表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

piece3:常

「ユト学校行こう!」

   

ぼうっと宙を見ていた僕の耳に、レンの明るい声が届いた。

窓の外を見れば、レンがぴょんぴょんと飛び跳ねてこっちに手を振っている。

レンって少し子供っぽいんだよなぁ…。

純粋で素直だから誰にでも好かれるんだろうけど。

   

「ユト早く〜!」

「ごめん、すぐ行く。」

   

レンに急かされて、玄関を開けた。

空を見て 思う。

   

   

もうすぐ満月だ。

   

   

外気に晒された僕の掌をぐいと引く暖かいもの。

レンの体温。

   

「早く!」

「…うん。」

「あっ。…おはよう。」

   

おはようをいい忘れたことに気付いて、レンは恥ずかしそうに笑った。


   

今日もいつもと変わらない朝。

レンと一緒に学校へ向かって、そこに着けば沢山の友達がいて。

何気無い日常。

僕はこの日常が好きだ。

毎日そんなに変わらないけれど、このままでいたい。


   

「もうすぐ満月だね。」

   

誰かが言った。


多分今誰もが思っていること。

けれど皆レンほどは心配していないみたいだ。

フィルターがあるから。

吸血鬼が暴走することは、無い。

何年も平和が続いているのがその証拠。

満月を意識しても不安に思う人は少なかった。

   

   

   

「あと二日だな。」

   

街で人々がそんな話を始めた。

満月前には必ず見られる光景。

ただひとつだけいつもの満月前と違うことがあった。

それは、天気。

満月になる前の一週間は決まって晴れていた。

それなのに昨日も今日も空は重そうな雲に覆われていた。

それがよけいにレンを不安にさせたようで、ずっと塞ぎこんだままだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ