認めなかった代償
2012年10月09日掲載
2014年02月11日編集開始
2014年02月12日編集終了
紫堂総合病院 東病棟内
望夢の所にいた玲花をお義母さんは腕を引き、
病室に隣接されたラウンジへと連れて行った。
ラウンジには最終面会時間終了近く、患者はいない。
ラウンジ
そこで、椅子に座るわけでもなく机の横に立ち
お義母さんは弱々しく、玲花の目を見て一言発した。
お義母さん
「…助けてあげて。6ヶ月の情はあるでしょっ。」
玲花はその言葉を聞き、外していた目線をお義母さんに合わせて目力を使い、最初は静かに言葉を発した。
玲花
「こうなっても考えてるのは血縁の家族の事だけ?」
静かに言った後に、凄い剣幕で続けた。
玲花
「嫁は新しい家族の一員では無いんですか?
私が6ヶ月家事や行事準備を疎かにした日ありました?
いつか…認めてくれる、そう思って、やってきたわ。」
お義母さんは玲花から目線を外し、
豹変した玲花を見て涙で潤ませた目を泳がせた。
玲花
「こういう時には泣きつく…変ですよね。
私は、お義母さんの都合の良い嫁ではないんです。」
お義母さんは
言われた事に対して動揺を隠せないでいる。
玲花は、一回お義母さんを
見下すように見てまた静かにこう言った。
玲花
「そうでした、嫁でも無いんでしたね。
…今から2分前の嫁だった時に戻り話します。」
玲花は右の口角を上げて、
微笑みながら、数歩お義母さんに詰め寄った。
玲花
「変ですよね、私に情なんて無いわ。」
お義母さんは気力を無くして、
フラフラとエレベータに向かい、歩いて行った。
玲花はその後ろ姿を涙ぐみながら、
睨み小さく言った。
玲花
「私は6ヶ月前の嫁いだ時の弱い私では無いわ。
お義母様、したことは償って貰うわ。」
玲花は望夢の所へ戻った。
「卑怯よ。私に償いもせず、このままなんて。
私をここまで突き動かしたのは…お義母さんの行い。」
玲花はそう言ってエレベーターに乗って
1階で降りてガラス越しの自動ドアの職員用出入口に
向かい、更衣室で着替えた。
玲花が、更衣室から戻って入退院出入口を覗くと、
トボトボと歩き駐車場に向かうお義母さんが見えた。
玲花はその姿を見て、心の中でこう思った。
玲花
「犠牲者ぶらないで。本当の犠牲者は望夢達じゃ無い。
それに、いつ終えるかの権限は私が持ってるんだから。」