表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が異世界に流されて…  作者: カルバリン
113/130

第109話


「不浄なる魂に救済を!”ホーリーライト”!!」


ミレディが翳した掌から放たれた光の束が空へと舞い上がりそして降り注ぐ。


神聖魔術の中でも広範囲を浄化するために使われる高位魔術…それは並みのアンデッドならば触れるだけで跡形もなく塵へと還る術だったが…やはりあの報告は…事実という事。


「カタカタ?」


やはり降り注ぐ光の束はスケルトンに何のダメージも与えていなかった。


「どういう理屈で…!っつ!!?」


すぐに横から鋭い斬擊が繰り出され、それを剣で受けるとその斬擊の重さに舌打ちしたくなる。


「私を無視してる余裕があると思ってる事に驚きを隠せないな!」


リンが繰り出す一撃は一流の騎士として名高いミレディからしても油断は出来ない…油断したが最後、彼女は本気で私を殺す気だからだ。


「言っておくけどコイツらに浄化なんて効かないわよ!」


剣の応酬は段々と激しくなっていきミレディは焦る。

彼女が装備している真銀鎧装(アルギュロ)…普段は動きやすい様に一部の部位が収納魔術の応用で軽装鎧となっているが…戦闘時はそれを展開してフルプレートメイルとなり、もう一つの効果…『重量軽減』が付与され展開後のアルギュロは重量を軽減する効果がある…しかしそれでも重さはある。

そしてその重量の差は実力が拮抗している相手との戦いではゆっくりとミレディの首を絞める。

相手が同じ騎士で鎧を着ているなら一方的にミレディが有利だがそうではなく防御など無視した様な装いの人間なら…疲労するのが早いのはどちらなのかなど明らかであり、その相性が最悪な典型だと言えるリン。


ギィン!と金属のぶつかり合う音が響く。


「聖剣アーベインと斬り結べるその剣にも驚きですが…貴女ほどの実力者が何故アンデッドを統べているのですか!!」


「お前の国はアンデッドなら全て穢らわしいと?そう思っている、とでも言うのか!」


「当たり前です!彼等は理から外れた!死の運命から逃げた者…聖教国の聖典にも記されている紛れもない事実!!」


ミレディからすれば幼い頃から毎日祈りを捧げた教国の教えは当たり前の事実…だからこその言葉。


「黙れ!何も知らない癖に!アイツらがこの100年間どんな思いで解けない呪いに悩み、捕まれば終わりという気の抜けない毎日に心を削り、呪いを解く術はあるのに決して届くことがない場所だと分かっていてどうしようもない…それがどんなに辛いのか、良く知りもしない癖にお前に何が分かるというのか!!軽々しく逃げたなど言ってくれるな!」


リンの咆哮と共に振り下ろされた刃は受けると死ぬ、というミレディの勘が咄嗟に身体を捻る。


「!!!?」


無理な体勢で避けたミレディは転がり…目の当たりにした。


避けた斬撃はセインツロウの船体を切り裂き、それだけではなくその先にある海面を真っ二つに割ったのだ。


「馬鹿な…」


この女は何故アンデッドに対してそこまで…


「あんたは…何でこうなったのか知っていてそう言ったの?」


「なに…?」


「100年前…コイツらが何処に所属して、何故こうなったのか…何で今まで呪いから逃げ続けていたのか…知っていて今さっきの言葉を放ったのかと聞いている」


「それが何だと…!」


「元はあんた達と同じ教国の所属…そしていつか故郷の土で眠りたい。それはこの船、クイーンオブヴェルサスも一緒…こんな姿になっても乗っていたカディス達をずっと護ってきた!」


兜越しに殴られたミレディがよろける…だがリンは腕を掴んで引き寄せてから真っ直ぐにミレディの目を見て静かに言い放つ。


「良く知りもしないで2度とふざけた事は言わないで」


彼等が教国の…あの時聞いた話は本当だったと?立ち寄った港で聞いた昔話は。

その時はアンデッドだというだけで特に気にはしなかった…だけど目の前にいる彼女は…彼等の境遇を知り、それを蔑ろにした私に怒っているのが伝わった。


だが…私にも…!


「分かった…しかし私にも譲れないことがある…!貴女が我が祖国を嫌う理由も分かる…今の教国は私から見ても…だからといって貴女から全て否定される謂れはない!少なくとも聖女様…マーサ様は今の現状を嘆き、変えようとしていたのだ!」


顔を近づけていたリンに叫ぶ。それだけは認めない、そう想いを込めて。


リンとミレディ…視線がぶつかり合い真っ直ぐに見つめる。

そして…リンが息を吐く。


「……カディス!!全員一旦戦闘止め!!」


リンが叫ぶとカディス含めたスケルトン達が一斉に止まり剣を下げた。


いきなり攻撃する気配が無くなったスケルトン達に今が好機だ、とばかりに攻撃を加えていた兵達だったがそのスケルトン達が手を斬り飛ばされても頭を叩き割られてもその場で黙って立っているのを見て他の兵士が止めろ!と仲間を押さえる。


「……あんたはどうする?まだ続ける?」


リンの問いにミレディは首を振って息を吸う。


「聞け!今すぐ戦闘を中止!すぐに負傷者の手当てを!これより全ての戦闘行為を禁ずる!」


ミレディの号令ですぐに動き出した兵士達…


「私は…貴女方に謝罪をしなければならないようです」


「…私に謝罪はいらないわ。だけどカディス達とクイーンオブヴェルサス号は労ってあげてよ。100年…いや、それより長くあの旗を掲げてきたのだから」


リンが指指す方をみたミレディは息を飲む。


「あれ、は…聖教国の…」


ボロボロではあるが確かに良く見れば聖教国の海軍旗だった。


「多分あんたの上にいる奴は知っていたからこの船を消したかったんじゃない?聖教国の船がアンデッド化してるなんて事実を」


そういう事だったのですね…。何故わざわざ帝国につけいる隙を晒してまでこんな事を…とは思っていた。

…いえ、…それだけじゃない。


「すみませんが…この船がアンデッド化した経緯を詳しく教えて頂けますか?あの枢機卿がそれだけしか考えていないとは…思えないのです」


「分かったわ。…でもまずは一旦ここを離れましょう、あなた達は海賊を沈めすぎた。ここでゆっくりしていたらあの島から厄介な奴が来るかも知れない」


「…確かに、帝国も足止めはしているとはいえそろそろ突破してくる頃合いですし…ただ…船がこの有り様では…」


セインツロウは最初にクイーンオブヴェルサスから噛みつかれ、リンからの斬撃で船体が激しく損傷していて自力で航海するのは難しそうだった。


「ああ、それは…申し訳ない。だけどまぁ壊れていても沈む程じゃない…と思う」


リンがスッと手を挙げるとクイーンオブヴェルサスに残っていたロッシと数人のスケルトンがロープを投げる。


「すぐに船を繋いで!引っ張って逃げるわよ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


時は少し戻りリンがミレディと戦っている最中…カディスはミレディの部下であるシャーディと睨み合っていた。


「自慢の神聖魔術も効かねえ、祝福された武器も意味がねえ、さて…どうするかい?お嬢ちゃん」


「何故効かないのだ…!」


「んな事敵に教える訳ないだろ。馬鹿か?」


「アンデッドに馬鹿呼ばわりされる筋合いはない!…効かぬなら、効くまで叩き潰すのみ!」


やっぱり馬鹿じゃねえか!ちっとも考えてねえ!


ただ…腕は良いんだよなこの女。使っている得物が剣ではなくポールアックスというのもあり何度目かの直撃はやはり骨に響く。


「手応えはあるのに…!」


「そりゃ攻撃は当たってるからな。だが俺達は見ての通りアンデッド…何度破壊されても関係ないぜ?」


カディスがいう通り身体は何度も骨を砕かれている筈だが既に何ともなさそうに立っている。


「でもお嬢ちゃんはラッキーだぜ?姉御があのミレディってのとやりあってるから今は生きていられるんだからな」


「あの女性が強いのは分かる、だが我々もミレディ様と戦場を駆け抜けてきたのだ…!」


踏み込みからの突きでリーチを生かした戦いかたをするシャーディにカディスは突きを避けたがシャーディはそのまま横へとポールアックスを薙ぎ払う。


「やりにくいったらねぇな、長物相手は…!」


やはり単純にこのシャーディが強い。そう改めて思ったカディスはもう一度突きを繰り出してきたシャーディのポールアックスを剣で思い切り斬り払った。


「なっ?!」

「何度も馬鹿みたいに繰り返すからだぜ」


払われて隙を晒したシャーディへ一気に踏み込み剣を振るうがシャーディはポールアックスを手離して腰に提げていた長剣…ではなく短剣を引き抜きカディスの剣を受ける。


咄嗟に抜くのに時間がかかる長剣より短剣を抜いて止めたシャーディ。


「やるじゃねぇか!」

「くっ!負けるものか…!!」


密着していたカディスを体当たりで弾くとシャーディは短剣を逆手に持ち替えて空いた方の手で長剣を引き抜き構える。


「…その構え方は…いや、その構えの癖はイグナスと…」


驚いたカディスが口にしたイグナスという言葉…それを聞いて更に驚いたのはシャーディだった。


「何故貴様が…わが祖父の名を知っている?!」


「祖父……だと?……そうかアイツは…」


カディスは首元からペンダントを取り出してシャーディに投げる。


「何のつもりだ?」


「中を見てみな。お前の爺さんはソイツじゃねえか?」


シャーディは剣をその場に突き立ててペンダントを拾うと蓋を空ける…そこには確かに自分の祖父の面影がある子供と共に映る夫婦…


「ソイツはやるよ。俺にはもう…必要ねぇからな」


「……どういう意味だ?」


改めてシャーディを見たカディスは納得した。目元に面影はある…そうか…イグナスの…姉御に家族は探さなくて良いって言ったが…見つけちまうとはなぁ…


「ははは…まぁあれだそれだけは貰ってくれや。嫁さんと子供を置いていった馬鹿な男が唯一捨てられなかった未練さ」


カディスはそう言ってゆっくり腰から短剣(・・)を抜く。先程シャーディがした構えとは少し異なるが真似した訳ではないのだということがシャーディにも分かる。


「…アイツには途中までしか教えてなかった…だが続けていたんだろうなぁ」


「…まさかあなたは」


「ただのアンデッドさ…さてお嬢ちゃん、こっからは少し本気でいくぜ…!」


言うと同時に距離を詰めたカディスは先程までとは比べられない速度でシャーディの間合いに入ると剣を斜めに振り下ろす。

シャーディは咄嗟に短剣で受け流し、長剣を同じように振り下ろすとカディスも同じように短剣で受け流し…そのまま短剣を長剣から離れぬように力をコントロールして長剣を弾く。


「…その型の最後はこうするのさ」


弾かれた長剣に驚くシャーディ。


「何を……!」


カディスは答えず直ぐに構え直すと今度は剣を逆手に、短剣を普通に持つと姿勢を低く保つように駆ける。


シャーディは知っていた、この動きを…祖父にも父にも教わった型だから。


同じように構えて駆け出すシャーディにカディスは言う。


「もっと長剣を後ろに引け、こうすれば…」


急に軌道を変えたカディスの剣はかなり後ろから振り抜かれたので同じように振り抜いた筈のシャーディの長剣を簡単に弾き、短剣が喉元に突き付けられた。


「…あなたは、祖父の…私の…」


「あれだ…イグナスは……」


口ごもるカディスにシャーディは首を振り


「6年前に亡くなりました。私の自慢のおじいちゃんでした」


「そう…か」


「……カディス!!全員一旦戦闘止め!!」


リンの号令にカディスはすぐに剣と短剣を納める。


「一言…謝りたかったなぁ。イグナスにも…メリダにも…」


様々な想いが詰まったその言葉にシャーディは返す言葉が見つからなかったが…


「おじいちゃんから海軍に入隊する時…言われた事があります、“私の父は立派な船乗りだった。シャーディ、お前もその血を受け継いでいる”と」


「…そうかもな」


骨しか残っていないカディスの顔だがシャーディには泣いているように思えたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あれから数日…


「姉御~!この女を何とかしてくだせぇ!」


「なっ!?なんだその態度は!折角私がそのボロボロの服を修復してやったというのに!」


呼ばれて見たリンが飲んでいた水を吹き出す。


「ぶはっ!?良いじゃない、に、似合ってるわよ?曾孫からやってもらったんならありがたく受けとりなさいよ…くふっ!」


「姉御…そんな笑いを堪えながら言われても…」


カディスの服には確かに穴が空いていたのだが…今そこには…可愛らしい花の刺繍が入っていた。


「何が不満なのだ…?我ながら会心の出来だったのだが…」


そう言って首を傾げるシャーディにミレディは苦笑しながら首を振る。


「シャーディ、殿方はそういった花の刺繍は受け入れ難いのです。貴女も自分の鎧に趣味と合わない絵を入れられたら怒るでしょう?」


そう言われてシャーディがうっ…と詰まる。


「別に良いんじゃない?刺繍はともかく服自体はちゃんと直ってるんだし。諦めなさい」


「そんなぁ~!あんまりだ!」


「………そこまで否定せずともいいではないか…可愛いだろ…ヒマワリ」


そんな騒ぎはあったが気を取り直してリンは近くにいたスケルトンから板を受け取り船体に打ち付ける。


なんだかつい最近もこんな事やってたわね…


ここはスカルハイランドから南西にある無人島…クイーンオブヴェルサスで引っ張ってあの場所から逃げたのは良かったが嵐が近づいていたのもあって急遽この島でセインツロウを修復することにしたのだ。


幸いクイーンオブヴェルサスには修復するための資材や充分な食糧を積んでいたので特に困る事もない、なんせリンとロッシしか水も食糧も消費しないから。


リンと並んで慣れないハンマーを握り、釘を打っていたミレディだったが何本目かの釘を駄目にした所でリンから「とりあえずこの板を持ってて。釘を打つのは私がやるから」と言われてスケルトンと二人リンのサポートをしていた。


「…まぁ要するにあんたの上…つまり枢機卿?ってのが裏で何か良からぬ事をやってる、って事ね」


「ええ、マーサ様はそれを止める為に赴いた後から連絡が取れなくなり…マーサ様が生きていらっしゃるのは間違いないのですが聖女派の我々は無理に動くことが出来ず…」


ミレディが取り出したペンダントが淡い光を放っているのを見てリンはなるほど、と頷く。


「まぁつまりその聖女様は人質として捕まっているって訳か…中々厄介な事で。じゃあ今まで異世界人を集めていたのは…」


「枢機卿の独断です。聖教国のトップである教皇様はまだ8才と幼く…」


「良いように利用されてるって事ね。…少し聞いただけでも頭が痛くなってきたわ」


「すみません…」


「別に何もしていないんでしょ?ならばあなたが謝る事でもないわ。首謀者が分かればやれることもあるし…とにかく今はやれることをやっておくしかないわね」


嵐が過ぎてもここから離れず船を隠して修理している理由…


「今の状態でソフィアとは戦えませんからね」


ずっと近くをうろうろしている帝国の船…ミレディ曰くこの海域でずっと争っている“鉄の乙女“と呼ばれるソフィア=アレメールという帝国の将。

この女がまた厄介な性格をしているらしく強敵と戦う事が好きな上に実力は折り紙付きという…


「彼女の船であるアイゼンシュタルク号の速力も今のセインツロウでは逃げきる事は出来ないだろうと思いますし…武装に関してもあちらが上、勝っていた兵士の質も今は半数近くが怪我で動けないので」


「怪我については謝るけど…むしろ1人も殺してないのだから許してよ。そのソフィアって奴は…まぁ見つからなければその内諦めるでしょ。ほい、次の板ちょうだい」


言われてミレディが持っていた板を渡す。


「アミィ!ロープ巻いて!」


「カタ!」


リンに頷いたスケルトンが合図するとその後ろで待機していたスケルトン達がロープを引き、吊り上げていたセインツロウの船体補修用に切り出して加工していたパーツが少しずつ上がっていくと修理箇所まで来た段階で誘導していたスケルトンが旗を振って止める。


「……リン、今更ですが…貴女は船の修理経験が?」


「え?ないわよ。だけど手元に図面があって資材も道具も人手も揃ってるんだからどうとでもなるわ」


実際やたらと手際よくやっていて修理が進んでいる以上そうなのだろう、とミレディも納得した。


周りでは辺りの森から切り倒した丸太の皮を剥ぎ、リンが適当な大きさに切った丸太を板へと加工したり、簡易版の炉を作ったミレディの部下が火の魔術でセインツロウの破壊された装甲板を切断して変形した部分を魔力で加工、それを吊り上げて繋ぎ合わせて魔力を絞った光剣の魔術で接合する…


「造船所かと言いたくなるような光景ですね」


「…それいいわね、もし何も仕事が無くなったら造船所でも開こうかしら?」


ケラケラと笑うリンにミレディもつられて笑う。


「ああ、それと質問なんですが…貴女には彼等が見分けられているのですか?」


「ん?まぁね。完全に見分けてる訳じゃなくて…ぼんやりとした感覚で。カディスに全員の名前を聞いてからはわりと間違えなくなったわ」


「なるほど。私には精々服の違いしか判別方法がないので参考にしようと思ったのですが…無理ですね。もし分かれば遺族を探す事も出来そうだったのですが…」


遺族か、確かにミレディが協力してくれるなら探すのもありかも知れない。


「ただカディスがいうには前の船長…ライガット以外乗組員の殆どは孤児で家族といえる人はいなかったらしいのよね。そうじゃなくてももう死んでるだろうから探す意味もないって言っていたけど…私は出来るだけ探してみて欲しいかな」


「分かりました、教国に戻った際は必ず」


「その為にもまずこの状況をどうにかしないと…」


船の修理はまぁあと数日で何とかなるとして…問題は帝国の船か。


「ミレディ、そのソフィアって奴は戦いに喜びを見出だす奴なのよね?」


「そうですね、何度も交戦した経験から言っても間違いないでしょう。彼女は帝国内でも高位の貴族でありながら成人してすぐ戦場を駆け抜けてきた女傑です。彼女の盟友であるシュバイツァー公爵夫人と共に聖教国では強敵として有名なのですよ」


なるほどねぇ…戦いこそ我が人生、ってやつか。


「…ん?そういえばシュバイツァーって何か聞き覚えが…」


「シュバイツァー公爵夫人の事ですか?まぁ彼女も色々と有名ではありますが…多分今は彼女の娘の方が有名かと。冒険者で…」


「冒険者で?」


「母親譲りの燃えるような赤髪で」


「母親譲りの燃えるような赤髪…」


んー?


「戦場でいつしか呼ばれた名は母親の2つ名…“極炎皇“の後継者として、いえその荒々しい戦いを見た方々が畏敬の念を込めて呼び始めた“爆炎皇“という通り名があり…」


んん??


「最近は“灰塵“と呼ばれているようですが…」


あぁ、やっぱりベアトか。つかベアトの親って帝国の貴族だったのね…意図して隠していたのか分からないけど…少なくとも私を裏切っている、とは思いたくないな。


「もっとも…数年前に親子で派手に揉めて家を出ていったみたいですが…」


ミレディが言うにはその親子喧嘩は相当苛烈だったらしく戦いの場であったシュバイツァー公爵邸は全焼…その親子喧嘩にしてはやりすぎな事件は聖教国にまで噂が届いたらしい。


「あぁ、なるほど。それで……ま、アイツらしいっていうか…」


「知り合いだったのですか?」


「まぁね、知り合いっていうか…同僚というか…居候というか…」


「居候……それは………。いえ…そうなのですね。…と、話が逸れましたがソフィアは戦いに重きをおく武人であることは間違いありません」


「なら…何とかなるかもね」


ミレディが首を傾げるがリンは任せておきなさい、といってまた船の修理に戻る。


さて、一応どうにかなりそうではあるけど…少し不安要素もあるのよねぇ…


カディスからの報告で血塗れのベントの気配がするらしい。こんな状況じゃなければ全て問題なかった筈なんだけどね…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ