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03 ミスキ


「どうしましょう、モノカさん」


 どうしたんですか、ミスキさん。



「あの娘たち、お仕事に差し障りが出るくらいに落ち込んじゃって……」


 どうやら、アリシエラさんの新発明が原因のようです。



 お隣りのミスキさんたちは『黒猫嵐の魔導急便』という配達業を営んでます。


 配達魔導車『システマ』という『転送』魔法に特化した特別な魔導車を駆使して、


 人やら荷物やらを瞬時に遠方へと配達しちゃうのです。



 チームミスキ所属の三人娘、


 リカさん、ルミさん、マヤさん。


『システマ』の稼働、つまり『転送』には、三人がそれぞれの特別な固有スキルを抜群のチームワークで発揮することが欠かせません。


 私たちチームモノカも、もちろん仲間たちも、チームミスキ無しでは成し遂げられなかった困難な冒険がたくさんあったのです。



 ところが最近、私たちが『システマ』のお世話になる機会が減っちゃいました。


 アリシエラさんの新発明『ゲートルーム』


 各チーム間の移動の利便性向上のための新発明は、ミスキさんたちの活躍の機会を奪ってしまいました。


 三人娘たちは、自分たちがいらない子になっちゃったんじゃないかと、落ち込んでいるそうなんです。



 でも、この前のジオーネの件みたいに『ゲートルーム』じゃ対応できないことが、これからもいっぱいあると思うんだけどな。



「そうなんですけど、やっぱり皆さんを『転送』する機会が減っちゃったのが、淋しいみたいなんです」


 ミスキさんも淋しいの?



「私は皆さんが笑顔でいてくれることが一番ですから」

「『システマ』ちゃんも『ゲートルーム』も、どちらにも良いところがありますし、何よりもマクラさんたちが今までよりも気兼ねなく遠くへお出かけ出来るようになったことがうれしいんです」



 難しいよね。


 ミスキさんの気持ちも、リカさんたちの気持ちも、もちろんマクラたちの気持ちも、


 全部分かっちゃうから、なんて言うか、切ないよね。


 私としては『システマ』は冒険の相棒で『ゲートルーム』は日常の相棒、みたいな感じなんだけどな。



「冒険の相棒……」


 もちろんミスキさんたちと日常を楽しみたくないってことじゃないよっ。



「ありがとうございます、モノカさん」

「その言葉を聞けば、あの子たちもきっと分かってくれると思います」


 うん、そうだと嬉しいな。


 今まで私たちの方からの頼みごとばかりだったけど、リカさんたちの方からの冒険依頼も、いつでも待ってるよって伝えてね。



 ぎゅっ



 優しいハグの後、おうちに戻って行ったミスキさん。


 みんなが元気になれる方法、見つかるといいな、


 などと、この時の私は考えていたのです……



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