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8/16

piece8:壊

崩れてしまう。全て全て。

   

   

   

   

   

母さん 母さん。

幸せって何?

   

   

   

幸せって何かしらね?

母さんの幸せは今ユトと父さんが傍にいることよ。

   

   

   

僕の幸せは何?

   

   

   

それはユトにしかわからないわ。

ユトはどんなとき幸せ?

   

   

   

えーっとね…ご飯食べてるときとか

寝てるときとか

あとは…母さんと父さんと一緒にいるとき。

   

   

   

そう。

幸せは皆違うのよ。

父さんの幸せも違うもの。

けれど、その幸せにも同じところがあるの。





どんなこと?




その人自身が作り上げた幸せだってこと。




作り上げた?




そう。

生まれてすぐ幸せな人はいないわ。

誰でも自分で自分の幸せを見つけて作るの。




そっかぁ。

じゃあ僕もまだたくさん幸せ作れるかな?




ええ、きっと。

そしてその幸せを大事にしないとね。




うん。








********



母さん、僕らが作った幸せは、今崩れかけています。





鳴り響いたサイレンがやんで、世界中に放送が流れる。


『フィルターに異常が見付かり、使用できない状態です。只今早急に修理をしていますが、人間の皆さんは避難してください。繰り返します。フィルターに…』

   

誰もが耳を疑った。



フィルターが壊れた?

僕らの幸せを守るフィルターが?

それは、僕らの幸せが壊れたのと同じこと。

ああ、どうして。

僕らは普通に生きていたいのに。


僕らの幸せを 壊さないで。




「フィルターが…壊れた?それじゃあ私達はどうなるんだ…」


静まりかえった街の中で一人の男の人が呟いた。

顔は真っ青だ。


「そうだ…このままでは私達は…」

「どうするんだ…早くどうにかしなくては…」

「私達は殺されてしまうのか…」


「やつらを…吸血鬼を地下に閉じ込めろ!!」


誰かの叫んだその言葉は、街にいた人間を支配した。

ついさっきまで親しく話していた吸血鬼を引きずり倒し、地下牢へ放り込む。

吸血鬼達の悲痛な叫びが街に響いた。

泣き叫ぶ子供も人間達は容赦なく放り投げる。




これが僕らの世界?



どうして どうして。





誰か 助けて。

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