澪夢と玲花
PM16:30
澪夢
「一緒にメイク落としに行こう。
これで、顔合わせはやばいでしょ。」
玲花
「まあね。」
玲花と澪夢はクリームクレンジング剤を持ってメイクルームに行った。
‐メイクルーム‐
澪夢
「モデルって、変わらないのかな。
座りっぱなしで疲れちゃう。」
玲花
「今回のコンテストが終わるまでの我慢。
それに、コンテストメイクは金曜だけでしょ。」
玲花はこうやって澪夢の愚痴をいつも聞いて、落ち着かせていた。
メイクを落とし終わると、教室に戻って澪夢へメイクを始めた。
澪夢
「羨ましいな~、玲花は。」
玲花
「なんで?」
話の意味が分からずに疑問形で返した。
澪夢
「だって、こうやってメイクも上手でヘアメイクも得意でしょ。
勉強も出来て、彼氏までいるなんて恵まれてるよ。」
玲花
「そんなこと無いって、もっと練習しないと。
プロメイクアップアーティストになるにはね。」
そんな会話をしながら澪夢のメイクを済ませると、自分にもメイクを施して
2人は実習着から私服に着替えて校内を出て、目的地まで歩いていた。
澪夢
「私はメイクの腕を上げる為に、あの学科に入ったんだよ。
なのに、週1は練習出来ないし…範囲ペーパーテストも再試。」
玲花
「見るのも勉強だよ、特別講習で言ってたでしょ。
月曜と火曜のメイク実習で出来るでしょ。
ただ、特別講習でもブラシは毎日持った方が良いって。」
澪夢は講習を聞いてないような顔をしていた。
玲花
「もしかして…寝てた?」
澪夢は笑いながら誤魔化しているのを見て、玲花は微笑みながら呆れていた。
玲花
「提案なんだけど…来週の放課後の用事無い日はうちのサロンに来れる?」
澪夢
「どうして?」
澪夢は不思議そうに玲花に言った。
玲花
「サロンでゆっくりメイクの練習し合おう。
ポイントとかも教え合えるし、どう?」
澪夢
「でも良いの?
智希君との時間取っちゃって…。」
玲花
「大丈夫、智希とは夜に逢うから。
放課後とかは空いてるの。」
澪夢
「夜に2人きりになるんだ。」
澪夢は玲花と智希が薄暗い中で
抱き合ったりしてる光景を思い浮かべてた。
玲花は急に黙った澪夢を見て言った。
「今、私達の夜の光景を想像したでしょ。」
澪夢
「だって、それ位しか無いでしょ?
2人でする事って、しかも夜に。」
にやけながら玲花に言った。
玲花
「あのね、皆がそうだとは思わないで。
後は自分の彼氏で経験するしかないね。
私達はデート代とか車検とかでバイトしてるから夜しか逢えないの。」
こんな嫌味を言うのは珍しいことだった。
それでも、玲花をからかうのを止めなかった澪夢に言った。
玲花
「もう?
せっかくサロンでの提案も無しね。
顔合わせも行かないから。」
玲花は、来た道を3歩位戻った所で
澪夢に腕を掴まれて言われた。
澪夢
「ごめんねっ。
経験した事とか無いから分からなかったの。
だから…ねっ。」
玲花
「全く調子が良いんだから。
色々な事情があるんだからね。」
最初はわざと冷たく突き放したが、最後は笑顔で澪夢に言った。
玲花と澪夢はまた歩き出し、澪夢が急に話しかけてきた。
澪夢
「やっぱりさぁ…
学校とバイトっていう忙しさがあるのに
恋って大変だって言ってたよね?」
玲花は今日の朝話した事を思い出して話し始めた。
玲花
「今朝のことね。
だけど、恋とバイトを両立させたいって信念があるの。
強い念でなら、実現できると信じてるの。」
澪夢
「心折れそうになったこと無いの?」
玲花
「相手が出来ると分かった事だけど…。
私たちは、忙しいからと言って恋を捨てたりは無いの。
凄く大変でも、やりくりして時間を作って逢ってくれるから。」
澪夢は理解しづらい顔をして玲花の話を聞いていた。
玲花
「だけど、何で?こんなこと聞いてきたの?
今までは聞かなかったのに。」
澪夢
「もし、今日気になる人がいたらだけど…
両立できるかなって思って。」
玲花
「心配しなくても大丈夫よ。人には適齢期があるの。
だから、焦って考えることじゃないって。」
澪夢は不安そうに言葉を発した。
「私…怖いんだよねぇ。相手と離れたらと思うと。
傷つくのが怖いから、心の底から好きになれるか…。」
玲花
「相手を好きになれるかじゃなくて、好きになるの。
知らないうちに、心は開いてるの。」
澪夢
「そういう風になるのかなぁ?」
玲花は小さく頷いた。
玲花
「それに、傷ついて立ち直るのは大変かもだけど
恋することに対して強くなれると思うわ。」
玲花は澪夢の心配を聞きいて、アドバイスしながら
歩いて行った。