試練〜お互いの想い
智希は無言のままで
運転し続けていて2階建ての家の
駐車場に車を止めた。
そして、玲花の手を引っ張って
2階建ての家の2階に連れて行き、
部屋にあるベッドに座らせ
隣に智希も座った。
玲花には
その場所から逃げることも出来たが…
そうしなかった。
理由は…
もう、何も言わずに急に目の前から
消えるのは無責任だと思ったから
自分の気持ちを話して離れるつもりでいた。
智希
「ここ、俺の家だから。
大体の話は舞嫁ちゃんから聞いた。
もう、逢えなくなるかもって言われて行った。」
玲花
「ここに着くまで考えてた。
やっぱり、ちゃんと言うべきだって
思って、だから、伝えると決めた。」
智希は何も言葉を発せずに、
玲花の言葉に頷くだけだった。
玲花
「私たち、離れましょう。
いえ…別れよう、終わらせよう。」
そう言った後、正面を向いていた
智希は思い切り、玲花の方を向いた、
玲花もまた智希を見ていた。
智希は息を呑んで目を見開いた、
玲花はその時、少し涙ぐんでいた。
智希
「っ…何でだよ?
何で終わらせる必要がある?」
智希の声は何故か震えていた。
玲花
「じゃあ、聞くわ⁈
また私を失っても平気でいられる⁈
目の前から姿を消しても…?
今のうちに離れた方がいい。」
智希
「玲花が俺に言った
試練は乗り越えられるって。
今回は逃げるのが答えなのか?」
玲花は横目で
智希を見上げていたが
その目はさらに潤んでいた。
智希
「本当は好きなんだろう…。
病気で…もしもの時が心配で
離れたくないのに、強がってる。
違う?」
玲花に囁くように耳元で
優しく言った。
智希の優しい言葉に
玲花は口元を片手で覆って
涙を流して智希に抱きついた。
その時には
今までの強がってる玲花ではなく
弱々しい一人の玲花だった。
そんな玲花を胸に抱きながら
少し微笑みながら言った。
智希
「この試練は乗り越えられる。
お前が言ったんだ、俺に…。
今の俺を見て。
玲花も出来る、絶対に。
そう信じる。」
智希の胸を強く抱きしめる…。
それが答えの様に…。
智希
「玲花は大丈夫…。
今まで辛苦しい時期を過ごした、
今度は幸せになる時が来たんだ。
今の俺の不幸は玲花が幸せに
暮らせない事なんだ。」
玲花は智希の胸の中で
さらに縦に頷いていた。
智希
「償いは一緒に時を過ごす、
方法はそれだけだ、他に無い。」
智希
「そして、もう絶対に
自分の運命から逃げないんだ。
俺が居る限り諦めるな。」
玲花
「…そうねっ。
運命は変えられるんじゃなくて
運命を変えるのも運命で決まってる。
私が信じ続けた言葉…。」
涙声のまま言った。
この言葉は
玲花の座右の銘だった。




