20 ノラ乙女
それからしばらくは、アルセリア観光を堪能。
もちろんシクレさんのお宅に泊まったりなんて野暮はしませんとも。
毎日シクレさんのご案内でたくさんの名所巡り。
楽しいことがいっぱい記憶に残りました。
でも一番記憶に残ったのは、オティールさんの料理が絶品だったこと。
なんだよもう、本当に完璧紳士なのかよ。
そしていよいよお別れの日。
「今回のこと、本にまとめても良いかしら」
えーと、お貴族さまうんぬんのくだりを、上手くぼかしてもらえれば。
「いいえ、そんなのよりもっと楽しいことですよ」
「勇敢で愛らしい特使勇者さまが、ノラにゃんこを追いかけてお堀に落ちたこととか」
「凛々しくて愛くるしい特使勇者さまが、ノラにゃんこたちの夜の集会所に潜入しようとして、街の衛兵さんたちから追いかけられたこととか」
「勘弁してくださいよぅ」
シクレさん、オティールさん、お世話になりました。
今度はノラにゃんこよりもプリティーな、私の相方たちを連れてきますね。
「「さようなら」」
乙女乙女と侮るなかれ
爪も磨けば牙も研ぐ
身分領分何するものぞ
舐めたマネすりゃ命取り
不肖秘崎萌乃果
今日も今日とて悪党退治
一事が万事一大事
迎えに来てくれるミスキさんたちとの待ち合わせの目印は東門のそばの大きな木っと。
「みんなへのおみやげは、シクレさんのにゃんこグッズをいっぱい買ったし」
「あとなんか、忘れもん、無かったかな」
「って、さっきからなんかアレな視線、感じるんだけど」
「ストーカーっすかね、やだやだ」
「早くミスキさんたち、来てくれないかな」
ぷしゅぅん
「ご無沙汰です、ミスキさん、お変わりなく」
「モノカさんっ、お早くっ」
ナニゴト!?
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。




