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4話 全ての始まり 涼の場合④

俺は走った。


とにかく走った。


走って。


走って。


走って。


走って。






そして………疲れた。


「この辺でいいかな」


周りに誰もいないことをしっかりと確認する。


(……よし、誰もいないな)


俺はその場で座り込み手紙を開いた。


そこには可愛らしい字でこう書かれていた。






『坂木涼くんへ ♡♡


 好きです♡♡


あなたの全てが好きです♡


あなたの顔が体が大好きです♡


あなたのふとした仕草が好きです♡


あなたの優しいところが好きです♡


あなたの意外に(たくま)しい腕が好きです♡


あなたの細くて綺麗な脚が好きです♡


あなたの綺麗な目が好きです♡


あなたの髪が好きです♡


あなたの匂いが大好きです♡


あなたの汗の匂いも好きです♡


あなたを舐め回したいほど好きです♡


俺はあなたのことを愛しています♡


どうか俺と付き合ってください♡


放課後、体育館裏に来てください。


そこで答えを教えてください。』








…………………………。


こ、これは………。


「………本気マジのやつじゃないか………これ」


だってなんかいい匂いが漂ってきてるもん!


てかめっちゃ好きって書いてあるもん!


♡いっぱい書いてあるもん!


これはまぎれもないラブレターだ!


やばい、初ラブレターだ!


やっべ、超嬉しい!


「よっしゃー!遂に俺にもモテ期が来たぞー!っしゃおらー!」


まあ、モテ期といっても1人にしかモテていないんだけどね。


だが今はそんなことなどどうでもいい!


この時、俺はあまりの嬉しさにめっちゃはしゃいでいた。


いや本当に嬉しい。


「いやーでもごめんね〜諸君!君たちはきっとラブレターなんて貰ったことないよね?いや〜まさか僕にラブレターだなんて、みんなごめんね?あははは」


何もないところましてや誰もいないところに向かって涼はいきった。


初ラブレター貰った時はこうなるよね!


………とはいっても少し気になったことがあった。


「このラブレター………なんか内容やばくね?」


だってここまで好きって言われたらねえ。


顔とかはまだわかるけど汗とか匂いとか舐め回したいは流石にねえ。


「まあ、ラブレターなんてこんな感じなのかな?……うん、きっとそうだな、気にしなくてないか!」


涼はいつでもマイペース!














俺はラブレターを読んだ後急いで体育館裏に向かった。


体育館は人がいなくて何より体育館裏はあまり人が来ないので静かなところだった。


どうやら相手はまだ来ていないみたいだ。


「人生初のラブレター……めっちゃ緊張するな」


まあでも、俺の答えはもう決まっているだけどね……。


俺はラブレターをくれた()()が来るまでの間、心を沈ませながら待っていた。


……待つこと5分程度……。


ガサ…ガサ…ガサ…と誰かが歩いてくる足音が聞こえた。


ドキドキドキ……


足音が聞こえたと同時に自分の心臓の鼓動がうるさくなっているのがわかる。


ガサガサガサガサ。


ドキドキドキドキ。


そして……その時が来てしまった……。


「………先に来てくれたんだな、嬉しいよ、待たせてごめんな」


後ろから()()()()()()()()()がした。


「いや全然、俺も今来たところです!」


涼はそう言って後ろを振り向く。


「…………………ふぇ?」


俺はその場で立ったまま止まった。いや固まったといった方がいいだろうか。


一瞬だけ自分のありとあらゆる物が停止したと思った。


だがそれは仕方のないことだった。


なぜなら今、涼の前に立っているのは()ではなく()()()()()()()()()だったからだ、、、。


(……え……ちょっと待って……何これ?……尾絵留先輩……なんで、いや落ち着け、一旦落ち着け……俺はラブレターを貰い体育館裏に行った、そして低くて力強い男の声で話しかけられて……ん?低くて力強い男の声?……えっ……いやいや、ちょっと待って……どゆこと?……てか尾絵留先輩?……初ラブレター相手が男の尾絵留先輩ってこと?……ふぇ?)


俺は必死に自分の頭を回転させた。


それは涼の今までの人生の中で1番頭を使った瞬間だろう。


そして答えが出た。


1つ目がイタズラ。


2つ目は……本気(マジ)


うん、これはイタズラだな……うん、そうだそうに違いない、うん……じゃないとやばい……イタズライタズラ……。


俺は神に願った……これら全てがイタズラであることに……。


涼が一旦落ち着いたと思ったのだろうか、尾絵留歩萌先輩が口を開いた。


「涼、俺の気持ちは伝わってくれたよな?」


「先輩……これは……本気(マジ)……ですか?」


本気(マジ)だ」


「……マジすか……」


涼の心にあった僅かな希望がボロボロに砕け散った。


俺は思わず気になって仕方がなかったことを聞いてみた。


「先輩って男が好きなんですか?」


「そうだ!……歩萌(ホモ)だけに」


……これほどひどいギャグはなかなかないよ?


いやマジで。


「先輩……そのギャグは笑えませんまよ?」


「そうか、それはすまんな」


あまりにひどすぎて思わず声に出ちゃったじゃん。


…………………………。


…………………………。


やっっばい、このあとどうしよう。


「涼……改めて言うぞ、俺はお前が好きだ!付き合ってくれ!」


きたーーーーー、きたよきたよきちゃったよまじこれどうしよう。




……どうやって断ろう。


涼は考えた。


考えて考えて考えて……考えた。


……普通に振るか。


導き出した答えは、いや、導き出せなかった。


よって普通に振るにいたったのだった。


「ごめんなさい……先輩の気持ちには答えてられません」


「そうか……理由を聞いても?」


え、マジで?それ聞いちゃいます?


理由が出なかったから普通っぽい振り方したのに……え、言わないとダメ?


涼はまたも頭を働かせないといけないのだった。











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次回も見てくれると嬉しいです。

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