3話 全ての始まり 涼の場合③
少し短めになっています。
クラス替え、それは1年に一度だけ行われその1年間はそのクラスで暮らす。
もっとも大切な行事と言ってもいいだろう。
仲の良い友達などがいればラッキー、逆に仲の良い友達などがいなければ最悪1年間はボッチ生活になってしまう。
そうクラス替えとはある意味、学生生活の全てが決まってしまうと言っても過言ではないだろう。
そして今そのクラス替えの結果が………。
「あ〜、俺の2年生生活終わった〜」
「大丈夫よ、りょーちゃん、私も終わったから」
「いや大丈夫じゃないですよね!?……まあなんというか……ドンマイです」
結果、俺が1組、りっちゃんが3組、千冬と正樹と蓮季が4組となった。
俺とりっちゃんだけみんなと分かれて1人になってしまった。
てかぱっと見仲良さそうな人いないし。
「なんだ涼と凛だけ違うのか」
「まあ、それは寂しいですね」
先に行ってた正樹と蓮季とも合流した。
「お前ら行くの早すぎだろ」
「いやーだって早く知りたくてさ」
「うふふふふごめんなさいね」
「まあそんなことよりもさっさと教室に行きましょうよ、ここにいては邪魔になるわ」
「それもそうだな」
「じゃあ放課後ここに集合な!」
「了解です」
俺たちは教室に向かうため下駄箱へ向かった。
下駄箱はクラスによって場所が分かれているようで俺たちは散らばった。
すぐさま靴をしまい上履きを履こうとした時、不意に後ろから「お!涼じゃねえか!」と声をかけられ振り返るとそこには知った顔があった。
「あ、尾絵留先輩じゃないですか!おはようございます!」
「おう、おはよう」
この人は尾絵留歩萌先輩、1つ上の3年生で同じ部活の先輩。
筋肉ムキムキで優しい頼れる先輩である!
「じゃあ俺はこれで………またな」
「え?あ、はい」
尾絵留先輩はそう言ってその場を後にした。
「……なんだったんだ?」
なんだかよくわからないが変な違和感のようなものが俺を襲う。
そのまま尾絵留先輩の行った方を呆然と眺めていたら
みんなが靴に履き替えて待っていた。
俺が遅かったからか正樹が近づいて来た。
「涼、どうしたんだ?」
「え、あーと、さっきそこに尾絵留先輩がいて挨拶したんだけど、なんか変な感じだったからさ」
「変な感じ?どんなだったんだ?」
「いや、それがよくわからなくて」
「なんだそれ?気のせいじゃないか?」
「うーん、そうなのかな?」
そう言われれば気のせいなのかもしれない、、、
ま、いっか。
「そんなことより早く行こうぜ」
「そうだな」
俺たちはそう言って教室へ向かった。
「………あれ?そういえば3年生の下駄箱はこっちじゃなかったと思うけど………」
正樹が小声で言ったそのセリフは俺の耳には入っていなかった。
そして尾絵留先輩が俺の下駄箱を凝視していたことも俺は全く気づいてはいなかった。
HRが終わりみんなと一緒に帰るため合流して下駄箱へと向かう。
下駄箱に着いて束の間りっちゃんが困ったような顔をして。
「ごめんなさい、少し用事ができたからみんな先に帰ってて」
「おう?わかった、じゃあ先に帰ってるわ」
「 ええ、じゃあ私はこれで」
りっちゃんはそう言うと小走りでその場を去って行った。
どうしたんだ?なんかあったのかな?
まあ、後で聞いてみるか。
「じゃあ俺らで帰るか」
「そうね」
「そうですね」
「そうだな」
俺はそう言って下駄箱を開ける…………。
ん?……………………………。
下駄箱を開けたら靴の上に♡のシールで止められている手紙のような物があった。
………………………………………………………
……………………………………………………うん。
これはもしかして『ラブレター』という物ではないか?
…………………………………………………………
…………………………………………………………。
一旦深呼吸して。すーはー、すーはー。
よし。
「ウリイイイイイイイイイイイイイー!!!!」
「「「 !? 」」」
「えええええええええええええー!!!!」
「「「 !? 」」」
「しゃおらああああああああー!!!!」
「「「!? 」」」
気づけば無我夢中で俺は叫んでいた。
いや仕方ないだろ、だってはじめてのラブレターだから。
「え、えーと、どうしたんですか?」
千冬が心配そうに声をかけてくれる。そのおかげで俺は我に帰ることができた。
「……俺ちょっと用事出来たから……行ってくるわ」
「え?」
「じゃあ、グッパイ!」
俺はそう言い残しすかさずその場を去った。
「え?涼?え、ちょっ待てよ!」
正樹が何事かと俺を止めようと声をかけるも俺の耳には何も入らなかった。
「……行ってしまったのです。」
「ええ、行っちゃったね……」
少しの間沈黙が生まれる。
「………じゃあ今度こそ帰るか………俺ら3人で」
「そ、そうですね」
「そうね、そうしましょ」
3人は頭に?が残りつつも帰宅したのだった。
次回も見てくれると嬉しいです。