ち敵を葬り、反動を利用して身体を捻り左から迫る敵をそのまま対物ライフルで殴り倒す。
さらにその後ろから迫る敵にナイフを投げて息の根を止めた
離れた所で見ていた指揮官は戦慄した
「まさか…あの女…、『白銀の殺戮姫』か!?」
指揮官の眼前には異様な光景が広がっていた
全身を血に染めながらもその特徴的な銀髪は光を受けて輝き、周りの兵士を殺戮していく…
「化物か…!」
そうしている間にもリンは次々と敵を葬っていく
1人の兵士が大型のコンバットナイフでリンに斬りかかる
「甘い…ナイフの使い方がなってないからこうなるのよ!」
降り下ろされたナイフを右手のデザートイーグルのトリガーガードと左手のナイフで挟み込みそのまま刃を砕く
「ヒィ!ば、化物か!?」
その兵士をリンは蹴り飛ばしてさらに周りにいた奴等を対物ライフルで殴りつけて凪ぎ払う
「くそ!なにをやっている!離れて銃撃しろ!敵は1人な上に手負いなんだぞ!?なぜここまで押されるか!!」
周りにいた兵士全てがリンに向けて銃口を向ける
「武器を棄てて大人しく投降してもらおうか…もう終わりだ」
指揮官がそうリンに告げる
「………ここまでみたいね、だけど…投降はしない…」
リンは肩に掛かった髪を払いもう一度宣言する
「投降はない、だって…全員道連れだもの…」
指揮官はその言葉を聞いて気づく、リンが髪を払いながら手榴弾のピンを全て抜いた事に
「いかん!!全員伏せろ!!」
その瞬間リンを中心に閃光が辺りを包み爆炎が巻き起こる
周りに居た全ての人間を巻き込んでいく…
最後の瞬間、指揮官の目に映ったのは
ざまあみろ……と不敵に嗤うリンの姿だった…。
この日追撃した部隊が全て壊滅したことによってランス達と別れた後、リンがどうなったか知る者は居なくなった…




