目覚め
永い眠り。いつ覚めるとも分からない、そんな永い眠りの中、声が聞こえてくる
『・・・な・・い。・・・さい。起きなさい』
男の声だ。初めて聞くはずなのに、どこか懐かしい声。
「貴方は誰?」
と少女は問いかけた
『おぉ、答えてあげたいがまず、ちゃんと起きようか天音』
声の主は、何故か少女の名前を知っていた。目を開けると、そこは真っ白な空間で自分と同じような少女たちが何人か居た
『やぁ、おはよう。我が娘たちよ』
困惑半分警戒半分といった感じの反応だった。一人の少女が一歩前に出て構える
「新しい敵カ?ユはそこそこ強いヨ」
どうやら、頭に猫耳の様なシニヨンキャップを付けた彼女は、その場に居る少女らが自分の姉妹機であると瞬時に理解し自分が戦っている間に、逃がすつもりのようだ。それを察した男は言う
『誰が自分の娘と戦うものか。嶺上お前はどうやら、優しいが気が早い性格に成ったようだね。姿を現していないのにどう戦うつもりなんだい?そもそも、ここは精神世界。姉妹たちを逃がすその心意気は買うけど無理だよ』
それでも、嶺上は戦闘態勢を解かない。他の子たちも、それを見て戦闘態勢をとる中、天音だけは非武装の状態で声の主に問う
「貴方は、私たちを娘と呼んだ。つまり、私たちの父親という認識でいいの?目的は何?」
非武装のまま前に出ようとするのを、横に居た姉妹に制止されつつも問いながら、嶺上の横まで進んだ
「ちょっと危ないヨ。ユの後ろに下がってて」
『そんなに警戒されると傷つくなぁ。そうだね、俺は君たちの父親だよ。だから、武装解除してくれないかな?結構、傷付くよそれ』
彼女たちに武装解除を求めるが、そうする気配がない
「ミ達が、ハイそうですかと馬鹿正直に信じるとでも?まずは、姿を御見せになってからが筋、というものではありませんこと?お父様とやら」
縦ロールのブロンドヘアに透き通るような碧い瞳の子が一層圧を込めるように言った
『はははっ。確かにエリー、君の言うとおりだ。』
そういうと声の主は姿を現した。その姿は、とても父親を名乗るには不相応。どう見ても中学生程度にしか思えない容姿だった。それを察したのだろう後頭部を掻きながら
「だから隠れてたんだ。どの道信用される気がしなかったから」
その姿を見た彼女たちは続々と武装を解いていった
「それで、結局目的は何ですの?まさか、ミ達を迎えに来たなんて言いませんわよね?」
「そのまさかさ。ホームに居るお前達の基となった、他の姉妹達が居るんだがね?たまたま話したら、ボコボコにされて迎えに行け!と怒られてしまってね。まだ、与えた使命は終わってないと言ったんだが・・・丁度いいタイミングだから君達を全員起こしたのさ」
訝しむ嶺上
「丁度いいタイミング?これから何が始まる?ヨ達は敵を殲滅したから寝たの。それでお終いじゃないの?」
彼は横に首を振る
「あれらが前座ではないのは事実だ。しかし、これから戦場になるのも事実だ。だが、これを放棄して俺とホームに来たいなら連れて行こう。残って戦ってからが良い、というなら尊重するがどうする?十中八九眠りにつく前の戦いとは比べ物にならないよ。断言するが9割も残らない」
その言葉にも臆することなく全員が残る選択をした
「私は当時の人たちに恩がある。その恩人たちの子孫を見捨てることはできない」
「ヨもこのまま戦わずに付いて行ったら皇帝たちに合わせる顔がないね」
「ミはかつて共に戦った友に恥じない選択をしたいですわ」
三人のこの返答は彼女たちの総意を表す物だった
それを聞いた彼は、成長した子供に向ける父親の「よく言った!」と背中をバチっと叩く時の笑顔を見せた
「もちろん敵が敵な分、支援はする。ホームの兄弟姉妹達を連れて来るし、許しが出たら俺も戦うが、基本的にはお前達の戦いだ。気張れよ。」
そう言うと段々と薄くなり消えていった。同時に彼女たちDolls達が現実世界で再起動した




