驚愕の結末!
『起床!』
監視員の怒号で起こされた。
『今日から早速、建設作業にとりかかってもらう!』
『全員一列に並んで作業現場まで行進!』
シャベルとツルハシを片手に持ち暗いトンネルを進む。
俺は配線の取り付けや、不要品を一輪車に乗せごみ置き場へ運ぶ係だ。
ごみ置き場はトンネル
入り口に近い……俺は考えた。
ごみを捨てるふりをして、すきを見計らい、逃亡しょう。
一輪車に満載したごみをトンネルの入り口まで運ぶ。
案の定、監視員が交代の時間だ……しめた!
俺は物陰に隠れて姿勢を低くし雑木林目掛けて走り出した。
雑木林の中へ荒い息で転がり込んだ。
どうやら、上手くいったみたいだ。
雑木林の中を、あてもなく、とりあえず歩き出す。
『これは?』
木の枝にバンジージャンプで使われたロープが引っ掛かっていた。
赤い髪の男はどうなったんだ?
信太の視線の先に人らしきものが横たわっていた。
『赤い髪の男だ!』
信太は、恐る恐る近付いた。
すると赤い髪の男の首の辺りから点滅する光が見えた。
よく見ると首から電機配線が出ている。
バチバチというショート音。
赤い髪の男は、生身の人ではなく精巧に作られたドローンだった。
ダンプカーの運転手が用を足すため車を近くに止めた。
『これはチャンスだぁ!』
信太は、運転手のすきを見て荷台に転がり込んだ。
なにも知らない運転手は、信太を乗せたまま走り出した。
ジグザグの山道を幾つも下りトンネルを何度もくぐった。
やがて信太の見慣れた街に入った。
お昼御飯の買い出しに運転手が行き付けのコンビニへ車を止めた。
信太は素早く荷台を降りた。
幸い街コンビニ……俺がバイトしてる店じやないか!
信太は、その足で自分のアパートへ走った。
途中で、あの小池宅の前を通る。
例の美しい女性が庭で花に水やりをしている。
すると玄関横の車庫のシャッターが開いて高級車に乗った紳士が出てきた。
小池さん……庭にいる美しい奥さんに手を振り出て行く。
信太は疑問に思った……
この光景は昨日も見た。
しばらく、物陰に隠れて見ていると、再び美しい女性は庭に出て花に水やりをしている。
すると、玄関横の車庫のシャッターが開き、先程、出掛けたはずの紳士が再び高級車に乗って出てきた。
『どう言うことだ?』
紳士は車の窓から美しい女性に手を振って出ていった。
『何かおかしい!』
信太は庭で花に水やりをしている女性に声をかけた。
『こんにちは!』
『近くのコンビニで働いている信太て言います!』
『じっは、俺の先輩の先輩がお宅のご主人様なんです。』
『同じコンビニで働いていたよしみでご挨拶をと思いました。』
その女性は信太を見ると動きが止まった。
すると街を歩く人、車を運転していた人もすべて止まった。
杖をついた、お年寄り、会社へ向かうサラリーマンやOL、学生たち。
すべてが時間が、まるで止まったかのように静止している。
その時、後ろから、立ち竦む信太の背中を軽く叩く手があった。
『俺や!』
驚いて後ろを振り向くと、そこにはコンビニバイトの同僚。
洋司の姿。
『お前、俺をよくもだましてくれたな!』
食ってかかろうとした信太を両手でなだめる洋司。
『まぁまぁ……まて!』
『俺の話を聞け!』
信太は洋司に怒鳴った。
『また、俺をだますきか!』
洋司は信太に真実を話す時が来たことを告げた。
『信太、ちがうで!』
『周りをよう見てみい!』
『何かおかしくないか?』
ぐるりと周りを見渡す信太。
『すべて人々が、まるで時間でも止まったかのように静止している…なぜなんだ?』
洋司が信太の肩に手を置いて話した。
『この世界にいる生身の人間は、俺とお前の2人だけや!』
『お前が、あの美人の奥さんに声をかけたことでドローン社会がフリーズを起こした。』
『つまり、お前と俺は、このドローン社会のウイルスていうことや!』
『生身の人はドローンにより、すべて、すげ替えられたんだ。』
『ドローンという蛇の頭が自らの創造者人という尻尾を食ったんや!』
『ドローン社会、ウロボノス帝国へ……
ようこそ、信太!』




