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昔、英雄やってました  作者: 福来 由良
片田舎の小さな事件
5/13

5.

お隣さんのイチャモンから解放され、気持ち急いで織屋へ向かうと、待っていたのは仁王立ちした姉上でした

君たち仁王立ち好きですね



「ユーディット!…汚れも落ちたし着替えてきたのは良いけれど、どうしたのその頭は!きちんと梳かしてこなきゃ駄目でしょう?」

「ボサボサ〜」

「ボサボサあたま〜」


「…梳かしました。ここに来る前にフリューに会ったんです」



お隣の幼馴染君の名前を出すと、それだけで何があったか察してくれたらしい。姉上は何か言おうとして代わりに大きなため息を吐いた

そんな姉上にくっついていたチビッ子2匹が「ボサボサ〜」「ボサボサ〜」と俺にまとわりつく。おいお前ら、畑の手伝いはどうした



「アーリャ、エール。家に帰ったらフリューに、あんまりうちのユーを苛めないで頂戴って伝えてくれる?」

「は〜い!」

「えぇー」

「エール!」



アーリャとエールは双子の姉弟。フリューゲルの弟妹だ

姉のアーリャは素直な良い子なんだが、エールの方がどうも兄貴に影響されてか最近生意気になってきている。頼むから兄貴に似てくれるなよ

と、祈りながら眺めているとあっかんべーされたので兄貴の分もお返ししておくことにする



「なにすんだよー!」

「ほら、遊んでないでユーはここに座って」



ガッシガッシと髪の毛をかき混ぜてやると、エールがむくれながらポカスカ殴ってくるが痛くも痒くもない。が、あまりやり過ぎると泣かれるからな。と言うか、昔泣かれたことが実際あるから…今よりもっと2人が小さかった時に

やはり薄ら笑いを浮かべた死んだ魚のような目の人間と、長時間接するのは怖かったんだろうな…




遠い目をしている実感を持ちながら、姉上に言われた椅子に腰かけてボサボサ頭を直してもらう。その間も双子のチビたちは織屋の中をちょこまかと動きまわっていた

名人と呼ばれるババさまやおばさんたちが、そんな様子を見て時々小さな笑い声をもらす。その間も休むことなく続く機織りの音

実際お前がやってみろとか言われるとイヤイヤだが、この音は別に嫌いじゃない

まるで子守り歌のようだし、天井が高く、よく日の当たる広々とした織屋は本当に居心地が良い


平和って言うのはこういうことなんだなと、シミジミしていると、付随して前世の頃を思い出す

別に殺伐としていたとまでは言わないが、あの頃は魔王がいたし、今じゃ考えられないくらい頻繁に魔物なんかが現れてたからなぁ

警備も戦力も万全な王都なんかじゃそうでもないが、町や村ではエネミーが出現したら大騒ぎだ。子どもを家に隠して、ザワザワと大人たちがどうするか話し合う



「何だか外が騒がしいねぇ」

「男衆が狩りから帰ってきたんだろ」



村人総出で退治出来るならそうするし、そうでなければ助けを呼ぶ。騎士が常駐している町なら良いが、そうでなけりゃ近くの町まで走らねばならない



「おとーさん!」

「とうさんかえってきたっ?」



運良く冒険者や傭兵が宿泊していたら、そっちに頼むと言う手もあるな



「はい、出来たわよ。ユーはもう少し身嗜みに気を付けなきゃ」



俺の髪を綺麗なおさげに結った姉上がポンと俺の肩を叩いたのと、織屋の入り口が勢いよく開けられたのはほとんど同時だった



「たっ、大変だ!!ももも森にまっ魔物が!!」






………えぇと、これ何て言ったっけ?


フラグです。

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