第16話:「言葉の舞」
青空が広がる街の広場。アルナたちは、戦闘と混乱の末にようやく静けさを取り戻したこの場所で、深い会話を交わしていた。エリシェ、クレイナ、ルネ、セレナ――アルナの周りには彼女を信じ、共に歩む仲間たちが揃っていた。しかし、彼女の心の中には、未だにイザベルとの戦いの余韻が残っていた。
「アルナ、何か悩んでいるの?」
エリシェが気遣わしげに尋ねた。彼女の優しい声は、アルナの内心を見透かすようだった。
「うん……」アルナは少し考え込むようにして、言葉を選び始めた。「私たちは正義を求めて戦った。でも、それが本当に正しかったのか、自信がないの。」
セレナが腕を組みながら笑った。「あんたらしくもないじゃない。正義ってのは、自分で決めるものじゃないの?」
「その通りだ、セレナ。」アルナは彼女に微笑み返した。「でもね、正義って何だろう?時に、それは誰かを傷つけるものでもある。」
その問いに、すぐにクレイナが反応する。
「正義って言うのは、結局は人が守るべきものや基準だと思うけど…それを実現するためには力が必要だし、場合によってはその力を行使することもあるかも。」
「力、ね…」
アルナは考え込みながら、ゆっくりと返す。
「力が正義を決めるっていうのも、確かに一理ある。だけど、力だけで判断していいのか、って言うと、それはまた違うと思うんだ。結局、正義って選択だと思うんだよね。」
セレナがふっと口を開く。
「でもさ、正義の力って言うのは時の流れに支配されているんじゃないか?過去や未来をの影響を無視はできないし、それをどう扱うかも一つの正義の選択なんじゃない?」
「過去を変えることなんてできないんだから、それをどうするかが正義なんじゃない?」
ルネが素朴な疑問を投げかける。
その言葉を受け、アルナは微笑んで言う。
「じゃあ、もしも時を戻せる魔道具があったら、その過去を変えることができるかもしれないね…。」
みんなはそれを聞いてそれぞれ考え出した。「でもそんなものがあったら、正義を貫くことができるかって、私は疑ってしまう。だって、逆に悪いことをしてもなかったことにできてしまうってことになりかねないじゃない?」
「確かに、そう考えると…」
エリシェがふっと呟く。
「時を戻せる力があっても、それを使うことで本当に正しい結果が得られるとは限らないわけね。」
ルネの言葉にアルナは頷きながら続ける。
「そう。だから、正義っていうのは、外にあるものではなくて、私たち自身の心の中にあるんだと思う。」
その言葉に、クレイナが少し考え込む。
「でも、じゃあその心の中にある正義が、他人にはどう映るのかが気になるわ。自分が正しいと思っても、それが他人にとっては間違っていることだってあるし。」
アルナはしばらく黙ってから、ゆっくりと答える。
「正義って、確かに一人ひとりの心の中で違う。だからこそ、私たちはその違いを理解しようとし続けなければならないんだと思う。」
「それって…結局、お互いを理解し合うことが必要ってこと?」
セレナが静かに言う。
「うん、そうだね。正義の力は、誰かに強制するものじゃなくて、私たちがどう生きるか、どう選ぶかによって形作られるものだと思うんだ。」
アルナはゆっくりと立ち上がり、空を見上げた。
その時、クレイナが少し顔をしかめて言う。
「それにしても…イザベルのことをどう思う?自分なりに正義を貫いていたんだろうけど…。」
アルナはしばらく黙った後、静かに答える。
「イザベルも、あの時はあの時で彼女なりの正義を信じて戦った結果だろうね。でも、正義を貫いた結果が正しいかどうかは、その後にどう選び直すかにかかっているんだと思う。」
「なるほど…彼女は彼女なりに信じて行動したんだな。どんな正義があってあんなことしたのか理解しがたいけど」セレナはきっぱりと言った。
エリシェは少し考え込み、次に言葉を続ける。
「でも、あいつがもし再び出てきたら、またきっと衝突することになるね。」
アルナは静かに頷く。
「その時が来たら、その時だよ。」
一度空を見上げ、ゆっくりと息を吐いた。
「私たちの選ぶ道が正義なのかどうか、答えを知ることはできないかもしれない。でも、どんなに小さな選択でも、その選択が最終的には私たちを成長させるのかもしれない。」アルナの言葉が、静かな風のように広がる。
アルナの言葉に、みんなが頷く。
その後も議論は続き、彼女たちはそれぞれの正義についてさらに考えを深めていった。
前回の投稿が24年の11月の終わりだと思うと
1年近くも間が空いてしまいましたが投げ出してはいません
時間がかかって申し訳なく思いますが
空いた時間に少しづつ進め、23話(全30話予定)あたりまでは物語が進んでいます
完結までの流れもほぼできていますが、終盤のお話がとても繊細なために時間がかかりました
ゆっくりとお付き合いいただけましたら幸いです




