2話 全ての始まり 涼の場合②
俺たちは楽しく喋りながら学校へ行くと学校の門の前に人影があった。
少し肥満体型で眼鏡をしていて髪が長く顔が少し隠れているおっさんだ。
えーと確かあれはよくりっちゃんにちょっかい出してる気萌井眼鏡先生だ。
「どぅふどぅふどふふふふ!」
うわー……なんかこっち見ていきなり笑い出したよ。
てか今りっちゃんを見て笑ってなかったか?
というか何あの笑い方、なんか独特だな。
はっきり言って少し気持ち悪い。
てか、今のでりっちゃんびくっとしてたし、大丈夫か?
俺はチラッとりっちゃんを見てアイコンタクトで大丈夫?と聞いてみた。
するとりっちゃんは苦笑いしながらこくんと頷いた。
あー、これは大丈夫じゃないな。
俺はすかさずりっちゃんの隣に行き出来るだけ気萌井先生と距離を詰めないようにした。
「チッ」
あ、今あいつ舌打ちしたな。
まじでりっちゃんのこと狙ってるじゃん。
ちなみに、気萌井先生がりっちゃんを狙っているのはこの前、俺と千冬がりっちゃんから相談されたからだ。
正樹と蓮季ちゃんはお喋りなので伝えていない。
よって知っているのは俺、千冬、りっちゃんとなっている。
あれ?てか正樹と蓮季今どこにいるの?
「あの2人はクラス表を見に行ったわよ」
「え、まじ?………あ、本当だ。」
ちらっと奥を見たら下駄箱の近くにクラス表が表示されていた。
周りにはたくさんの生徒が集まっていて正樹と蓮季も他の生徒に混ざっていた。
「涼くんが凛ちゃんの隣に来たときにはもう行ってましたよ」
「まじか、全く気づかなかった」
「てかりっちゃん、俺が正樹と蓮季ちゃんのこと探してたの言ったっけ?」
「いや喋ってなかったわよ」
「何、りっちゃんはエスパーなのかな?」
「そんなわけないでしょう?りょーちゃんの考えなら
なんでもお見通しなだけよ」
「それはそれでなんかすごいな」
「りょーちゃんだって私のことよく分かってるでしょ?そんな感じよ」
「ああ、なんだそんな感じか」
「いやそれで納得しちゃうのもなんかおかしくないですか?」
千冬は「相変わらずですね」と言って苦笑いした。
まあそれはそうと気萌井先生に無視するのはあれだから挨拶ぐらいしないとな。
「先生おはようございます」
「…………………。」
え、無視ですか?
生徒が挨拶したのに無視ですか?
そうですか。そうですか。
そういう反応しますか。
あんた本当に先生かよ。
「おや?凛ちゃんではないですか!どぅふどぅふどぅふふふふ!おはようございます!」
うっっっわ………キッモ。
その挨拶の仕方は気持ち悪いですよ。先生。
ほら、りっちゃんと千冬の顔が引き攣ってますもん。
大体、なんで今俺の挨拶は無視したのにまだ挨拶してないりっちゃんに挨拶するんだよ。
そもそもりっちゃんにしか挨拶してないし。
あと先生、ちゃん呼びは流石にやばいと思いますよ。
「お、おはようございます」
りっちゃんが先生に軽く挨拶して俺たちは足早にその場を去った。
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え、ちょっと待って、なんで先生がついてきてんの?
え……なんで?
なぜか気萌井先生が俺たちの後ろをつけてきてるんだけど。
偶然……ではないよな。
これはやばくね?
怖いんだけど。
「あ、あの、なんか先生ついてきてません?」
「え、ええ、そうね、ついてきてるわね………偶然かしら?」
「いや偶然ではないだろ」
後ろをつけてくる先生には聞こえないように俺たちはこしょこしょ話で話す。
どうやら2人も気付いてるようだな。
「一応、聞いてみますか」
「そうだな……じゃあ俺が聞くよ」
「い、いや、わ、私が聞いてみます!」
「いや、これは私に関わることだから私が聞くわ」
「わ、私はまだりんちゃんの役に立てていないので私がやります!友達ですから!」
「そんな役に立ってないなんて言わないで、話を聞いてくれるだけありがたいわよ」
「いえ、これは女のケジメってやつです!」
「ちーちゃん……」
「千冬……」
お前……かっこいいよ。
覚悟を決めて千冬が気萌井先生に振り向き声をかける。
「あ、あの、気萌井先生、どうして私たちについてきてるんですか?門番はしなくていいんですか?」
「どぅふどぅふどぅふふふふ、ああ、門番のことは気にしなくていいですよ。ちょうど終わったところですから。どぅふふふふ。」
「そ、そうですか………え、えーと先生たちの下駄箱はこちらではないですよね?」
「いいえ、こちらですよ、どぅふふふふ」
「で、でも」
「こっちって言っているではないですか?頭おかしいんじゃないですか?」
「え、あぅ、ごめんなさいです」
「ッ!!」
「あ、じゃあ俺たちはこの辺で」
千冬が馬鹿にされてりっちゃんが激怒し、暴走する前に俺はさっさとこの場を終わらせるため逃げに徹した。
「どぅふふふふ、はい、ではまた後で」
俺たちは少し走ってクラス表の前に向かった。
「ちーちゃん!大丈夫だった!?」
「は、はい………お役に立てなくて申し訳ないです。」
「いやいや、そんなことなかったぞ?あの先生が少しヤバかっただけだ、仕方ないさ」
「あの男、ちーちゃんを馬鹿にして………絶対に許さないわ!」
「り、りんちゃん」
千冬はりっちゃんに抱きしめてもらい頭を撫でられている。
まあ確かにあいつはムカつくな。
「まあでも今はクラス表見て気分変えていこうよ。」
俺は今の気分を紛らわすため提案した。
「そうですね」
「みんなと同じクラスになればいいのだけれど」
そして俺たちは自分たちのクラスを確認するのであった。
次回も見てくれるとうれしいです。