願い~最後の欠片
玲花
「私がこれからする行動で
振り出しに戻っても構いません。
智希も覚悟したんでしょう。
だから、私に言ってきたんですよ。」
担当医
「2ヵ月の間の努力を
水の泡にするかも知れない行動に
賛同することは出来ない。」
玲花
「昨日、智希が言ったんです。
無意識の自分に守られたくない、
怯える様に甘えたくないって…。
そう、言ったんです。」
担当医は言葉を発しずに
玲花を見ていた。
玲花
「私も覚悟を決めたんです。
以前、先生は言われましたね。
愛情は医学の常識を超えるものが
あると。」
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玲花は運転しながら
智希がいない場所で
担当医と話していた内容を
思い返しながら走っていた。
玲花
「これからも場所は
敢えて行かなかった場所なの。
私が忘れるはずない哀しい思い出の所。」
智希
「俺も…その哀しみを分かち合うよ。
絶対に逃げないから…。
支えてくれるか?」
玲花
「全力で支えるよ。
智希の気持ちは無駄にしない。」
智希は玲花の左手を強く握った。
そうして、建物の駐車場に駐車して
2人は車から降りた。
そして、手をつなぎながら
玲花は建物の目の前に立った。
玲花
「ここが何処だか分かる?」
もう玲花に迷いは感じられなかった。
智希は片手で頭を押さえる。
この姿の時は…
何かを思い出してる
何かのシーンが甦った
このどれかの時だった。
智希
「…来たんだよ。
玲花に逢いに来たんだよ。」
玲花は智希を涙ぐまずに
頭を縦に何度も頷きながら見つめてた。
玲花は智希のつないだ手を引き
こう言った。
玲花
「ここから、私の部屋を見上げてた。
2時間以上待つのが日常になっていたの。」
指で指し示しながら言った。
智希
「毎日…ここに来た。
夜……このサロンに来た。
顔合わせだ!
抜けてたのは……何だっ。」
玲花は携帯を取り出し
智希に1枚の写真を見せた。
智希
「!!!
そうだ、こいつだ。
俺の気持ちが無意識で消したのは
望夢の存在だ。」
智希は人目も憚らずに
玲花に抱きつき涙を止めどなく流していた。
そうやって
自分の意識を手放さない様に
一生懸命に堪えていた。
ここで、気持ちが負けたら
最初からの振り出しに戻ってしまう、
その気持ちと向き合おうとしてる。
玲花
「隣にいる、智希は一人じゃない。
無意識の自分に甘えるな!
全てを解放して向き合いなさい。」
智希
「俺は…全ての記憶を思い出した。
もう何も恐れない。」
そう言った目は今までとは違った。
玲花は目を閉じて
大きな安堵のため息を吐いた。
玲花は、智希の気持ちを
落ち着かせる為に車に戻った。
そして
2人は改めて抱き合って
唇を重ね合わせた。
本当の気持ちに戻った智希と…。




