表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

piece1:世

アドバイスが頂けたら嬉しいです。

僕等が生きるこの世界は

   

二つの種族が共に生きる世界

   

僕等はうまくやっていた

   

それなのに

   

   

   

   

   

   

「ユト!」

大声で僕の名前を呼びながら、友達のレンが走りよってきた。

真っ青な瞳が真っ直ぐ僕を見る。

僕の金色の瞳を。

   

「どうしたのレン?」

「いや…どうしたってわけじゃないんだけど…大丈夫?」

「大丈夫って…何が?」

「え、と…もうすぐ…満月だから…」

   

満月、という言葉を聞いてレンが何を心配してるのかわかった。

   

僕が暴走しないか不安なんだ。

   

「大丈夫だよ。僕は完全な吸血鬼じゃないんだって何度も言ってるじゃない。」

「うん…わかってるんだけど不安で…ユトは大切な友達だからさ、そんな風に別れたくないんだ。」

   

   

   

   

携帯電話やパソコン、冷蔵庫なんていう電化製品が出回っていたのが数百年前にもなる世界。

僕達はこの世界で暮らしていた。

   

この世界は、二つの種族が入り混じった世界。

一つは人間、一つは吸血鬼。

どの時代からそうなったのかはわからない。

もしかしたら携帯電話が出回っていた時代から吸血鬼は少し混ざっていたのかもしれない。


そうなのかはともかくとして、僕達は種族の差別もなく、平和に暮らしていた。

とはいえやっぱり問題はあった。

それは、吸血鬼の暴走。

何百年も前に発見された本に、『吸血鬼は月が満ちる夜悪魔へと姿を変える』と書いてあった。

これは、この世界じゃ常識。

つまり、満月の夜に吸血鬼が暴走するってことで。

満月は時が来れば必ず空に姿を現す。

その度に吸血鬼が暴走したらこんな世界は存在しない。

そこで人間は考えた。

   

吸血鬼に満月を見せなければいい。

   

人間ってのは凄い生き物だ。

解決策を見つけたら、どんなに時間をかけてでも作りあげる。

空に貼るフィルターなんかよく作ったものだ。

満月の夜だけ空にフィルターを貼って、月の光が届かないように。

それは、僕が産まれた時からそうなっていた。

だから僕や僕の世代の人間と吸血鬼は吸血鬼の暴走というのがどんなものか知らない。

知らない方が当然幸せなのだろうけど。


   

その辺りを見回せば、人間と吸血鬼は普通に会話をしている。

種族の違いなんて忘れてしまうほど自然に。

   

それでもやっぱり人間は恐いんだろう。

カレンダーには全て満月になる夜が記載され、毎日のニュースではあと何日で満月か放送される。

   

まぁ吸血鬼が暴走なんかしたら命が危ないってわかってるから当たり前なんだろうけど。

   

   

   

   

「ユト…?」

「え、ああ、大丈夫。」

「うん…」

   

   

レンは人間だ。

見分け方は簡単。

瞳の色が青か金か。ただそれだけ。

僕の瞳は金色。

だけど僕は吸血鬼じゃない。

吸血鬼と人間のハーフ。

だから、満月でも暴走しない。

それはちゃんと証明されてる。

それでもレンは毎回満月の前には僕に確認してくる。

レンは僕にとっての親友で、きっとレンもそう思ってくれてるはず。

だから不安になるんだろうな。

   

   

   

「大丈夫だよ。それに満月になってもフィルターがあるんだし。…一緒に帰ろう。」

「うん!」

   

   

そう。大丈夫。

たとえ吸血鬼が暴走しても、僕がレンを守る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ