Chapter 4
さて、どうしようか。
うみねこで働く事になった後、とりあえず頼まれていた用事などをこなして帰ってきた。その後は夏休みの宿題を真面目にやって、気づいたら夕方になっていた。シャーペンを置いて、氷が溶け水っぽくなってしまった麦茶を飲み干す。そして、初めてメールが届いたことを知らせる小さな光が携帯から放たれているのに気づく。
あわてて携帯を開くと、和樹、と画面に表示されていた。
『差出人:平川和樹
件名:パフェ
本文:昨日も食べに行ったけど、
新しいレストラン見つけたよ。
興味ある?』
送られた時間を見てみると、うみねこレストランにいた時間だ。鳴ったのに全く気付かなかった。
和樹の言うレストランはどこなんだろう。もしうみねこレストランが記憶のレストランじゃなかったら、また一緒に探しに行かなきゃ。未だに瓜二つのうみねこが記憶と一致している事を信じられない私は頭の中でそう思う。それでも、一応彼には探しているレストランかもしれない場所でアルバイトをする事になったと伝えればいいのだろうか。
メールを打つ事が苦手な私は精一杯指を動かし、返事をなるべく早く書く。
『ごめんね、今メール確認した。アルバイトすることになったの。昨日、和樹が見つけた張り紙の所。』
一緒にレストランに行かなかった事、彼は残念がるだろうか。和樹は忙しいのに付き合ってくれて、こうやって新しい発見の報告もしてくれる。もっと普通な趣味の子達と遊びに行けるのに、過去に縋り付いている私とパフェを食べに行ってくれる。和樹が忙しいから一人で出かけたことはあるけれど、やっぱり彼がいないとつまらない。彼も楽しんでくれてるのか、また行こうっていつも誘ってくれる。
メールを送るのを一瞬ためらってから、息を飲んでボタンに力をいれる。
アルバイトでしょ。なんでこんなに考えるの? 自分に問いかけ、携帯を畳んだ。