恋心
2012年11月07日掲載
玲花は澪夢と歩いて帰っていた。
澪夢は玲花の顔色を伺って、話しかけようと思ったが
全然タイミングが掴めずにそのままサロンについてしまった。
玲花はサロンのドアを開けると澪夢を先に中に入ってもらう。
玲花
「どこでもいいから座ってて。」
澪夢はサロン内を見回していて、近くの椅子に座った。
白と淡いピンクを基調とした落ち着く感じの受付空間だった。
少ししたら
玲花が戻ってきてドアの掛札をCloseにして
外から見えないようにドアの小窓のカーテンを閉めた。
玲花は澪夢をMake Roomに通した。
Make Roomは個室空間になっていて、鏡の前のテーブルには
メイク用具が綺麗に整理されて並べてある。
玲花が必要な物を準備してる時、澪夢はただ見とれるだけだった。
一通りの準備を済ませると
玲花は澪夢に言った。
玲花
「もしかして…緊張してる?
動き不自然な感じで、顔は強張ってる感じに見えるから。」
澪夢
「だって…本当のサロンは初めて入ったし。
本格的で凄く綺麗で見とれちゃう。」
玲花
「本格的って…
実際に予約が入ってる時はお母さんが使ってるし。」
そんな話をしながら玲花は澪夢の首にタオルを掛けた。
そして
この日はクレンジングとベースメイクを
相モデルでやり合った。
玲花
「この後、予約でここ使うみたいだから。
私の部屋に行こう。」
玲花は澪夢に片づけを手伝ってもらい部屋に案内した。
玲花はサロンから澪夢と出て
すぐ隣にある自宅の鍵を開けて招き入れた。
そして
澪夢
「一回外に出ないと住居スペースに来れないの?」
一緒に2階に上がっている時に澪夢が疑問に思ったことを聞いてきた。
玲花
「サロンの奥にドアがあって
そこから廊下があってって感じで繋がってるよ。
そこから、友達やお客さんは入れないの。」
2人は明日に備えてお互い分からない部分・曖昧な部分を教え合いながら
リラクゼーションの音楽が流れている部屋でネイルの筆記を解いていた。
学校での出来ごとをふっと思い出した
澪夢は玲花にこう言った。
澪夢
「今日の学校での佐々木さんの事だけど…
何があったの?」
玲花は一瞬だけ澪夢に目をやり、問題集に目線を戻した。
そして、問題を解きながらこう言った。
玲花
「失礼な事言ってた、恋愛に定義なんてないのに。
今は話したくないの。」
澪夢は玲花がほんの一瞬だったが、感情的になったのを見逃さなかった。
澪夢
「怒らないで聞いてね。
多分、高確率で佐々木さんは…。」
澪夢が口ごもると玲花が続きを言った。
玲花
「私のことが好きだと思うじゃなくてなの。
お願い。これ以上詮索したり、苛立たせないで。
智希に対する気持ちを侮辱されたことで、八つ当たりしたくないの。」
澪夢はこれ以上刺激しないように
問題集に目を移して、静かにこう言った。
澪夢
「今度は私が相談に乗るから。
何があっても友達として応援するからね。」
玲花は澪夢の言葉に頬を緩ませた。
PM6:30
澪夢
「今日はありがと。
勉強も教えて、サロンまで解放してくれて。」
玲花
「私こそありがと、筆記もはかどったし。
それと…言ったことで傷付いてたら、ごめんね。」
澪夢はやさしく微笑んでいた。
「傷付いてないから。
それと…私も恋しそうな予感なの。これが恋心…なのかなって。」
玲花
「恋にも愛にも定義はないの。
定義があるとすれば…お互いにしか分からない。
私も後押しは出来ないけど、応援するよ。」
澪夢
「ありがとう、これから2人で会うの。」
そう言うと、明るい顔で歩いて行った。