02 ネルコ
「どうしよう、モノカ」
どしたネルコ、めっちゃお悩み顔だね。
「フィナさんのことなんですよ」
えーと、フィナさんについてネルコが悩むとしたら、衣装のことかな。
「さすがはモノカ、以心伝心・一心同体・ツーと言えばカーと鳴いちゃう同じ穴のムジナちっく乙女!」
そんな妖怪みたいな乙女はイヤだよ。
「まあそれはそれとして、フィナさんの衣装についてなんですけど」
なにかな。
「私のコス魂が萌え盛っちゃうほどのプリチーフェアリーのフィナさんを、どうやってコスろうかって悩みなんですよぅ」
別に、いつもみたいにゴッドハンドを駆使して素敵衣装をハンドメイドすればいいんじゃない?
「私のアレを完璧にフィッティングさせるには念入りな採寸が必要だってこと、イヤって言うほど分かってるでしょうに」
あーなるほど、あのフィナさんのちっちゃな身体じゃ、いつもみたいにいやらし採寸ができないっと。
「いやらしは余計ですけど、まさにその通りなんですよ」
ひとつアイデアがあるんだけど、聞く?
「お願いしますっ、師匠っ」
なんの師匠だよっ、ってまあいいや。
えっとだね、アレってなんて言うんだっけ、トムソンじゃなくてコムソウじゃなくて、
「トルソー!」
そうそうそれそれ、フィナさんのスタイルをきっちり正確に再現したおっきな人形を作って、
それに合わせた衣装を作ってから、アリシエラさんの『縮小』魔導具でフィナさんサイズに、みたいな。
確か『鑑定』魔法の達人ならスリーサイズも丸わかりだったから、アリシエラさんに超すっごい『鑑定』魔導具とか作ってもらえば、フィナさんのノータッチ採寸なんかも出来るんじゃないかな。
つまり順番としては、
『鑑定』魔導具作成 → フィナさんノータッチ採寸 → トルソー作成 → コス作り放題、みたいな。
「……」
どうかな。
「ふひっ」
ネルコ?
「ナーイスアイディーアッ」
ネルコッ?
「イケますよっ、モノカッ」
「あのフィナさんのちっちゃいのに出るとこ出ているやんちゃっ娘ボディークリソツのトルソーかマネキンをがっつりゲットできれば、あんな衣装もこんなランジェリーも思いのママのマンマミーヤッ、ですよっ」
あー、張り切るのは結構だけど、くれぐれもフィナさんやロイさんのご迷惑にならないようにね。
「それではっ、アディオスッ、心の友よっ」
行っちゃったよ。
ホント、大丈夫かな。
ごめんね、フィナさん。
たぶん痛くしないと思うんで、ちょっとだけネルコに付き合ってあげてね。
もしアリシエラさんが『鑑定』魔導具を完成させたら、ネルコのいやらし採寸の被害者も減るかな、
などと、この時の私は考えていたのです……