表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

04 シナギ


「どうしたら良いのでしょう、モノカさん」


 シナギさん……



 お隣りに住んでいるシナギさん、先日幼なじみのミナモさんとご結婚されたばかり。


 なのですが、その後トラブル進行中。


 それも、女性トラブル。



 まず、我がチームモノカのアイネが、シナギさんに、ほの字。


 そして、チームモノカ担当の巡回司法官リシェルさんも、シナギさんに、ほの字。


 つまりシナギさん、新婚なのにもてもて。


 でも、シナギさんのことを知れば知るほど好きになる気持ち、乙女なら分かっちゃうのです。


 問題は、シナギさんが妻帯者であり東方出身者であること。



 私たちの住んでいる西方諸国では、殿方の器量次第で奥さま複数生活が可能。


 でもシナギさんとミナモさん出身の東方では、一般的には一夫一妻。


 そして問題は、新婚夫婦のシナギさんとミナモさんの間の、認識の違いと言いますか、なんと言いますか……



 ミナモさんは、乙女を泣かせる事案が大嫌いな、性格真っ直ぐなでしこ。


 そして、真っ直ぐ過ぎるのです。


 東方出身者としての自身の想いを曲げちゃうほどに。


 つまり、夫にほの字の乙女がいたら家族として迎え入れて、共に妻として夫を支え合いましょうという覚悟を完了しちゃったのです。



 シナギさんは、幼なじみのミナモさんひとすじの、性格真っ直ぐもののふ。


 そしてやはり、真っ直ぐ過ぎたのです。


 東方出身者としての自身の想いを曲げちゃうほどに。


 ゆえに、ミナモさんが決断したことには絶対にノーと言えない、いや、ノーとは言わないという覚悟を完了させたのです。



 先日の冒険任務達成慰労会での、ミナモさんがプロポーズした際の言葉は、正にみんなへの覚悟完了宣言でした。


 シナギさんが大好きな乙女はウェルカムという宣言に、名乗りを上げたのはアイネとリシェルさん。



 つまり今、シナギさん宅には、奥さまミナモさんと、奥さま候補としてアイネとリシェルさんが同居中。


 この状況、シナギさん、どうするのかな。



「ミナモの決意を尊重するもしないも、どちらを選択してもミナモを傷つけてしまいそうで……」


 なぜ、ミナモさんはあそこまで覚悟を決めちゃったんでしょう。



「カミスさんやアランさんが、奥方様皆さまと仲睦まじく暮らしていること」

「東方育ちの私たちには、それがとても衝撃的だったのです」

「もし俺との暮らしを諦めて泣く乙女がいるならば、いっそ一緒に暮らして笑い合う方が、と覚悟する程に」

「乙女たちの幸せを誰よりも願うミナモには、もはやこの道しか……」



 少しだけ、私の話しを聞いてほしいな。


「ぜひ」



 私は、こう思います。


 シナギさんもミナモさんも、なんだか変な感じで我慢しちゃってると思う。


 なんて言うのかな、すごく正しいんだけど同時になんだか間違っちゃってる、みたいな、


 今のおふたりを見ていると、すごく苦しそうだし、


 見ている私も苦しくてしょうがないんです。


 どうしたらいいのかのアドバイスは分からないけど、


 私が言いたいのは、シナギさんとミナモさんは、ふたりきりで、じっくり話し合ってほしいってこと。


 今のシナギさんは間違いなく苦しんでいるし、このまま我慢するなんておかしいよ。


 シナギさんのことが大好きなミナモさんだから、きっと一緒に真剣に考えてくれるよ。



 それと、今のシナギさんの気持ちをロイさんにも伝えてほしい。


 きっとロイさんなら素敵なアドバイスをくれると思う。


 でも、そのアドバイスがどんなに素敵でも、一度持ち帰ってミナモさんと一緒に考えてほしい。


 変なことを言ってるみたいだけど、私やロイさんの言ったことを鵜呑みにしないで、


 シナギさんとミナモさんが、ふたりで真剣に検討してくれたらなって……



「……ありがとう、モノカさん」



 帰る時のシナギさんは、なんだかいつも以上に落ち着いた様子でした。


 みんなが幸せになれる方法、見つかるといいな、


 などと、この時の私は考えていたのです……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ