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09 シクレ


 突然連休をいただいたけど、どうしたものかと困っていたら、


「たまにはひとりでぶらりと出歩くのも良い息抜きになりますよ」


 との、アランさんの実感のこもった言葉に決意した、まさにぶらりとひとり旅。


 背中に背負った小さなマジックバッグのみが相棒の、行き先も決めぬ徒歩での旅の途中です。



 朝の鍛錬の汗を流してから、ひとり、自分で煎れた茶を一服。


 今いる場所は、アルセリア王国の街道沿いの平原。


 アランさんの愛車マリネ・ズッキーニにて、


 まずはアルセリア国境まで送っていただきました。


 そして徒歩にて街道をのんびりぶらりと進み、


 たまたま目にした平原にて野営で一泊。


 今はこんな感じの、まったりタイム。


 

 野営装備は既に撤収済み。


 目の前には、アリシエラさん新開発の魔導具。


『『ふなずし』と呼んでくださいっ』


 複合型ナビゲーション随時接続式システム、の略称。


 えーとなんて言いますか、略称からあふれ出るアリシエラさん頑張った感。



 この新型魔導具は簡単に言いますと、


 マツカゼこと魔導通信機改零式の通信能力と、


 お馴染みの広範囲探査魔導具の探査能力と、


 シブマやスマキなど幌馬車に搭載されているナビゲーション魔導具とを、


 全部一緒にしちゃいましたよっ、という複合型魔導端末。



 大荷物どんとこいの幌馬車旅とは違い、


 徒歩での旅では可能な限り荷物を減らしたい。


 というわがままな要望に応えてくれたアリシエラさんの新作魔導具なのです。



 で、筋金入りの方向音痴が無謀にも徒歩でひとり旅するぞってことで、急遽持たされた次第。


 ありがとう、アリシエラさん、ありがとう、みんな。



 今回の旅の目的、みんなが理解してくれて、よほどのことがない限り通信連絡はナシなのです。


 既に三日目、初めのうちは静けさを楽しむ余裕もあったのですが、


 なんと言いますか、つまり、そろそろ寂しいかな、と。


 しかし、こちらから連絡するのは、なんだか負けちゃったみたいなので。


 ここが乙女の意地の見せどころ、ですかね。


 そこ、痩せがまんとか言うな。




 そんな私に突然襲いくる、アレな気配。


「にゃあ」


「「にゃんこっ!」」



 はからずもカブった小さな叫びの主は、


 20代後半の落ち着いた風情のお姉さん、


 きっちり揃えた黒髪は、


 まるでこけし、いや失礼、お人形さんのよう。



「こんにちは、シクレって言います」


 人懐っこい笑顔でのご挨拶に、



「こんにちは、モノカという旅の冒険者です」


 もちろん笑顔にて返礼。



 シクレさんはアルセリアの城下町にある雑貨店の店主さん。


 こうしてふらりと旅をするのがなによりの息抜きだとか。



「普段は夫とのふたり旅なんですよ」だそうですが、


 現在旦那さんはアルセリア城下町在住の御親戚のお宅を訪問中、とのこと。



「女性のひとり旅は危険では」


 との問いに、シクレさん、余裕の笑顔。



「こう見えて結構修行したんですよ」


 いえ、どう見てもおしとやかお姉さんなのですが。



「モノカさんこそ、おひとりでの旅は……」


 いえいえ、こう見えてコレなんですと、


 無い胸を張ってダサダサ特使バッジを見せると、



「それって……もしかして特使勇者のモノカさん!」


 そう、もしかしなくてもモノカです。


 そこそこ強いので、それなりにひとり旅もイケちゃうのですよ。



「お噂はかねがね、召喚者仲間のみんなの間でも評判、凄いんですよ」


 なんだか照れますな、


 って、召喚者!?



「はい、私も召喚者なんですよ」

「桑嶺 詩昏 (クワミネ シクレ)って言います」



 まさに世界は広いが世間は狭い、ですね。


 あらためまして、秘崎 萌乃果、です。



「もし良かったら、私のお店でお話しとか、いかがですか」


 ぜひ!



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