表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

プロローグ

この物語はフィクションです。

実在もしくは歴史上の人物、団体、国家、領域その他固有名称全てに関して、名称が同一であっても何の関係もありません。


精霊と共存する事を選んだ国と精霊を使役する事を選んだ国が引き起こした戦争により、世界は二つに割れた。

そこで少年達は選択する。

こちらは”精霊と魔法そして人間が当たり前に共存する世界”の物語です。

お楽しみ下さい。

―長く、長く大きな争いがあった-


始まりはとても些細なもの。

ある国は言っていた。


「精霊はともにあるものだ」


それに対し、


「精霊は使役するものだ」


と、別な国が言っていた。


異なる思想を持った二つの国は、思想の違いからなる些細な言い争いから完全に決別。

お互いの国は精霊と魔法を駆使して戦い合った。

やがて、大国同士による争いは大陸全土の国々に拡がり、大陸を北と南に二分し平和に暮す人々さえ争いの渦に巻き込んでいく。

『北』と『南』で異なる精霊との共存方法とその思想に分かれた戦争。

それは、いつしか『精霊大戦』と呼ばれていた。


どちらかが滅ぶまで続くと考えられていた精霊大戦。

しかし、精霊とともにある人間と、精霊を使役する人間の戦いは勝敗の決着がつかないまま仮染めの締結を迎えることになる。


決着がつかないでいた精霊大戦は、争いの中で『北』と『南』のどちらとも全く異なる思想を持つ者を生んだ。


「滅ぶべきは人間ではないか」


第三勢力『精霊』

精霊は『北』と『南』のどちらとも違う思想を掲げ、終わらない大戦に介入したのだ。


『北』と『南』は大戦にひとまずの決着をつけてお互いの敵が変わる事で共闘した。

精霊を巡っての『人』と『人』による精霊大戦は、『人』と『精霊』の存亡をかけた精霊大戦へと変わった。


『人』と『精霊』の争いはそう長くは続かなかった。

『人』は『北』と『南』の精鋭による連合軍で『精霊』に挑み勝利した。

しかし、人は愚かなモノであり一度は共闘しても、大陸は『北』と『南』に分かれたままであった。


精霊大戦においてどちらの思想ともかけ離れた第三者『精霊』による介入は、一部を除き歴史の闇へと消えている。

長きに渡る争いは両者を疲弊させ遺恨をかかえたまま争いの火は影を潜め、人々は『北』と『南』に分かれたまま争い締結の真実を知らず、平和を取り戻し平穏に暮らしている。


その平穏が束の間のものだとは知らずに・・・


 レギンレイブ王国 保管『精霊大戦正史(改変)』


ーーー精霊大戦終結から20年後ーーー


ステンドグラスの光に照らされる小さな精霊像。

その前で膝を着き、神に祈りを捧げる少女がいた。


石畳に花弁のように広がる純白のドレス。

糸のように細い髪は石床に着きそうな程長く、キラキラと小窓から差し込む朝日に照らされる髪の毛は宝石のように銀の輝きを放っている。

少女は昨夜からずっとそうしていた。

この日の為に昨日から一昼夜掛けて祈り続けていた。


今日は彼女にとって特別な日。

いや、彼女だけでなく、この国の者にとって特別な日となる。

それは彼女に限らず多くの者が理解しているだろう。


「姫様、そろそろ時間ですよ。式の準備が整いました」


重厚な造りの石畳に木造の長椅子が立ち並ぶ最後尾。

そこから、白い司祭服を着た青年が祈りを捧げる少女を呼んでいた。

メガネをかけた清潔感溢れる青年は王都レギンレイブの司祭だ。


「会場には今年の騎士が全員揃った。謁見の間に向かうぞ、アーシェ。」


次いで司祭の隣から白髪を後ろ髪でまとめた男性が少女を呼ぶ。

柔らかい司祭の物腰とは対照的な厳格な声は静かな礼拝堂によく響いた。

司祭が姫と呼ぶ者に対してぞんざいな男性の物言い。

それは聞くものによっては大層驚く台詞だろう。

だが、少女をアーシェと呼ぶレギンレイブの英雄アッシュの声にはたしかな親しみが込められていた。


「はい。分かりました」


礼拝堂にあるステンドグラスから差し込む柔らかな光を浴びながら少女は答えた。

愛称に答える声は美しく、この礼拝堂に染み渡るように響く。

陽の光を当たり、頭をゆっくりと上げて白のドレスが立ち上がる様は朝日を浴びて花が咲き誇るようだった。


「それと、誕生日おめでとう。アーシェ」


「私からもおめでとうございます姫様。さあ、皆王女アシェラをお待ちですよ」


アッシュと司祭の簡単な祝福に王都レギンレイブの王女アシェラは嬉しそうに微笑んだ。


そう。今日は彼女の誕生日。

アシェラとして年齢を重ねる日。

そして、アシェラ王女としての誕生日。


「ありがとう。はふぅ~、ついにこの日が来ましたね」


アシェラは胸に手を当て大きく深呼吸をする。

今日は国民にとって特別な日であり、彼女にとっても特別な日となる。

これから起こる出来事への期待と不安に胸が騒がしく動悸を繰り返し、張り裂けそうな程にこの気持ちが愛おしい。


「お待たせしました。さあ、参りましょう」


アッシュと司祭は礼拝堂を歩み出した彼女へ微笑みながら道を譲った。

正に彼女の歩みはこの日から始まる。

大国、レギンレイブ王国第一王位継承者アシェラ王女の大きく美しい紫色の瞳には希望が満ちていた。



やっと載せだす事が出来ました。

だいぶ先の話まで出来ているのですが、投稿するためのチェックがとても追いつかず少しずつこれから投稿していきたいと思います。

登場人物一覧についても、伏線等をバラしてしまわないように投稿具合に合わせて試行錯誤しながら載せたいですね。

あぁ、早くお気に入りの人物の紹介をしたい・・・。


『精霊騎士物語』『ヒトというナの』

二つの世界の物語を少しでもお楽しみ下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ