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第12話:「絶望と光(後編)」

セレナが呆然と彼を見上げる中、アルナは無言で彼女のそばに駆け寄り、短剣を構えたまま周囲を睨みつけた。他の盗賊たちは状況の悪化に気づき、動揺している。

「これ以上ここに残るのは危険だ!こんな騒ぎになっちゃ兵が来るのも時間の問題だぞ!」

リーダー格の盗賊が叫び、手下たちは急いで撤退を始めた。

周囲は炎と煙に包まれ、いつ崩れてもおかしくない状況だった。アルナは迷うことなくセレナを担ぎ上げ、燃える館を脱出し始めた。背後では、怒り狂ったドラゴンがさらに炎を撒き散らし、残った盗賊たちも逃げ惑っている。

「なんとか…逃げ切らないと!」

アルナは力を振り絞り、燃え盛る館を駆け抜けた。その表情には、決してセレナを見捨てないという覚悟が刻まれていた。


アルナは必死にセレナを担いでどうにか奴隷商人の館から外へと出ることができた。館はすでに火の手が上がり、激しく燃えている。だが、逃げる先に待っていたのは、アルナもセレナも予想もしなかった光景だった。

先に逃げ出したはずの奴隷たちが血を流し、地面に伏している。その中でただ一人、立っている男が銃を手に持ち、二人をじっと見つめていた。

「やってくれたなぁ…これはお前の手引きか…アルナ?いや、違うか?」

その男は、アルナを知っているようだった。たしかあの日、セレナと初めて会った時にセレナに銃を向けた男だった。あの時もアルナを知っているような反応をしていたことを覚えている。ということはそれ以前に――。

男は下品に笑いながら続ける。

「俺のことなんて覚えてるわけねぇよなぁ…、俺はかつて戦場で戦う兵士でよ、お前と一緒に戦ったこともあったんだぜ」

アルナは記憶を辿るが、その兵士の顔はすぐには思い出せない。

「悪いけれど、覚えていません…そこを通してください。」

男は愉快そうに笑ってみせる。

「なんとも皮肉じゃあないか…まさかその女を助けるために来たのか?お前が奴隷にしたようなものなのによ」

その言葉に、セレナとアルナは共に驚いた。男の言う通り、セレナはかつて戦場で戦い捕虜として奴隷商人の手に渡ったと言っていた。

「私は捕虜など捕らえてはいない。」

アルナは冷静に言ったが、男はその言葉に満足げに笑った。

「そうだ、捕虜としてこの奴隷商に運んだのは俺だよ。今でも覚えている…イザベルとかいう生意気な貴族の嬢ちゃんが戦局を見誤り、戦も終わりだと誰もが諦めた時、お前が諦めなかった。そのおかげで、お前がアドストラテゴスと呼ばれるようになったんだ。」

その言葉に、アルナの胸はドクンと跳ね上がる。まさか、その戦の結果が、セレナをここに引き寄せたのか…。

「お前があの戦場で勝利を掴んだから、そこの女は今奴隷になってるんだぜ。」男は引きつるように笑って、二人を見下ろした。

セレナの手が震え、アルナもその事実に愕然とした。あの戦場でこのような少女が捕虜として売られていたなんて、アルナには全く知らされていなかった。だが、目の前の男の言葉が真実だということは、今や明らかだった。

「お前が奴隷に落とした女をお前が助けるなんて…冗談だろう。」男の顔が険しくなり、急にその口から笑い声が消えた。そして銃をアルナに向けた。

「セレナ…その女を殺せ。お前はどこに行こうと、その先に自由なんかねぇんだよ。」

アルナは目の前の男に一瞬固まった。セレナが動けない状態では、下手に動けば、セレナがそのまま標的になってしまう。アルナには、もう選択肢がなかった。

その時、セレナが力強く、前に出ようとした。

「自由じゃなくてもいい!それでも運命は、生き方は私の力で変えられるはずなんだ!」セレナは叫んだ。その言葉に、アルナは驚き、男も一瞬、目を見開いた。

そしてその瞬間。

「その通りです。」

男の背後から、別の声が響いた。その声に驚き、男が振り返る暇もなく、クレイナが男の頭を棒で強烈に打ち込んだ。男はそのまま地面に倒れ込み、動かなくなった。

「大丈夫ですか、二人とも。」

クレイナは息を切らしながら、アルナたちに駆け寄った。彼女は一切の躊躇なく、男を仕留めていた。

「行きましょう。ここにいるのは危険です。」

クレイナに先導され、アルナたちは急いでその場を離れ、ルネの家へと帰ることができた。



アルナの一人称の修正

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