すべての始まり
「お兄ちゃん……沙耶ね、お兄ちゃんに言いたかったことがあるの」
「ん? 言いたいこと? でもごめんな…… 俺、遊びにいかなきゃいけないからまた後で聞いてやるよ! じゃいってきます」
「やばい遅刻だ! 急がないと間に合わないよ」
急いで走っていると車の急ブレーキの音となにか重いものが地面に叩きつけられた音がした……振り返ってみるとそこには横たわって寝ている女の子がいた
「ん? 沙耶ッ!」
沙耶は俺の後をついてきてたらしくトラックに跳ねられて道路に横たわっていた俺はすぐに救急車を呼んだだが沙耶はそのときもう息はしてはいなかった
「うわっ……またこの夢か……やっぱ沙耶は俺のせいで……あのとき沙耶はなにを言いたかったんだろうか……もう一度沙耶に会えれば」
俺はここ最近になって5年前のある事故のことがよく夢にでてくるようになった
それまでは月に一回あるかないか程度であったのだが、最近は一週間に三回くらいの割合でこの夢を見るようになった
ある事故とは「小学3年生のある女の子がトラックに跳ねられて即死した事件」だ
普通の人からみれば普通の小学3年生がトラックに跳ねられて、即死ということで普通の事故なのだが、俺には他人事のように流せるような事件ではなかった
ある女の子……それは俺、柊 鏡也の妹、柊 沙耶なのだ
沙耶は俺に言いたいことがあったらしく、それを無視して遊びにいってしまった俺の後をついてきて事故にあった
俺は今そのとき少しくらい遊びに遅れてでも妹の話を聞いてやればと後悔している……
今になって沙耶が言いたかったことがなんなのか気になっている……
もう一度沙耶に会えれば……
そんなことを思っていたら
「気になりますか? あなたの妹さんがなにをいいたかったのか」
そこには黒い燕尾服をきた黒い短髪の男がそう話をかけてきた
「うわッ! 誰だよお前!つかなんで勝手に家に上がりこんでるだ!」
「申し送れました、私はゲームの主催者の使いのもので佐藤と申します、貴方をゲームに招待するために参りました」
「ゲーム?」
「そうです。 ゲームは強い願望を持ったもののみが参加できるゲームです。 このゲームで私のオーナーに勝つことができればなんでも一つ願いが叶いますよ?」
佐藤は不吉な笑みを浮かべてそう言った
「なんでも? 沙耶にもう一度会うこととかもできるのか?」
「もちろんですよ。 どうです? ゲームに勝利してもう一度妹さんに会われてみてはどうでしょうか?」
「でも……」
「強制参加ではありません。 もし参加する意思があるのであればこちらをお読みください」
佐藤はそう言って黒い封書を渡してきた。
「その中には簡単なルール等が入っています参加なされる場合は契約書をご記入のほうお願いいたします、記入した時から貴方はもうゲームに参加したことになります」
といって佐藤はいなくなった。
「ゲームに勝利したらなんでも願いが叶う……そんな馬鹿げたことがあるわけない……けど、もし存在するなら……」
俺は佐藤が残していった黒い封書を見つめた
「見るだけみてみるか……」
-ルール-
ゲーム、それは強い願望を持ったもののみが参加するゲームである。
ゲーム参加すると一つ能力が与えられる。
その能力を使い戦いGPを稼ぐ必要がある
GPはゲーム世界の金であり一定のGPを払うことによってゲームマスターに挑戦することができ、ゲームマスターに勝利したら願いが叶うただし願いを叶えたらこの世界に関する記憶が消える
-契約書-
幾年を経て奪い続ける欲望はあるか
幾年を経て狂い続ける覚悟はあるか
幾年を経て傷付き続ける気迫はあるか
幾年を経て喰らい続ける邪欲はあるか
幾年を経て願い続ける希望はあるか
貴公が如何なる行為を以ってしてでも、願いを叶えたいならば貴公の名を此処へ記せ
[ ]
「如何なる行為を以ってしてでも、願いを叶えたい……か、俺は沙耶にもう一度会いたい」
俺は覚悟を決めて契約書にサインをした……
その瞬間契約書が光りはじめてその中に俺は消えた……。