試練〜望夢の償いと告白
望夢
「俺も真実の言い訳をさせてくれ。
ホテルでの写真は…既成事実なんだ。」
もう、玲花は驚きもせずに
目を三日月にして微笑みながら
黙ったまま話を聞いていた。
望夢
「確かに…服を裂いたのは事実だ。
でも、それ以上は何もしてない、
その証明として…
結婚後、手を出さなかった。」
玲花
「結婚してから…『何でだろう』って
私も何回も考えて答え出ずにいたわ。」
望夢
「どうしても…出来なかった。
本当に愛してたから、情が出来るまで
ホテル以上に絶対に手を出さないって
決めてたんだ。」
ホテル以上って…
それ以下はするつもりだったの?」
微笑みながら笑わせる様に問いかけた。
望夢
「からかうのは止めてくれよ…。
そう言う意味で言ってないから。」
玲花の読み通りに微笑みながら
望夢は答えてくれた。
この微笑みは解放されたのを
象徴しているみたいだった。
玲花はそれを嬉しく思い
何度も心の中で謝ってた言葉
口にだした。
玲花
「私のせいでごめんね。
本当に長い間…苦しませて
謝って戻る訳ではないけど…
謝らずにはいられない。」
玲花の目からは
嬉しさ、自責の念などと
色んな気持ちが交錯していた。
望夢
「少しで良いんだ…。
頭を抱かせてくれる?
これだけは抱いて言いたい。」
玲花
「夫婦らしい時間は
それが終わったら終了ね。」
玲花は頭を望夢に預けた。
これが最後の夫婦としての
最後の願いとして。
望夢
「玲花が謝る必要なんてない。
全ての発端は俺がしたことから
始まったんだ。
玲花には一切の責任もない。
幸せになって…生きてほしい…。
それが俺の願いだ…。」
玲花は
「生きてほしい…。」という言葉に
色んな感情が出てきて
初めて声を出して泣いた。
玲花
「…っ、どうして、なの?
何で…幸せになってって言うの?
不幸は私だけじゃないのに…。」
望夢は玲花の言葉を深く考えずに
頭を抱いて、撫でていた時だった。
玲花が言葉にならない様な
小さい声を発した。
左手で左のこめかみ部分を
握り潰す様に押さえながら…。
望夢
「…どっ、どうかしたか?」
完全に焦っていた。
玲花は病気を悟られない為に
望夢に「…大丈夫。」と発して
望夢の手をゆっくり外した。
痛みを堪えながらも
急いで個室を飛び出した。
そして
残された望夢は部屋にある
録音中になっているレコーダーの
停止を押してスイッチを切った。
レコーダーは玲花がメモと一緒に
話し始めた時に置いたもので
メモにはこう書かれていた。
「失礼だけど…私の本音と言って
これをお義母さんに聞かせて。」
玲花はこれがあったから
部屋から急いで飛び出したんだ。




