玲花の溢れた本音
ーPM19:00ー
玲花は、いつもの勤務時間を終えて
智希に逢ってから帰宅した。
もう、お手伝いも家政婦も帰っていて
リビング等は、静寂に包まれてた。
玲花が自室に入ると
ベッドの隅に座ってる望夢がいた。
望夢
「昨日、何処に居たんだ?」
苛立ってる様に見える。
玲花
「病院よ、一日中。」
淡々と望夢に言うが、
望夢は玲花の異変に気が付いた。
それは…
いつもの優しい声でなく、冷たくて、目力が入っていた。
玲花
「聞きたい事がある。
今日は、本音で話し合うの。」
望夢
「分かった。
ところで、何が聞きたい?」
玲花
「私にした全ての事に対して
罪悪感を持ったことはある?」
望夢
「…今まで一回も感じた事はない。
そんな気持ちになりはしない。」
望夢は目を逸らして言った。
玲花
「…私は望夢の心を
美化し過ぎてたみたい、今、絶望したわ。」
望夢
「自分で決めたことだろ。」
玲花
「智希を傷付けたのは?
飲み物に薬を入れたのは?
私をホテルにつれていったのは?
卑怯な手で彼から私を奪ったのは?
これは、どう説明する?」
玲花の目は軽く潤んでいた。
望夢は黙ってしまい、
この質問には何も言わなかった。
玲花
「私を脅して、
智希の気持ちを知りながら奪った。
智希に勝てないから、卑怯に。」
望夢は玲花を見ることもせずに
目を逸らしたままだった。
玲花
「あなたは、今まで色々な物を
手にしたと思うけど、私はそうはいかないわ。
何でも自分の思い通りにいくと思ってるなら、
それはただの傲慢よ。
それに、」
そう言って左の口角上げて言った。
玲花
「智希と一緒にいた時間は
誰にも永遠に取ることは出来ない。」
望夢
「何で今になって…そんなことが言える?
玲花にも思いやる心くらいは
あって、今までで育まれてるだろう?」
やっと声を出したが震えを隠す様な声だ。
玲花
「私にもですって、残念ね。
私はあなたを愛した日は無いから、
あなたの心の内を読んで思いやる心は
育まれる前に無いわ。」
望夢は聞くことしかできなかった。
玲花
「私たちだけだったら、憎んではいないわ、
関心がないから何とも思わない。
だけど、智希が絡んでいれば違う。」
望夢
「智希?
この6ヶ月間優しかっただろ?」
玲花
「私は6ヶ月前の私とは違うわ。
優しくする理由も無くなった。
あんなことをしなかったら…
彼を苦しめずに済んだ、
智希とずっと一緒に居たから。」
望夢
「彼を…苦しめる?」
玲花
「今の彼を見たらどんな顔をするかしら?
それでも、平然として罵れるなら
良心の欠片もない人ってことね。」
そう言うと玲花は部屋を出て行った。




