第1話 神様は下着泥棒
最後まで読んで頂けたら幸いです
第一話
私は早坂燐(はやさか、りん)職業は傭兵。出身は日本の傭兵としては珍しいケースだと思う。
その日私はいつもの様に戦場で命をすり減らしていくかの様に戦いに明け暮れていた。
周りでは味方が次々と敵の凶弾によって倒れて行くなかでそろそろ私も皆と同じ運命を辿るのが近いな、と内心思っている。
残弾もライフルのマガジンにあと3発、ハンドガンのマガジン一つ、手榴弾一つ、あとはナイフだけという有り様だし。
敵の弾幕が一層激しくなって退路もない、仲間ももう先に退かせて残ってはいない、そして戦場で女の私が捕虜になるという事は結末は一つしかないだろうと容易に想像出来る、だから捕まるつもりは全くない。
さて、覚悟も決まったし、最後くらい派手に暴れて散ることにしますかねぇ!!
そうやって私は隠れていた遮蔽物から躍り出ると敵に向かって走り出したのだった……
…のだけど、気がつくと真っ白な空間に私は立っていた。
「…ここは…どこ?……あぁ、これが死後の世界なの…か…?」
周りを見渡しても何一つないまっさらな世界。
私はやはり死んだのか?自分の格好を見てみるが酷い有り様で身体は所々怪我しているし、前の戦闘で負傷した顔の傷もまだ包帯を巻いたままだった…。
手には未だにハンドガン…私の愛銃、デザートイーグルが握られている、死後の世界にまで武器を持ち込むなんて私はどこまで行っても根っからの兵隊らしい。
さて、結局ここはどこなんだろう、そう考えていると不意に背後に気配を感じた。
「…誰だ?!」
そう言いながら振り返り様に手に持ったハンドガンを構える。
『おやおや、勇ましいお嬢さんだな、そんな物騒なもんは仕舞ってくれないかね?』
見ると四十代くらいの白衣を着崩した男がその場に立っていた。
「生憎と…先ほどまで戦場にいたんでね、見知らぬ男が急に背後に現れれば私も女だ。警戒くらいする」
そのまま男の眉間に狙いを付けつつ相手の出方を待つ。
『……ふむ、流石は元の世界で一目置かれる傭兵だな、俺はそういう強い女は好きだがな?白銀の殺戮姫、早坂燐』
「その名は好きじゃない、勝手に呼ばれて迷惑してるからな……で?なぜ私の名前を知っている?貴様は何者でここは何処だ……私は死んだのか?」
目の前の男は銃を突き付けられているにも関わらず不敵に笑いながらこちらを見据える。
『まぁ、話をしてもいいのだが…その銃を下げそうにないお転婆なお嬢さんにお灸を据えてからにするとしますかね…!話を聞きたいなら俺を倒してみせろ、リン!』
その瞬間、強烈なプレッシャーが私に向け放たれ、男に向けて構えていた腕が絡め取られると同時に銃が私の手から取り上げられた。
さらに関節を極めるための動きを見せた男に対し、力に逆らわぬように相手の動きに合わせ体を動かし男の拘束から逃れる。
『お?こりゃあ驚きだな!体術も使えるのか!』
リンは男に向かって反撃するべく体を動かす。男の溝尾に肘で一撃入れるとともにそのまま肩で当て身をお見舞いする…男は踏ん張りが効かなかったようで吹き飛ばされていく。
「舐めるなよ……早坂流柔術〈落葉〉」
吹き飛ばされつつも軽く身体を捻り着地した男は余裕の笑みを浮かべながら『…中々効くじゃあないか!』と、言いながら男は私から取り上げた銃からマガジンを抜き取り、装填済みの弾丸を排莢させると慣れた手付きでバラバラに分解していく。
分解されたハンドガンを床に放り投げるとニヤリと笑う。
『まぁ、流石と言っておこうか、ただな?俺だって一応この世界を統括する存在な訳でただやられた訳じゃないんだなぁ、ほれ?』
そう言いながら男が懐から取り出したのは…
「…………女性物の下着?なんの真似だ貴様?」
『あれあれ~?気付いてないのか?これに見覚えないのかいお嬢さん』
ニヤニヤしながらブラを眺める変態が目の前にいるわけだが…
「………?。!?」
ない。確かに見覚えがあるし、なによりないのが分かる。
「破廉恥な変態が!殺す!」
男に向かって駆け出すと拳に気を纏わせ殴りかかるが男は巧みに攻撃を捌きつつニヤニヤした表情を緩めずブラを懐に閉まった。
『さて、悪ふざけもここまでにしとくか、時間もないことだしな』
「いや、下着返せ変態!」
取り返そうと伸ばした手を男は捌き、手で私の腕を掴むと空いた方の腕で私の首を掴みそのままものすごい勢いで地面に叩きつけた。
「っが!」
衝撃で意識が飛びそうになったけど何とか堪える。
『すまんな。ついお嬢さんが強かったもんで柄にもなく遊んじまったが話を聞きたいならおとなしく聞いてくれないか?それが出来ないならこのまま元の時間軸に戻して死ぬ運命ではあるんだが……どうしたい?』
そう言いながら男は私の首から手をどけるとその場に座りこんだ
私は息を整えてから答える。
「…変態の話なんて聞きたくはないけど…どうせ死ぬなら話くらいは聞くわよ」
そう告げるとポケットから煙草をとりだし火をつけ一息吸うと紫煙を吐き出すリン。
『それじゃ、本題に入ろうか。率直に言うぞ?これから燐、君には私の友人の管理する世界に行ってもらう』
「……はぁ?」
短くなってしまった(笑)
簡易人物紹介
【早坂燐】
【年齢】24才
【スリーサイズ】????
【所有武器】 デザートイーグル、ナイフ、手榴弾、対物ライフル
【好き】 煙草、銃など
【嫌い】 変態おやじ 裏切り行為